マルベリーやラズベリー、チェリーの香り。さらにピオニー(芍薬)やブルーベリー、土、スモーク、スパイスのニュアンスが重なります。シルクのようになめらかな質感で、みずみずしい酸味が全体を整え、きめ細かなタンニンと凝縮した果実味が力強く広がります。長い余韻にはミネラルと熟成由来の穏やかな樽香が寄り添います。ヴォーヌ・ロマネに隣接する区画らしく、エレガンスとしなやかさを備えながら、ニュイ・サン・ジョルジュの確かな骨格も感じられるスタイル。時間の経過とともにより深みと複雑さを見せる、気品あふれるプルミエ・クリュです。
【土日祝日除く】ご指定がない場合、ご注文日から1~2営業日で発送します。
お届け日は、エリアにより出荷翌日から翌々日となります。


メオ・カミュゼは、コート・ド・ニュイの中心、ヴォーヌ=ロマネに本拠を構える由緒あるドメーヌです。創設者のエティエンヌ・カミュゼは、1902年から1932年までコート・ドール県の国会議員を務めた人物であり、クロ・ド・ヴージョやリシュブールをはじめとする偉大な畑の所有者としても知られていました。戦後、その娘マリア・ノワロ=カミュゼの死去により、ドメーヌは彼女の甥であるジャン・メオに継承されます。当時、ジャン・メオはド・ゴール将軍の顧問を務め、後にパリ市議会の議員も歴任するなど、政界と実業界の両面で活躍していました。この間、ドメーヌの畑管理と醸造は、4人の小作人に任されており、その一人が伝説的な醸造家アンリ・ジャイエでした。

アンリ・ジャイエは、温度管理による醸造を取り入れたブルゴーニュの革新者として知られています。彼は果実味とフレッシュさを大切にした醸造哲学を持ち、そのスタイルは現在のブルゴーニュワインの礎にもなっています。表向きには引退を宣言していたものの、ジャイエはジャン・メオの息子であるジャン=ニコラ・メオにとって重要なメンターとなり、コンサルタントとして醸造の指導を行いました。若きジャン=ニコラは、この出会いによって大きく成長し、ドメーヌの精神と技術を受け継いでいく準備を整えていきます。ドメーヌは、このようにして伝統と革新を両立させながら、新たな世代への継承という大きな節目を迎えることとなりました。

ジャン・メオと妻ニコルには、イザベル、アンジェリーヌ、ジャン=ニコラの3人の子どもがいます。1984年、父ジャンからの提案でジャン=ニコラはドメーヌの運営を担うことを決意し、ブルゴーニュ大学で醸造学を学んだ後、アメリカの大学でも経済と文化を学びます。1989年、ヴォーヌ=ロマネに戻り、本格的にドメーヌの指揮を執るようになりました。ジャイエのスタイルを自分の中で解釈しながら、畑ではビオロジック農法を取り入れ、セラーでは丁寧な熟成を行うなど、自らの哲学と技術を洗練させています。現在はネゴシアンブランド「メオ・カミュゼ・フレール・エ・スール」や、オレゴン州での新たな挑戦「ニコラ・ジェイ」など、世界に向けてブルゴーニュの精神を発信し続けています。次世代も育ちつつあり、メオ家の物語はこれからも続いていきます。