「普段、あまり日本で見かけることがないような生産国って、本当に覚える必要あるの?」。
ソムリエ・ワインエキスパート試験勉強を始めると、誰もが一度はこの疑問にぶつかります。正直に言えば、答えは「Yes」。でも、フランスやイタリアのような超有名ワイン生産国と同じ熱量で向き合う必要はありません。大切なのは「捨てないこと」と「深入りしないこと」を同時に実現するバランス感覚です。
本記事では、スイスやハンガリーをはじめとするヨーロッパの国々の効率的な学習法と、2026年から新設されたスロバキアの攻略ポイントをまとめました。
【目次】
1. 「捨て範囲はない」は本当か
2. 地続き産地は「地図」で覚える
3. マイナー国別・ここだけ押さえれば!
4. 新範囲「スロバキア」の攻略法
5. 直前期の学習スケジュール例
6. まとめ
1. 「捨て範囲はない」は本当か
ソムリエ・ワインエキスパート試験の出題範囲は、原則として教本の全ページが対象です。東欧・その他産地国も例外ではなく、毎年何らかの形で問われています。「出ないだろう」と割り切った箇所が本番で登場し、「痛い思いをした」と語る受験者は少なくありません。
ただし、出題数のウェイトはメジャー産地と比べて明らかに少ない。つまり戦略は「広く・浅く・確実に」です。教本に掲載されているプロフィール(位置、気候、山川湖などのランドマーク)、主要品種、ワイン法の概要、代表的な産地名を押さえておけば、マイナー国の設問では十分に対応できます。
学習時間の配分イメージとしては、フランス・イタリア・スペインなどのメジャー産地に8割、マイナー国に2割を充てるイメージです。深掘りより「広く浅く均一にカバー」する発想が合格への近道です。
2. 地続き産地は「地図」で覚える
観光地として人気のパリ抱えるフランス、ローマのあるイタリアと比べると、モルドバ、ルーマニア、ジョージアなどの東欧の国は旅先としてもややメジャーでないために、イメージが湧きにくく、文字だけで暗記しようとすると混乱しやすく、記憶の定着率も低くなります。
そこで活用したいのが世界地図です。東欧からバルカン半島にかけてのワイン産地は、国境を接する「地続き」の国々ですから、各国の位置と隣国を確認しながら、地形のランドマークと産地を紐づけていきましょう。たとえばルーマニアとモルドバはカルパティア山脈の東側に広がり、ドナウ川がブルガリアの北部国境に沿って流れています。こうした地理的な「流れ」を手がかりにすると、バラバラだった知識が一本の線でつながります。
おすすめは、Googleマップや中学・高校校のときにつかったような地図を活用して、国名・主要産地・川や山脈のランドマークを押さえながら学習する方法です。視覚的に位置関係がわかりやすいため、理解が深まり、記憶が格段に定着しやすくなります。
3. マイナー国別・ここだけ押さえれば!
各国の最重要ポイントだけを厳選しました。教本を読む前の予備知識として、また直前期の確認用としてお使いください。
スイス
ヴァレー州・ヴォ―州が主要産地。白の主役はシャスラ(グートデル)。急峻な斜面栽培が特徴。
ハンガリー
トカイワインは最重要。アスー、エッセンシアなどの甘口スタイルと格付けを必ず押さえましょう。
スロベニア
イタリア・フリウリと国境を接する銘醸地。隣国との土壌・品種の連続性を意識しましょう。
クロアチア
プラヴァツ・マリなどの固有品種はしっかりチェック。産地は「最」の情報がつくものを忘れずチェック。
ギリシャ
固有のブドウ品種が暗記の山場。アシルティコはサントリーニ島…といった具合に、個々の固有品種がどんな産地で栽培されているかをチェックしよう。
ブルガリア
1980年代からカベルネ・ソーヴィニョンの輸出国として知られる歴史を確認。固有品種をしっかり覚えましょう。
ルーマニア
フェテアスカ・ネアグラなどルーマニア固有品種を覚えましょう。
モルドバ
ヨーロッパ最大規模のワインセラーが存在。ルーマニアと共通する品種が複数存在するので暗記は思った以上に簡単。
ジョージア
オレンジワインにまつわる専門用語や独特な食文化をチェック。最大産地のカヘティはマスト暗記。
英国
スパークリングの産地として急成長中。スパークリングに使われるブドウ品種や有名産地の場所と名前を覚えましょう。
4. 新範囲「スロバキア」の攻略法
2026年度から教本に追加されたスロバキアは、受験者の間で「どこまで勉強すれば?」という不安の声が多い範囲です。
しかし教本のページ数は、わずか6ページ。他の国と比べてもボリュームは少ない方です。これなら、全ページを丁寧に読み込むことも不可能ではなさそうですね。この6ページの中で優先的に押さえるべき項目は以下の4点です。
- ブドウ品種:栽培面積1位の品種。シノニム。固有品種
- ワイン法:近隣国(オーストリア)の制度との共通点も意識
- 主要産地:位置(チェコと隣接し、カルパティア山脈の西麓に広がる)、「最」のつく情報は要注意
- トカイ:呼称の歴史と現状、ハンガリーとの相違点など
「新範囲は出題されやすい」。これまでのソムリエ協会の資格試験の長年の歴史の中で語られてきた定石です。スロバキアはたった6ページ。覚えるべき情報量が少ない分、ライバルとの差がつきやすい得点源です。苦手意識を持たず、むしろ積極的に取り組んでみてください。
5. 直前期の学習スケジュール例
試験1~2ヶ月前からマイナー国対策をスケジュールに組み込む場合、1国あたりの目安学習時間は30〜60分が目安です。「地図で位置確認 → 日本ソムリエ協会教本(もしくはアカデミーデュヴァンのテキスト)精読 → 練習問題で出題傾向を確認」という3ステップを繰り返しましょう。
直前は、フラッシュカードを使って一問一答形式で固有品種名・産地名などを反復確認すると、さらに記憶が定着します。スロバキアのような新範囲も、恐れずしっかり学習範囲に取り入れましょう。
6. まとめ
「捨て範囲を作らない」と「深入りしない」は矛盾しません。マイナー国の攻略において重要なのは、教本に書かれていることを広く・浅く・確実に押さえることです。地図を活用して地続きの産地を視覚的に整理し、スロバキアのような新範囲は6ページという少ないボリュームをむしろチャンスと捉えましょう。
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