モレ・サン・ドニのような個性がある。スミレやバラと完熟した赤系・黒系果実、次第にチョーキーさが強まっていく素敵なアロマ。柔らかいタンニンが骨格となり肉厚で艶やかな果実がそれを包み込む
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ロベール・グロフィエはモレ・サン・ドニ在所のドメーヌだが、所有畑の多くはシャンボール・ミュジニーという面白い存在。 しかもシャンボール・ミュジニーの偉大な1級畑レ・ザムルーズ最大の所有者である。
世界恐慌から間もない1933年、ロベールの父ジュールが、レ・ザムルーズに隣接する1級畑オー・ドワや特級のボンヌ・マールとともに手に入れた。 ブドウの仕立てはブルゴーニュで主流のギュイヨではなくコルドン・ド・ロワイヤ。 収量を抑えやすいことに加え、新梢を扇形に広げることで風通しをよくする効果があるという。
現在、ボーヌの醸造学校で学んだ、ロベールの孫のニコラが、母親と妻のサポートを受けながら栽培と醸造の指揮をとる。 瀟洒なお屋敷はドメーヌ・クロ・ド・タールの隣にあり、醸造棟とは別棟の住居の下にはプロの訪問客を迎え入れる、清潔な瓶熟庫兼試飲ルームが用意されている。 醸造棟もじつに清潔で、発酵と貯酒の両方に使われるステンレスタンクの生光りする様子は美しい。
除梗に関してはヴィンテージに応じ、2007年、2009年は完全除梗。2008年、2010年は3分の1が全房。2011年は40%を全房とした。現在はアイテムによっても割合を変える。 ジャスパー・モリスMWの「インサイド・バーガンディ」によれば、1984年までは100%無除梗で、それから後、1990年代は完全除梗だったそうだ。 8〜9度で10日間ほどの低温マセレーションの後、自生酵母による自然発酵。 新樽率は村名ジュヴレ・シャンベルタンで20%、1級レ・ザムルーズで40〜50%、ボンヌ・マールで50〜60%に留め、12〜13ヶ月間の樽熟成を施す。製樽会社はレモンとフランソワ・フレールがお気に入り。
ロベール・グロフィエのワインは最もベーシックなパストゥグランから果実味がみっちりと詰まっている。 特級のシャンベルタン・クロ・ド・ベーズですらタンニンは滑らかでしなやかなタッチ。したがって若いうちから楽しめながら、さらに熟成させるとまた新たな一面を見せてくれる。 偉大な造り手のひとつである。