【二次試験対策編】ソムリエ・ワインエキスパート試験 徹底ガイド

ソムリエ・ワインエキスパートの一次試験(7月中旬から8月末に実施)を突破したら、次に迎え撃つべきは10月上旬に行われる二次試験です。

二次試験は、スティル・ワインおよびその他のワイン・アルコール飲料をブラインド・テイスティング(銘柄などがわからない状態での利き酒)で評価する実技が問われます(なお、二次試験のタイミングで行われるソムリエ資格の論述試験については、三次試験の合否判定に用いられるものであるため、別記事「【三次試験対策編】ソムリエ試験 徹底ガイド」(←6/23公開予定)で解説します)。

本記事では、日本で最も多くの「ソムリエ」「ワインエキスパート」資格試験合格者を輩出してきたワインスクール アカデミー・デュ・ヴァンが、二次試験突破のために必要なトレーニング期間と方法、近年における出題の傾向と対策などを、以下の目次に沿ってわかりやすく解説していきます。


【目次】

  1. 何を答えなければいけないのか? 回答項目と配点(スティル・ワイン編)
  2. 何を答えなければいけないのか? 回答項目と配点(その他の飲料編)
  3. スティル・ワインの頻出品種と価格帯はこれだ!
  4. コメント用語に慣れよう
  5. 品種・産地の同定ができるようになろう
  6. トレーニング期間は最低半年間
  7. まとめ

1. 何を答えなければいけないのか? 回答項目と配点(スティル・ワイン編)

ソムリエ資格については3銘柄、ワインエキスパート資格については4銘柄、スティル・ワインについて外観・香り・味わい・その他の項目(適正温度、グラス選択など)、結論(品種、収穫年、生産国)について、以下に示すコメント語群・結論選択肢の用紙から選んで回答しなければなりません。

テイスティングの用語選択用紙(白ワイン用)

 

テイスティングの用語選択用紙(赤ワイン用)

2018年から、コメントや結論部分の回答についての配点が発表されるようになっており、2020年は次の通りでした。スティル・ワインの外観・香り・味わいのコメントに、重きが置かれていることがわかります。

香り 28%
外観 19%
味わい 17%
主なブドウ品種 12%
生産地 7%
収穫年 5%
スティル・ワイン以外のアルコール飲料の銘柄 各3%
その他の項目 8%

スティル・ワインのブラインド・テイスティングにおいては、品種、生産地、収穫年といったいわゆる「その銘柄が何なのか」という結論が、過去においては重視されていたのですが、ここ数年でソムリエ協会は大きく方向転換をし、外観、香り、味わい、その他の項目(適正温度、グラス選択など)という、結論部分以外の回答項目の配点を著しく高くしています(結論部分の配点が全体に占める割合は、わずか24%しかありません)。

一昔前までは、「コメントがいかに正確でも、ブドウ品種を全銘柄外すと無条件に不合格」となっていた時期があったことを思うと、隔世の感があります。

この背景には、「ブラインド・テイスティングは銘柄当てのゲームではない。結論よりも、ワインのスタイルを正しく把握しているかどうかが重要」という、現在のソムリエ協会執行部の思想があります。

 

2. 何を答えなければいけないのか? 回答項目と配点(その他の飲料編)

上述の通り、スティル・ワイン以外のアルコール飲料(酒精強化ワイン、アロマタイズド・ワイン、蒸留酒、リキュール)は、各銘柄3%の配点しかありません。回答項目がひとつだけ(銘柄名を選択肢の中からひとつ選ぶ)なこともあるとは思いますが、スティル・ワインと比べれば極端に配点が低いです。

限られた準備時間をどこに割くかということを考えれば、このフィールドは捨ててしまい、スティル・ワインに集中してもよいと考えられる配点の低さです。

とはいえ、されど3%。ここで正解を拾えるか否かが合否を分けることになることがないわけではありません。十分な余裕をもって二次試験の準備ができるのならば、この分野のトレーニングもやっておくに越したことはないでしょう。

スティル・ワインと比べれば、外観・香り・味わいなどのコメントが必要ない分、トレーニング期間・回数も少なくてすみます。

 

3. スティル・ワインの頻出品種と価格帯はこれだ!

過去5年間の二次試験で出題された、スティル・ワインとその他アルコール飲料の銘柄一覧を以下に示します。

2016~2020年の二次試験のブラインド・テイスティングの出題銘柄一覧

ここでは、スティル・ワインの出題銘柄のブドウ品種に絞って論を進めます。出題品種が、以下の白3品種、赤3品種であることは、過去20年以上変化がありません。

<白の頻出品種>
・シャルドネ
・ソーヴィニョン・ブラン
・リースリング

<赤の頻出品種>
・カベルネ・ソーヴィニョン
・ピノ・ノワール
・シラー(シラーズ)

「品種を含む結論部分の配点は低いのだから、頻出品種が何であれ関係ないのでは?」と考えるのは早計です。

上記の6品種は、ワイン・テイスティングを学んでいく上でのベーシックであり、それぞれ明確なスタイルがあります。

まずは上記6品種について、そのスタイルを正確につかみ、ブラインドで正確な外観・香り・味わいのコメントを書けるようにトレーニングすることが、合格への早道です(ポイントは後述します)。

近年は、たとえば2018年のソムリエ資格で出題されたアルゼンチン産のトロンテス、2019年ではフランス産のアリゴテ、2020年のワインエキスパート資格ではフランス産のカベルネ・フランに加え、出題2回目となるアルゼンチン産のトロンテスなど、ややマイナーな品種・産地の出題もありますが、上記の基本6品種で正しいコメントが書けるようになっていれば、その技術を応用することでコメント部分の点数を稼ぐことができます。

なにごとによらず、基本は大事なのです。

価格帯については、ブドウ品種や生産国によりますが、標準小売価格で2,000~4,000円ぐらいまでのものがボリュームゾーンです。

1,000円を下回るようなワインは出題されませんし、予算の関係でしょうか、5,000円を上回るような価格のワインもまず出題されません。

 

4. コメント用語に慣れよう

上掲しました、二次試験で実際に使われるスティル・ワイン用の用語選択用紙をご覧ください。分析項目ごとに、コメント用語が並んでいます。

二次試験対策のトレーニングをする際には、どんなワインを飲むときもこの用語選択用紙を手元に置き、このフォーマットに従ってコメントを作るようにしましょう。
慣れれば、コメント作成のスピードも上がっていきます(目標は、スティル・ワイン1銘柄につき5分以内でのコメント作成です)。

『日本ソムリエ協会 教本』には「テイスティング」という章があり、そこでテイスティング用語の解説もあるのですが、そちらに掲載されている用語と上掲の用語選択用紙のコメントは必ずしもすべてが一致しておらず、また教本には「どんなワインのどういう特徴に対して、どの用語を使うのが適切なのか」というガイドラインも明確には示されていません。

この「ガイドライン」については、日本ソムリエ協会の機関誌に発表される、各年の二次試験の模範解答から、帰納的に類推するほかないのが実情です(周囲に、日本ソムリエ協会の会員に数年以上なられている方がいらっしゃれば、機関誌のバックナンバーを見せてもらうとよいでしょう)。

とはいえ、ブラインド・テイスティングの手法、用語の選び方は、ソムリエ協会が示す明確なガイドラインの有無にかかわらず、ある程度日本でも確立されたものがあります。
ワインスクールの講師や、近年にソムリエ・ワインエキスパート資格に合格された先輩など、しっかりしたコメントを用語選択用紙に基づいて書ける人と一緒にテイスティングをし、その基準を自分のものにしていくのが一番よい方法です。

スクールに通うのが難しく、周囲に「師」となってくれそうな方がいない人は、ソムリエ・ワインエキスパート試験対策用のワインセットを購入するのが次善の策です。
そうしたセットには、ソムリエ協会の用語選択用紙に沿った「模範コメント」が添付されており、それでガイドラインを学ぶことができます(アカデミー・デュ・ヴァンでも、毎年5月から9月にかけて、試験頻出銘柄をハーフボトルで揃えたセットを販売しています)。

なお、二次試験対策に際して、一番皆様が苦労されるのが香りのコメントです。用語選択用紙にずらりと並ぶ香り用語を見て、それが実際にどんな香りなのかを頭の中で再生できるようにならなければ、ワインの中からその香りを拾うことはできません。
多少の出費を伴いますが、果物やハーブ、スパイスなどについては現物を手に入れ、現物の入手が難しいものについてはアロマ・エッセンスを購入するなどして、それぞれの香り用語が実際に指し示す香りを覚えてください。
匂いの記憶は強固なものなので、一度覚えてしまえばそれ以後忘れることはありません。

 

5. 品種・産地の同定ができるようになろう

上述のように、現在のソムリエ・ワインエキスパート試験では、品種、生産地、収穫年という結論部分の配点は低くなっています。

だからといって、そうした結論の同定ができなくてもいいかというと、そうではありません。
外観・香り・味わい・その他の項目(適正温度、グラス選択など)は、結論部分と密接な関係があります。
コメントを紡ぎだす前に、外観・香り・味わいの第一印象から結論がわかり、そこから帰納的に「相応しい」コメント用語を選んでいくという方法が有効な場合も少なくないからです。

こうした帰納的なコメント作成方法が有効なのは、先に述べた基本6品種についてです。
「これはカベルネ・ソーヴィニョンだ」と思ったら、それに相応しいコメントを書いていくやり方のほうがコメント部分の正解率も上がります。

逆に、直感的にはどこの何かがわからないマイナー品種・産地の出題の場合には、ひとつひとつのコメントを積み上げていき、最後に結論を選ぶ演繹的な方法しかありません。

もちろん、マイナー品種についても、二次試験で過去に出題されたものについては一通り飲んでその外観・香り・味わいの特徴を頭に入れておき、基本6品種と同じアプローチがとれればそれに越したことはないでしょう。

ここでは、簡単に各品種の同定のポイントをご紹介します。

基本6品種の特徴と産地

基本6品種を見極められるようになるためには、それぞれの特徴表現をまずは頭の中で整理しておくこと、その上で、必ずテイスティングの際に確認を繰り返すことが重要です。
まずは、品種、特徴表現、その実際を一致させる(=体で覚える)ことで、ブラインドテイスティングを行うようになったときに、自身で品種を同定する際の足掛かりになるのです。

以下は簡単ですが、試験に出題されやすいスタイルの基本6品種の特徴です。

白品種

  • シャルドネ:香りが穏やかニュートラルとも言われるが、樽の要素を感じることが多い
  • ソーヴィニヨン・ブラン:青草やハーブの香り、パッションフルーツの香りをもつことも
  • リースリング:香りの華やかさ酸の高さ(酸っぱい!)

赤品種

  • カベルネ・ソーヴィニヨン:カシスなどの黒い果実、杉やシダのような香り、高い酸強いタンニン
  • ピノノワール:明るい赤の色調と高い酸
  • シラー:黒コショウの香り、ミントのような香り

 

さらに次のステップは、産地の同定となります。

実は先ほど挙げた品種の特徴は、特定の産地や気候条件などがそろうとより感じやすくなるということが多々あります。

つまり、品種✕産地 の組み合わせで整理ができているかどうかが、結論のカギを握るのです。
ただし、産地と言っても、ここでは、あくまで試験に出題されやすい産地(国)に絞るだけでOK。上掲の出題銘柄一覧を見るとわかる通り、出題品種と産地の組み合わせはある程度きまっているので、その中で整理をしていきましょう。
必ず、知識・情報だけでなく、テイスティングをして自分の感覚と照らしあわせた上で整理をすることで、結論の精度がぐっと上がるはずです。

マイナー品種

  • ライチやマスカットのような香りをもつ「ゲヴュルツ・トラミネール」や「トロンテス」
  • イチゴのような香りをもつ「マスカットベーリーA」

ポイントを掴むことで一気に同定できる守備範囲が広がります。

基本6品種の同定ができるようになってきたら、マイナー品種についても、テイスティングで実際に感じ取りながら特徴を整理してみましょう。

6. トレーニング期間は最低半年間

ワインのブラインド・テイスティングは、スポーツと同じように、ある程度の期間反復訓練を続けることによって、じわじわとスキルがあがっていくものです。

知識を問われる一次試験を突破しないことには二次試験は受けられないわけですが、一次試験合否が確定した9月から二次試験までの1ヶ月強で、合格に必要なスキルを身につけられるかというと、「かなり厳しい」と言わざるをえません。

予め、一次試験突破を念頭に置いて、その年の春頃から二次試験のテイスティング対策は開始するようにしましょう。
理想を言えば、ソムリエ協会方式のテイスティングの訓練を開始する前に、上述の基本6品種については、「だいたいブラインドで同定できる」くらいのスキルが身についているほうがベターです。

余裕をもって二次試験の準備をしたい方は、その1年前の秋頃から、ワインスクールの基礎クラスに通うなどして、ブラインド・テイスティングの基礎を身につけるといいでしょう。

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7. まとめ

本記事では、ソムリエ・ワインエキスパートの二次試験に合格するために知っておくべき、もろもろの情報をまとめました。

最後に申し上げておきたいのは、「場数を踏むこと」の重要性です。

ワインは楽しむための飲み物ですが、試験に合格するまでの約半年間のトレーニング期間は、あえて禁欲的になってください。
日常的に消費するワインの品種や価格帯も試験に出そうなものに絞り、可能であればブラインドの状態で、コメントを書くトレーニングをコツコツと続ければ、あなたのスキルは飛躍的に上がっていきます。

合格すれば、勝利の美酒に酔いしれられる瞬間が待っているのですから、しばしは辛抱我慢の精神で取り組んでいただければと思います。

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