奥山久美子のCulinary delight 美食の喜び vol.2

11月以降新型コロナウイルスはさらに世界中で感染拡大し、日本では会食中もマスク着用が良策とされる今日この頃。

料理を囲んで会話を楽しむことが美食の最大の喜びのひとつではありますが、このウイズコロナ時代にその喜びを享受するために、当分の間は静かに会食をする努力をしたいと思います。

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コンテンポラリーなフランス料理店

コンテンポラリーとは現代的という意味だけではなく、自由度が高く、現代のライフスタイルを優先した格式ばらないスタイル。

コンテンポラリー・フレンチは、今までに無い新しい料理を創作するアーテイストのような料理人が、伝統的な技術をベースに、豊かな発想力を武器に時代性を自由に表現するフランス料理です。

今や多様化を極めているように感じられますが、現代と結びつきながら、その独自の時代に意味を持つ要素を多少なりと再現しています。

サステナビリティは近年の常識になりつつありますが、神宮前の「フロリレージュ」は、サステナビリテイを意識した牛肉料理でこの時代を感じさせます。

また、広尾の「オード」では、各料理の食材の生産者の動画をスマホで見られるQRコードのカードが客席に用意され、日本の海や山の恵みをいただくことに感謝する生井シェフの心意気が伝わります。

モダン・フレンチとコンテンポラリー・フレンチ

パリの3ツ星レストランは全てモダン・フレンチです。

格式の高い伝統を受け継いだ正統派の料理であり、ソースを使ったクラシカルな料理を土台にしているのは当然ですが、今ならではの食べ方を打ち出しています。

また、ダイニングサロンではメートル・ドテルやシェフ・ド・ラン、シェフ・ソムリエやコミ・ソムリエ等の階層があるチームによるサービスが手軽になってきています。

しかし、コンテンポラリー・フレンチの場合は、内装やサービスはカジュアルで非常に親しみやすいです。

私が最も好きなパリのレストランはLe Cinqル・サンク(フォーシーズンズホテル・ジョルジュ・サンク)。

雰囲気に圧倒されるような格調高い3ツ星ですが、フランスの壮麗な歴史や文化を感じつつ、まるでモダンアートのようなクリスチャン・ルスケール氏の料理を楽しめます。

常に好奇心を広げて感性を研ぎ澄まして料理の新しい可能性を探り続けているというルスケール氏は、パリのルドワイヤンで12年間3ツ星を保持し、2015年にル・サンクに来てから1年以内に3ツ星を獲得した偉大な料理人。

ル・サンクはリュクスなレストランですが、その非日常的な空間で華やかな時間を過すことができるのがフランス料理の醍醐味でもあります。

昨年夏にル・サンクに行った時のアミューズのひとつに、直方体の魚のテリーヌにキャビアが乗っているものとイクラが乗っているものがあり、外観は鮨のニギリのようなフォルムでテリーヌの味は日本の蒲鉾のようでした。

フランス人は日本の文化や和食が大好きなので、インスピレーションを受けているのだと思います。

実際、フランスの星付レストランや人気店では、山葵や柚子はすでに常識、昆布、醤油、味噌、出汁などを使います。

アミノ酸の旨味成分があれば、昔のような肉×脂と塩による旨味が無くても十分美味しく感じられ、ヘルスコンシャス(健康志向)な味付けになります。

一方、固定観念にとらわれない自由な発想の料理として大人気の、パリのダヴィド・トゥタン。

少量多皿コースの食材の組み合わせは絶妙で、一皿ごとにワクワク感がとまらないコンテンポラリーな料理で有名です。

ノルマンデイ地方出身のトゥタン氏は、アルページュ、ピエール・ガニエール、ランブロワジー等の3ツ星で腕を磨き、バスクのムガリッツ、ニューヨーク、日本をはじめ世界各国で経験を重ねてから2013年にパリに出店、移転後2019年に2ツ星とのこと。

内装がシンプルなので3ツ星にはならないと言われています。

私がフランスに旅行する際は、フランスのリュクスなレストランに行きがちですが、来年はダヴィッド・トゥタンで新感覚フランス料理を味わいたいと思います。

ワインスクール
アカデミー・デュ・ヴァン


はじめての方からワインの奥深さを追求される方まで、幅広く講座を開講しています。講師にはワイン業界をリードする現役のプロフェッショナルや、生産地から生産者をお迎えしています。

広尾「Odeオード」のCulinary delight

「Odeオード」は、八丁堀「シック・プテートル」の生井祐介シェフが2017年に広尾にオープンしたコンテンポラリー・フレンチ。

“叙情詩“(作者の思いや感情を表す詩)を意味するオードでは、型にはまらない自由でアーティスティックな生井シェフのセンスが発揮されています。

シェフの好きな灰色の内装、暗めの照明はカウンターで隣のお客が気にならないようにとの配慮。

BGMに流れるインデイロック風の音楽まで、シェフが選曲するほどのこだわりです。

ランチは9皿前後で7,000円、ディナーは13皿前後で15,000円。ワインのペアリングは9,000円。

先月のドラマチックなディナー

 

①ドラゴンボール

カカオバターでコーテイングしたオマールエビの濃厚なビスク。ドラゴンボールを食べ終わるやいなや自家製のブラッドオレンジ風味のリキュールを飲むと第3の味が感じられる。

②紅葉の葉に隠れているイチョウは舞茸のサブレ

③なめこの粘性とボール型カブのロワイヤル

なめこの粘性とボール型カブのロワイヤル(コンソメの茶碗蒸し)は新感覚の味わい。

④石川県のケールと瀬戸内キャビア

●シャンパーニュ Billecart-Salmon Brut Rosé

ピュアなミネラル感と複雑性のあるロゼシャンパーニュなのでビスクからキャビアの味まで引き立ててくれる。

 

⑤グレー

オードのシグネチャー。灰色のメレンゲには鯖の骨や頭が練り込んであり、中には鯖・尾崎牛のタルタル・黒ニンニク。

●シェリー樽で6ヶ月熟成した純米酒 Afruge Ma Chérie

日本酒が苦手な方にも好まれる、アモンテイリャードを円やかにしたような風味とテクスチャー。青魚のクセが全く感じられず旨味がでる。

 

⑥秋刀魚、マコモ茸、酒粕

西京味噌やトマトの風味と一体になっている。

●白 Bourgogne Hautes Côte de Nuits Pinot Gris dit Beurot ”Les Larets “ 2017  Yve Chaley

ブルゴーニュではブーロ(バターという意味)と呼ばれるピノ・グリ。厚みがありグラな滑らかさが秋刀魚とも合う。

 

⑦北海道の熟成カボチャ、ブーダンノワールのシートにはラベンダーの香のバターソース

●白 Condrieu Les Terrasse de L’Empire 2000 George Vernay

ヘーゼルナッツとスパイス風味、まったりとしたテクスチャーが濃厚な料理に合う。

 

⑧三重県のサワラ、椎茸の出汁をふんだんに使った焦がしバターソース。グリーンのピュレはステイックブロッコリー

●ロゼ Coteaux Bourguignon Rosé 2017  Domaine Alain Jeanniard

無難な組み合わせ。

 

⑨京都の七谷鴨のロースト

七谷鴨は七谷川のほとりで放し飼いされる合鴨。抜群の火入れで甘い脂と濃い旨味。和歌山県ゆわらせみかんのソースが素晴らしい。

●赤 Gevrey-Chambertin Clos Prieur 2012  Domaine René Leclerc

鴨と抜群に相性が良い。

 

⑩沖縄のシークワーサー、愛知県の水晶文旦

●大分県小野屋のかぼす

麦焼酎とかぼすを絶妙なバランスでブレンドしたリキュール。

 

⑪ローズマリー風味の栗、キャラメル入りのほうじ茶を注ぐ

●ヴァン・ド・リキュール Vieux Macvin du Jura Francois Ganevat

サヴァニャンの果汁とその蒸留酒をブレンドしたカクテルのような食後酒。ヘーゼルナッツやキャラメルの風味。

 

⑫シャインマスカット、白ビール、エストラゴン

⑬ゆず、キャラメル

 

ワイン以外に供されるお酒は料理との相性が良く、サービスも心地よく、とても楽しい時間を過ごせました。

▶︎Restaurant Ode -レストラン オードの詳細はこちら→https://restaurant-ode.com

 

次回は家庭料理とワインについてです。どうぞお楽しみに!

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2020.12.11


奥山久美子 Kumiko Okuyama

アカデミー・デュ・ヴァン 副校長

日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
チーズプロフェッショナル
WSET Advanced Certificate
称号はシュヴァリエ・ド・タストヴァン、シュヴァリエ・ド・シャンパーニュ、コマンドリー・ド・ボルドー、シュヴァリエ・デユ・タストフロマージュ、ポートワイン名誉シュヴァリエ。

 

成城大学、文芸学部・英文科を卒業後、原宿でブティックを経営。その間、年2回のフランス及びイタリア旅行の際にその食文化に触れ、とりわけワインの美味しさとその背景にある文化に興味をもつ。1987年にパリの分校として渋谷に開校した「アカデミー・デュ・ヴァン」第一期生となり、同校でワインの知識を深めつつ世界のワイン産地めぐりを重ね、1989年に日本ソムリエ協会認定「ワインアドバイザー」の資格を得、(2016年に「シニアソムリエ」と名称が変更)。
1989年より自宅にて手料理を供しながらワインを楽しむ「奥山ワイン教室」を主宰。1991年からアカデミー・デユ・ヴァン講師となり、2002年4月より「アカデミー・デュ・ヴァン」副校長。
著書に「ブルゴーニュ、コート・ドールの26村」(ワイン王国)、「極上ワイン100本」(朝日新聞出版新書)、共著に「ワイン上手になろう」(主婦と生活社)、「ワインの基礎知識」(時事通信社)、監修に「シャンパンのシーン別楽しみ方」(朝日新聞出版)。2018年には「大人のためのワイン絵本」(フランスVinographieを監修、日本文芸社)と、「コート・ドールの26村」(ワイン王国)改訂版を上梓した。

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世界的に高名なワイン評論家スティーヴン・スパリュアはパリで1972年にワインスクールを立ち上げました。そのスタイルを受け継ぎ、1987年、日本初のワインスクールとしてアカデミー・デュ・ヴァンが開校しました。

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