ソムリエ三次試験!サービス実技対策ガイド ~ ソムリエ・ワインエキスパート勉強法 vol.17

デキャンティング

ソムリエ呼称資格認定試験の二次試験を突破したら、いよいよ三次試験です。三次試験のサービス実技では、ワインを扱う技術だけでなく、ソムリエとして一連のサービスを適切に行えるかが問われます。

キャップシールをきれいに切れるか、デキャンティングが上手にできるかといった個々の技術に目が向きがちですが、プレゼンテーションから器具の準備、抜栓、テイスティング、デキャンティング、ゲストへのサービス、そして片付け…と一連の流れをスムーズに行う必要があります。

今回は、三次試験合格に向けて、どのようなポイントを意識して練習すればよいのかを解説します。

本記事は、ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」が監修しています。ワインを通じて人生が豊かになるよう、ワインのコラムをお届けしています。メールマガジン登録で最新の有料記事が無料で閲覧できます。


【目次】
1. 三次試験で見られているのは「ソムリエとしてのサービス」
2. まずはサービス全体の「型」を覚える
 1-1. プレゼンテーション ~ 最初から「サービス」は始まっている
 1-2. セッティング ~ 焦らないための環境を作る
 1-3. 抜栓 ~ 速さよりもボトルを動かさないこ
 1-4. ソムリエ・テイスティング ~ 発話も動作の一部
 1-5. デキャンティング ~ 一番の見せ場は安定感
 1-4. ゲスト・テイスティング ~ 最後までお客様へのサービスを意識する
 1-5. 片付け:ワインを注いだら終了ではない
3. 合格への近道は部分練習と通し練習
4. 最後の仕上げは人に見てもらうのもおすすめ
5. いつも通りを本番で再現できるように


1. 三次試験で見られているのは「ソムリエとしてのサービス」

三次試験対策というと、抜栓やデキャンティングの練習を思い浮かべる方が多いでしょう。もちろん技術は重要です。しかし、実技試験で見られているのはそれだけではありません。

審査ポイントとして「技術」はもちろん「具体的な行動」「全体の印象」「制限時間」があるのです。特に「全体の印象」では、清潔感のある服装、表情、立ち振る舞い、言葉遣い、そしてお客様が選んだ大切なワインを丁寧に扱う姿勢まで含めて、ソムリエとしてのサービスが評価されます。

目指したいのは華麗なパフォーマンスではありません。基本的なサービスを、正しい順序で、丁寧に、時間内に行うこと。これが三次試験対策の大原則です。

2. まずはサービス全体の「型」を覚える

これまでの実技では、審査員から「サービスを開始してください」という合図があってから、サービスを完了し、使用した器具を片付けて作業台の前へ戻り、「終了しました」と伝えるまでが審査範囲で制限時間は7分間でした。

基本的な流れは、

ワインのプレゼンテーション → サービス器具のセッティング → 抜栓 → ソムリエ・テイスティング → デカンテーション → ゲスト・テイスティング → 片付け

です。

ここで重要なのは、一つひとつの工程を別々に覚えないことです。本番では緊張から「次は何をするんだっけ…」と動作が止まってしまうことがあります。その数秒の積み重ねが焦りにつながり、普段ならしないミスを誘発します。練習の段階から毎回同じ順番、同じ動線、同じ言葉で行い、次の動作を考えなくても身体が動く状態を目指しましょう。

2-1. プレゼンテーション ~ 最初から「サービス」は始まっている

ワインを受け取ったら、オリが舞わないよう、ボトルを立てずにゆっくり丁寧に扱います。作業台に戻ったら、ラベルが審査員から見えるようにしながら、ワイン名、ヴィンテージなどを明確に伝えます。緊張でラベルが読めない…そんな焦るような場合でも、せめて「フランス産の赤ワイン、ヴィンテージは〇〇年です」と言う具合に、産出国や産地、ヴィンテージを伝えると良いでしょう。

続いて、デカンティングを提案します。古酒を想定する場合なら、「オリがあると思われますので、デカンティングしてよろしいでしょうか」若いワインなら、「香りが開くと思われますので、デカンティングしてよろしいでしょうか」

など、理由を添えて許可を得ます。

三次試験では、自分では分かっているだけではなく、必要なことを相手に伝えることも大切です。普段の練習から、動作だけでなく実際に声を出して練習しておきましょう。

2-2. セッティング ~ 焦らないための環境を作る

次にサービス器具を準備します。小皿2枚、紙ナプキン2枚、デカンタ、グラス2脚、ライトなどが必要な器具です。また、グラスやデカンタは光にかざして汚れを確認しましょう。

セッティングは単なる準備ではありません。器具を置く場所が毎回変わると、その後の動作にも迷いが生まれます。右利き・左利き、自分のソムリエナイフの扱い方などに合わせて、自分が最も動きやすい定位置を作っておきましょう。

本番だけ特別な配置にするのではなく、普段の練習から同じ配置で行うことがポイントです。

三次試験セッティング(右利き推奨例)

三次試験セッティング(右利き推奨例)

2-3. 抜栓:速さよりもボトルを動かさないこと

抜栓で意識したいのは、華麗にコルクを抜くことよりも、ワインをできるだけ動かさず、丁寧に抜栓することです。

キャップシールは瓶口下部で切るのが一般的。ラベルを上向きに保ちながらボトルを固定し、ブレードを瓶口下部のラインに沿わせて切っていきましょう。

続いて、スクリューの先端をコルクの中心に刺し、コルクに対して垂直になるよう意識しながら時計回りにねじ込みます。反対の手ではボトルをしっかり固定します。

最後まで一気に引き抜くのではなく、コルクが少し残ったところで止め、最後は小さく揺らしながら静かに抜きます。抜栓時に音が鳴らないよう注意しましょう。抜栓後はコルクの状態を確認し、瓶口を紙ナプキンで拭います。

キャップシールを切るところからコルクの確認までを一つのまとまりとして、毎回同じ動きでできるよう反復しておきましょう。

キャップシールカット

キャップシールカット

パニエ抜染

パニエ抜栓

2-4. ソムリエ・テイスティング ~ 発話も動作の一部

ソムリエテイスティング

抜栓が無事に終わると、少しホッとします。しかし、ここからも忘れやすい工程が続きます。ソムリエ・テイスティングを行う前には、「お味見させていただいてもよろしいでしょうか」などと了承を得ます。

グラスには15~20ml程度を注ぎ、香りと味わいを確認します。その後、「素晴らしい状態です」など、ワインの状態についてコメントします。

三次試験対策では、動作だけを練習するのではなく、動作と言葉をワンセットで覚えることをおすすめします。なお、デキャンティングへ移る際にはライトの点灯も忘れないようにしましょう。

2-5. デキャンティング ~ 一番の見せ場は安定感

デキャンティング

三次試験で多くの受験生が緊張するのがデキャンティングでしょう。右利きの場合、右手にワインボトル、左手にデカンタを持ちます。デカンタは首を持って斜めに傾け、内壁に沿わせるようにワインを静かに注ぎます。

ライトの光はボトルの肩付近に当てます。ここで難しいのが、ワインを注ぐスピードです。速すぎればワインが音を立て、遅すぎれば瓶口から液が垂れやすくなります。また、一度デカンティングを始めたら、途中で止めてもう一度注ぐ二度注ぎは避けます。古酒を想定した場合は底から0.5~1cm程度を残すことが目安、若いヴィンテージではすべて注ぎきるというのもポイントです。

デカンティングは知識だけでは上達しません。自宅でも、空き瓶に水を入れ、シンクで繰り返し練習すると良いでしょう。本番までに何度も繰り返し、この角度、このスピードならこぼさないという感覚を身体で覚えておきましょう。

2-6. ゲスト・テイスティング ~ 最後までお客様へのサービスを意識する

デキャンティングが終わったら、ゲスト用のグラスへワインを注ぎます。ゲストのグラスに30ml程度を注ぎ、「お味見をお願いいたします」などとテイスティングを依頼します。

承認後は適量まで注ぎ足し、その際にはデカンタの口をリトーで拭います。最後に、

「ごゆっくりお楽しみください」など、一言を添えます。

試験とはいえ、目の前にいるのは審査員であると同時にお客様役です。作業をこなすことだけに集中すると、どうしても動作が機械的になってしまいます。実際にお客様へ大切なワインをサービスしているという意識を持つだけでも、表情や立ち振る舞いは変わってきます。

2-7. 片付け ~ ワインを注いだら終了ではない

意外と注意したいのが最後の片付けです。サービスが終わって安心してしまいがちですが、片付けまでが審査範囲です。昨今の試験では、不要になった器具をトレーで下げ、元の場所へ戻し、作業台の前に戻って、「終了しました」と伝えるところまでが一連の流れになっています。

普段の練習でも、デキャンティングが終わって、ゲストに注ぎ終わったところで実技を止めないでください。「終了しました」までを一連のサービスとして練習することが重要です。

3. 合格への近道は部分練習と通し練習

最初から毎回7分間の通し練習をする必要はありません。まずは、「キャップシール~抜栓」 「ソムリエ・テイスティング~デキャンティング」 「ゲスト・テイスティング~片付け」というように分割し、苦手な部分を繰り返しましょう。

一つひとつが安定してきたら、7分間の通し練習へ移行します。さらにおすすめなのが、自分のサービスをスマートフォンで撮影することです。動画で見ると、思っている以上にボトルが動いている、下ばかり見ている、動作が慌ただしい、声が小さいなど、自分では気づきにくい癖が見えてきます。

また、本番では思わぬトラブルが起こる可能性もあります。コルクが途中で折れてしまったり、ワインを少しこぼしてしまったりすると、一瞬頭が真っ白になるかもしれません。しかし、コルクを折るなどのトラブルが起きても、それだけで一発不合格になるわけではなく、その後に冷静に最後まで丁寧に続けることが重要です。

ミスをした瞬間に諦めないこと。これも本番で覚えておいてほしいポイントです。

4. 最後の仕上げは人に見てもらうのもおすすめ

抜栓やデカンティングは、自宅でも十分に練習できます。一方で、自分では正しくできているつもりでも、ボトルの動かし方や姿勢、器具の扱い方、サービスの順序など、自分一人では気づきにくいポイントもあります。

特に三次試験では、個々の技術だけでなく、表情や立ち振る舞い、言葉遣いを含めた全体の印象も大切です。そのため、本番前には一度、実際の試験を意識した環境で一連のサービスを行い、第三者からチェックしてもらう機会を作っておくと安心です。

アカデミー・デュ・ヴァンでも、ソムリエ三次試験に向けたサービス実技対策の単発講座を開講しています。一人で練習しているけれど、このやり方で合っているのか不安。7分間を通して練習してみたい。自分では気づかない癖や、減点につながりそうな動きを確認したい。そうした方は、こうした実践講座を本番前の仕上げとして活用してみるのもおすすめです。

5. いつも通りを本番で再現できるように

三次試験では、特別に上手く見せようとする必要はありません。大切なのは、順序を守る、ボトルを丁寧に扱う、必要な言葉をきちんと発する、デカンティングを安定させる、片付けまで時間内に終える…という基本を確実に積み重ねることです。そして、そのために必要なのが反復練習です。

まずは自宅で部分練習を繰り返して自分の型を作る。次に時間を測って通し練習をする。そして必要であれば、講座などを利用して第三者に見てもらい、気づかなかったクセを修正する。

練習、客観的なチェック、修正…そして、もう一度練習。このサイクルを繰り返すことで、本番での安定感は変わってきます。三次試験は、一発勝負で奇跡的に上手くサービスすることを目指す試験ではありません。基本を、丁寧に、いつも通りに。緊張した本番でも、その「いつも通り」を再現できるところまで練習を重ね、自信を持って三次試験に臨んでください。

執筆者:アカデミー・デュ・ヴァン編集部

1972年にパリで誕生したアカデミー・デュ・ヴァンは、日本で最も歴史あるワインスクールです。ワイン・日本酒・チーズなど、お酒と食の学びを通じて、ワイン初心者の方だけでなく第一線で活躍するプロフェッショナルの方々からも支持されています。スクール運営をはじめ、テイスティングバーやワインショップ、イベントなど、学びと体験をつなぐ多彩なサービスを展開しています。

 

 

アカデミー・デュ・ヴァンでは、一流の講師陣による豊富な講座をご用意しております。
合格実績多数のJ.S.A.ソムリエ/ワインエキスパート受験対策講座を是非ご検討ください。

デキャンティング

豊かな人生を、ワインとともに

(ワインスクール無料体験のご案内)

世界的に高名なワイン評論家スティーヴン・スパリュアはパリで1972年にワインスクールを立ち上げました。そのスタイルを受け継ぎ、1987年、日本初のワインスクールとしてアカデミー・デュ・ヴァンが開校しました。

シーズンごとに開講されるワインの講座数は150以上。初心者からプロフェッショナルまで、ワインや酒、食文化の好奇心を満たす多彩な講座をご用意しています。

ワインスクール
アカデミー・デュ・ヴァン

ABOUTこの記事をかいた人

1972 年にパリで誕生したアカデミー・デュ・ヴァンは、日本でもっとも歴史あるワインスクールです。ワイン・日本酒・チーズなど、お酒と食の学びを通じて、初心者の方から第一線で活躍するプロフェッショナルまで毎年 6,000 名以上の方々に支持されています。スクール運営をはじめ、テイスティングバーやワインショップ、イベントなど、学びと体験をつなぐ多彩なサービスを展開しています。