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「日本ワインの夜明け」を読む。
我々が知る日本ワインの歴史は
メーカーや自治体の様々な情報の断片が
集積して編み上がった感が強い。
そう、かなり偏っているのだ。
で、この本は衝撃の書。
日本で初めてワインを造ったとされる
詫間憲久・山田宥教の両者には
カリフォルニア帰りの大藤松五郎の指導があった！とか
日本ワインの通説を覆す新発見のオンパレード。
著者の仲田道弘氏は
国立国会図書館などで丹念に一次資料に当たり
埋もれていた日本ワインの歴史を掘り起こしてきた。
その結果が前著「日本ワイン誕生考」だ。
よくまあ、ここまで調べたものだと驚愕した書。
だが資料集のようで気軽に読むにはやや手強い本だった。
それに対し「日本ワインの夜明け」は
明治期に日本ワインに関わった、
数人の重要人物たちに焦点を当てたもの。
彼らのワインに関わった人生をたどることで
日本ワインの歴史が地肉を持って生き生きと動き出す。
とても分かりやすく構成された一冊だ。
来年のソムリエ協会教本には間に合わないけど
２０２２年版では日本ワインの歴史の項目を
大幅に書き換えたいと思うくらい、
知られざる日本ワインの歴史が詰まっている。
日本ワイン愛好家には必読の書だろう。
この本には合わせるワインは。。。
現存する最古の日本ワイナリーである
まるき葡萄酒（1891年創業）の「レゾン甲州」が良いだろう。
明治初期にフランスに渡った研修生、土屋龍憲が設立したワイナリーだ。
龍憲の異国で苦労に満ちた研修を想像しながら
味わう甲州は感慨深いものとなるに違いない。
題名：日本ワインの夜明け
著者：仲田道弘
出版社：創森社
ワインスクール
アカデミー・デュ・ヴァン
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「ワイン法」を読む。
国内で唯一のワイン法を専門とする、
明治学院大蛯原健介教授の著書。
ワイン法なるものが何故必要なのか。
その原点であるフランスのAOCが誕生するまでには
ワインに関する様々な法律が生まれては消えていった。
その試行錯誤を経てAOCが成立していく様子を
時代を追って解説していく。
ソムリエの受験で暗記に苦しんだワイン法。
なぜ生まれたのか、なぜ必要なのかを
知りたくはないだろうか？
資格を取った方にこそ勧めたい一冊だ。
蛇足になるが、デュマの「三銃士」には
ロワールで造られた偽物のシャンパーニュが出てくる。
もちろんAOCが生まれる遥かに前の時代の出来事。
だが２０世紀でも日本をはじめカリフォルニアなど
世界中で「シャンパーニュ」は造られていたし
２１世に入ってもシャンパーニュ地方以外で造られている
「シャンパーニュ」はいくつか挙げられる。
この本を読みながら本家本物のシャンパーニュを味わい、
原産地呼称というものを改めて考えてみるのも
年の瀬の良い過ごしかただろう。
題名：ワイン法
著者：蛯原健介
出版社：講談社
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2020.12.11
遠藤利三郎 Risaburo Endo
本名遠藤誠。三代目遠藤利三郎を襲名する。
ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュの３大ワイン騎士団を始め多くのワイン騎士団から騎士の称号を受ける。世界の歴史や文化の視点からワインをわかりやすく語り、ワイン以外の酒類やシガーにも幅広い知識と愛情を持つ。著書に「ワイン事典（学研）」、監修に「シャンパーニュ・データブック（ワイン王国）」、「新版ワイン基礎用語集（柴田書店）」、共訳に「地図で見る世界のワイン（産調出版、ヒュー・ジョンソン）」など著作多数。ワインバー遠藤利三郎商店オーナー。
