二次試験!直前期の過ごし方 ~ ソムリエ・ワインエキスパート勉強法 vol.16

難関一次試験を突破された皆様、おめでとうございます。いよいよ日本ソムリエ協会(J.S.A.)が主催する二次試験(テイスティング)が目前に迫ってきました。試験が近づくにつれて、「本当に自分の鼻や舌は成長しているのだろうか」「まだ覚えていない品種が出たらどうしよう」と、焦りや不安が大きくなっている方も多いのではないでしょうか。
しかし、二次試験直前期において重要なのは、新しいワインを片っ端から飲むことではありません。自分の五感とメンタルをできる限り良い状態に整え、本番で持てる実力を発揮できるようにすることです。今回は、二次試験直前に避けたい行動と、合格に向けて取り組むべき準備法を解説します。

本記事は、ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」が監修しています。ワインを通じて人生が豊かになるよう、ワインのコラムをお届けしています。メールマガジン登録で最新の有料記事が無料で閲覧できます。


【目次】
1. 直前期の心構え:テイスティング能力の真実
2. ワインスクールの「本番形式講座」を賢く活用する
3. 直前・前夜に避けたい行動
 3-1. 前夜の夜遅い追い込み・バー通い
 3-2. デマや噂話に惑わされない
4. 前日~当日に向けて行うべき準備
 4-1. 事前(前日まで):会場の下見とイメージトレーニング
 4-2. 前日夜:体調管理とメンタルケア
 4-3. 当日:強い香り対策とコンディション管理
5. 良いコンディションが最高のお守り


1. 直前期の心構え:テイスティング能力の真実

まずお伝えしたいのは、「テイスティング能力は短期間で急激に上がるものではない」という厳しい現実です。

このテイスティング試験は、単にブドウ品種を当てるゲームではありません。ワインの外観、香り、味わいから得られる情報を捉え、それを自分の知識と照らし合わせて言語化し、そのうえで結論(産地・ブドウ品種)に結び付けるプロセスです。この感覚の言語化と、結論に結び付けるプロセスは、これまで何ヶ月もかけて繰り返してきたトレーニングの積み重ねによってできるようになるのです。

そのため、試験直前になって焦りから急に大量のワインを飲んだところで、精度が急に上がることはありません。むしろ、短時間に多くのワインを飲むことで嗅覚疲労が溜まり、鼻や舌の感覚が鈍ってしまう可能性もあります。

直前期にやるべきなのは、飲む「量」を増やすことではなく、これまで学んできた「質の整理」です。主要品種(カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、ピノ・ノワール、シャルドネ、リースリング、ソーヴィニヨン・ブラン)の典型的な外観、香り、味わいの特徴を頭の中で再確認し、「この香りが来たらこのキーワードを選ぶ」という基本のロジックを整理することに集中しましょう。

主要品種(カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、ピノ・ノワール)を頭の中で再確認

2. ワインスクールの「本番形式講座」を賢く活用する

直前期の実戦練習としておすすめなのが、大手ワインスクールが開催している「本番形式の直前対策講座」を活用することです。

こうした講座では時間を計りながら、マークシートに埋めるところまで体験できます。この講座受けるメリットは、本番特有の緊張感の中でマークシートを塗るところまで練習ができる点にあります。限られた時間内でワインの分析、コメント選択、マークシート記入をいかにスムーズに行うかという「時間配分」と「スピード感」を体で覚えることができるのです。

ただし、ここで重要なポイントがあります。それは、スクールの直前講座を受けるなら「前日の日中」または「前々日」までに済ませるということです。講座の受講を前日の夜遅くまで入れてしまうと、疲労が残り、翌日の本番に影響が出てしまう可能性があります。事前演習はあくまで「本番のペース配分を確認するツール」として活用し、試験直前の夜はゆとりを持ったスケジュールを組むように心がけてください。

3. 直前・前夜に避けたい行動

合格を目指す上で、直前期に「やらない方がよい行動」を知っておくことは、やるべきことを知る以上に重要と言えるでしょう。特に以下の2点には注意してください。

3-1. 前夜の夜遅い追い込み・バー通い

「不安でたまらないから」と言って、試験前日の夜遅くまで対策講座に残り続けたり、確認のためにワインバーをはしごして夜遅くまで飲む行動は、避けたいところです。

前夜遅くまでアルコールを摂取すると、睡眠の質が低下します。睡眠不足や疲労が残った状態では、翌朝の嗅覚や味覚の感度が鈍ってしまいます。自分では気づかないうちに鼻が利かなくなり、本番で本来わかるはずの香りを見落としてしまう原因になります。前夜の悪あがきはあまり得策とは言えません。

ワインバーで最後の追い込みイメージ

3-2. デマや噂話に惑わされない

試験直前になると、SNSや受験生同士の会話で、様々な噂が飛び交うようになることも…。「今年は〇〇の品種が確実に出るらしい」 「試験会場のホテルに〇〇(有名インポーター)のワインが大量に運び込まれたそうだ」こうした噂は毎年流れますが、出題されるワインの情報が事前に漏れることはありません。根拠のない噂を信じてしまうと、本番のグラスを前にしたときに「〇〇が出るって書いてあったから、これは〇〇に違いない」という先入観が生じてしまいます。その結果、目の前のワインの素直な香りや味わいを正しく取ることができなくなり、判断を誤ってしまうことがあります。周囲の噂話には耳を貸さず、フラットな状態で挑みましょう。

4. 前日~当日に向けて行うべき準備

本番で実力を発揮するために、前日から当日にかけて実践したい準備を時系列順にご紹介します。

4-1. 事前(前日まで):会場の下見とイメージトレーニング

試験当日の余計な焦りやストレスをなくすため、事前に会場までのアクセスを把握しておきましょう。可能であれば、前日までに実際に試験会場まで足を運んで下見をしておくのがおすすめです。最寄り駅からの出口や道のりを確認しておくことで、当日の移動トラブルを防ぐことができます。

事前に会場までの下見をする

また、静かな環境でイメージトレーニングを行うのも効果的です。「会場に到着し、自分の席に着く」 「グラスの配置と状態を確認する」 「テイスティングを開始し、外観から順番にコメントをチェックする」 「残り時間を確認し、焦らずマークシートを丁寧に塗りつぶす」…このように、本番の一連の流れを頭の中でシミュレーションしておくことで、当日の緊張を和らげることができます。

4-2. 前日夜:体調管理とメンタルケア

前日の夜に優先すべきなのは、「体を休めて翌朝スッキリ目覚めること」です。夕食は胃腸に負担をかけない消化に良いものを摂り、ぬるめのお湯にゆったりと浸かりましょう。お風呂に入ってリラックスすることで副交感神経が優位になり、質の良い睡眠を取りやすくなります。

「明日は自分を信じて力を尽くすだけだ」と心を落ち着かせ、早めに布団に入って十分な睡眠時間を確保してください。体調を整え、五感をクリアな状態にしておくことが、本番では大切です。

4-3. 当日:強い香り対策とコンディション管理

当日の朝は、自分の嗅覚と味覚をできるだけクリアな状態に整える工夫が必要です。

強い香り対策の徹底: 香水はもちろんのこと、香りの強い柔軟剤を使用した服、ヘア整髪料、香りの強いハンドクリームや化粧品の使用は避けましょう。自分の嗅覚を狂わせるだけでなく、会場内で隣に着席した受験生の迷惑にもなってしまいます。当日は無香料の石鹸や基礎化粧品のみで臨むのがマナーです。

朝食と飲み物の選択: 当日の朝食には、刺激物(辛いもの、ニンニク、強いスパイスなど)や、舌に色が残るような食べ物は避けましょう。また、コーヒーなどのカフェインを多く含む飲み物の摂取のし過ぎに注意しましょう。こういった飲み物は、舌の感度を乱したり、緊張下でトイレが近くなったりする原因になります。試験が終わるまでは、白湯や常温のお水を選ぶのが賢明です。

5. 良いコンディションが最高のお守り

二次試験の会場に入ると、周囲の受験生が優秀に見えたり、勢いよくマークシートを埋める音に圧倒されそうになったりするかもしれません。しかし、周りのペースに巻き込まれる必要はありません。テイスティング試験は、周りとの勝負ではなく、目の前のワインと自分自身との対話です。

これまで何杯ものワインを体系的に試飲し、品種の特徴を覚え、繰り返してきたルーチンは、身体に染み込んでいるはずです。短期間での急な能力アップを狙うのではなく、体調を整え、ベストなコンディションと落ち着いた心で臨めば、本番で練習通りの判断ができるはずです。

しっかりと睡眠をとり、良いコンディションで試験会場へ向かってください。皆様がこれまでの努力の成果を発揮し、合格を掴み取られることを応援しております。

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