プーリア ~コスパワインの宝庫!プーリア州のワインとその魅力を徹底解説

太陽が降り注ぐ南イタリアの一大ワイン産地といえばプーリア州。ジンファンデルと同じ品種プリミティーヴォのほか、ネグロアマ―ロやネーロ・ディ・トロイアなど固有品種が古くから栽培されてきました。手ごろなワインの宝庫でもあり、普段飲み用にぜひ押さえておきたいのがここプーリアのワイン。しっかりと基本知識を学んで、美味しいプーリアワインを選べるようになりましょう!

本記事は、ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」が監修しています。ワインを通じて人生が豊かになるよう、ワインのコラムをお届けしています。メールマガジン登録で最新の有料記事が無料で閲覧できます。


【目次】
1. ジンファンデルで再注目を浴びたプーリアワイン
2. プーリア州の気候や土壌
3. 覚えておきたいプーリアの土着品種3品種―プリミティーヴォ、ネグロアマ―ロ、ネーロ・ディ・トロイア
4. 主要産地とDOC/DOCG
5. 一度は訪れたいプーリアの世界遺産スポット
6. プーリアワインのまとめ


1. ジンファンデルで再注目を浴びたプーリアワイン

イタリア南東部にあるブーツのかかと、プーリア州。気候も温暖でイタリア一平地が多いプーリア州は、イタリアでもトップ3に入るワイン生産量を誇ります。

イタリアの他州同様土着品種のオンパレードですが、特に有名なのがプリミティーヴォ。皆さんもご存じの通り、カリフォルニアのジンファンデルと同じ品種です。ジンファンデルの起源が判明したのは、つい今世紀に入ってからのこと。それまで1世紀以上も「カリフォルニア原産」とされていましたが、UCデイヴィスの遺伝学者キャロル・メルディス博士が、クロアチアの「ツールイェナック・カステランスキー(現地ではトリビドラグとも)」と同じブドウであることを突き止めます。このブドウがイタリアに渡ったものがプーリア州の地品種「プリミティーヴォ」。すなわちジンファンデル=プリミティーヴォ=ツールイェナック・カステランスキーという事実が明らかになったのです。

ブドウ栽培に理想的な気候と平地が多い土地柄、ブドウの大量生産がしやすく、昔はヨーロッパ最大のバルクワイン供給地でもありました。しかし1980年代以降はバルクワイン需要が激減し、質から量への転換が進んだ今、品質重視の造り手や興味深いワインもでてきています。例えばプーリアに目を付けたのがスーパータスカン生みの親アンティノリ。1998年にプーリアに土地を購入し、「トルマレスカ」というワイナリーを造ったことからも、そのポテンシャルの高さがわかると思います。

2. プーリア州の気候や土壌

北をモリーゼ州、西はカンパーニア州とバジリカータ州に接するプーリア。東側をアドリア海、南側はイオニア海に面しているため、海の影響も受ける州です。平野部が53.5%、丘陵が45.3%、山岳地帯が1.4%とイタリアで最も山岳が少なく、平地の多い畑では昔からブドウをはじめとする果実、オリーブ、穀物、野菜などが栽培されてきました。気候は、暑く乾燥した夏と温暖な冬を持つ典型的な地中海性気候で、生育期の降水量も400~600mm/年と少なめ。日差しは強烈ですが、畑には海から吹く涼しい風が通り、気候を和らげてくれます。

気候が良く、手をかけずともブドウがすくすく育つプーリア。平坦な畑では機械収穫により安定した収穫量が確保できるため、以前はバルクワインの産地でしたが、EUのブドウ引き抜き政策とともに多くのブドウが引き抜かれました。特に南部では、強い日差しからブドウを守るために伝統的にアルベレッロ仕立て(株仕立て)が多かったのですが、そうした株仕立ての古いブドウ樹も多くが引き抜かれてしまいました。古木のワインの需要が高まっている今、貴重な財産が失われてしまったのは痛手といえるかもしれません…。

主な土壌は石灰岩を基盤とし、その上には鉄分豊富な堆積土壌が分布しています。特にマンドゥーリアは、テラロッサ(赤土)で有名です。

テラ・ロッサ(赤土)の葡萄畑

3. 覚えておきたいプーリアの土着品種3品種―プリミティーヴォ、ネグロアマ―ロ、ネーロ・ディ・トロイア

イタリアの例にもれず固有品種の宝庫であるプーリア。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、シラー、シャルドネ、モスカートなど国際品種も栽培されていますが、7割を固有品種が占めています。イタリアの代表選手であるサンジョヴェーゼやアリアニコ、モンテプルチアーノのほか、プリミティーヴォ、ネグロアマ―ロ、ネーロ・ディ・トロイア、ボンビーノ・ビアンコ、マルヴァジア・ネーラ…など多様な固有品種のオンパレードですが、黒ブドウで覚えておきたいのは以下の3種類。

プリミティーヴォ

ジンファンデル

「プリミティーヴォ」とはイタリア語で「最初の」という意味。プーリア州では芽吹きも熟すのも早く8月に収穫が始まることも多いです。春先の霜のリスクはありますが、秋雨の影響を受けにくいのは栽培上のメリットです。また、プリミティーヴォは、カリフォルニアのジンファンデルより早熟でバラ房&小粒のため、病気に比較的強い傾向があります。成熟は早いものの一つの房の中で不均一に熟すため、高品質なワインを造るには厳しい戦果が必要になります。日照量の多いプーリアでは、ワインのアルコールは14度前後~高いものだと16度を超えることも。濃厚な果実味とビロードのような味わいを持つしっかりとしたワインになります。

香りや味わいでいえば、完熟したベリー風味とスパイスが特徴。ただし成熟度によって大きく変わります。収穫時期の早いブドウは、フレッシュな苺などチャーミングな赤い果実主体。収穫が遅くなるにつれ、熟した果実の風味やレーズンなど濃厚な風味を呈するようになります。ちなみにプリミティーヴォをアメリカで売る場合、ジンファンデルとプリミティーヴォは別品種としてラベル表示をしなければいけません。

ネグロアマ―ロ

プーリア州、特に南部のサレント半島で主に栽培されている黒ブドウです。「黒くて苦い」という意味する通り、色素とタンニンが強いのが特徴。高収量で病気や干ばつにも強いため、長年フランスや北イタリアのワインとブレンドするバルクワイン用に造られていましたが、造り方次第でチャーミングな赤やロゼになる品種です。最も有名なのがサリチェ・サレンティーノDOC。単一でもブレンドでもワインは造られますが、よくブレンドの相方となるのがマルヴァジア・ネーラ。酸が強くタンニンが粗いネグロアマ―ロと、アロマと果実味あるマルヴァジア・ネーラはブレンドの相性が良いのです。またサレント半島はヨーロッパから人が集まるリゾート地としても有名。ネグロアマ―ロから造られるロゼは、夏のバカンスのお供として愛飲されています。

ネーロ・ディ・トロイア

プーリア州の中部と北部で栽培されている品種で、プーリア州で最も古くから存在する固有品種のひとつです。別名ウーヴァ・ディ・トロイアとも呼ばれるように、果皮が厚いため色が濃く、タンニンもアルコールも豊かな赤ワインを産むブドウ品種です。プリミティーヴォやネグロアマ―ロと違い、晩熟の品種のため、完熟するのに時間がかかります。よって収穫が秋にかかり、秋雨の被害を受けやすいという難点も。ワインにする際はアリアニコやモンテプルチアーノとブレンドすることも多いですが、近年は単一品種で造る生産者にも要注目。特にトッレヴェント社のヴィーニャ・ペダーレ(カステル・デル・モンテ ロッソ リゼルヴァDOCG)は、エレガントでスタイリッシュなワインとして、非常に高い評価を受けています。

白ブドウとしては、トレッビアーノ・トスカーノとトレッビアーノ・ジャッロという2種類のトレッビアーノの栽培量が多く、安価でフルーティーな白ワインの原料として使用されます。

4. 主要産地とDOC/DOCG

プーリアには4つのDOCGがありますが、うち3つが集中しているのが、北部のカステル・デル・モンテです。「カステル・デル・モンテ」の名は、13世紀に建設された世界遺産のお城から来ており、ブドウ畑はその周辺に広がっています。

・カステル・デル・モンテDOC

・カステル・デル・モンテ・ロッソ・リゼルヴァDOCG(赤)

・カステル・デル・モンテ・ネーロ・ディ・トロイア・リゼルヴァDOCG(赤)

・カステル・デル・モンテ・ボンビーノ・ネーロDOCG(ロゼ)

泡白ロゼ赤とさまざまなタイプを造れる広域DOCであるカステル・デル・モンテDOCから、2011年に3つのDOCGが独立。リゼルヴァと名のついたDOCGはどちらもネーロ・ディ・トロイア主体の赤ワインです。ロッソの方は、ネーロ・ディ・トロイアが65%以上。品種名がついたDOCGは、ネーロ・ディ・トロイアの使用比率が高く、90%以上使用する必要があります。

カステル・デル・モンテ・ボンビーノ・ネーロDOCGは、ボンビーノ・ネーロ主体で造られる珍しいロゼのDOCG。ボンビーノ・ネーロは果皮が厚めで酸味が強いため、ロゼワインも酸とボディ感のバランスが良く、余韻まで太い酸味が続くしっかりとしたロゼになります。

かかとの南部の銘醸地が、南に突き出したサレント半島のワイン産地。特にマンドゥーリア周辺には石灰岩の上に赤土(テラロッサ)が広がり、プーリア州南部で唯一のDOCGであるプリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア・ドルチェ・ナトゥラーレDOCGを産出しています。

・サリチェ・サレンティーノDOC

その名の通りサレント半島を代表するDOCで、泡白ロゼ赤甘口すべての種類が造れる包括的なDOC。特に有名な赤ワイン(サリチェ・サレンティーノ・ロッソDOC)は、主にネグロアマ―ロにマルヴァジア・ネーラのブレンドで造られます。

・プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリアDOC

プリミティーヴォ主体(85%以上)の赤ワイン。濃厚な果実味、高いアルコールを持つパンチがきいた赤ワインで、比較的手ごろなワインも多いため世界中で人気があります。リゼルヴァの場合、熟成期間は24ヶ月間以上(うち9ヶ月間は木樽での熟成)、最低アルコール度数14%が必要です。

・プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア・ドルチェ・ナトゥラーレDOCG

2011年にプリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリアDOCより独立した、甘口赤ワイン(最低残糖量50g/l)のDOCG。この産地のブドウは糖度が上がるため残糖が残る場合も多く、単なるプリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリアDOCだと見分けがつきにくかったのですが、DOCGとして独立したことで、ラベル上から甘口ワインの見分けがつくようになりました。元来はブドウの樹の上で干しブドウ上になったものから造られていましたが、現在は収穫後に陰干ししたブドウでワインを使ってもOK。

・ジョイア・デル・コッレDOC

知名度は高くありませんが、もうひとつ覚えておきたいのがプーリアの中部にあるジョイア・デル・コッレDOC。1800年代からプリミティーヴォの栽培が始まった歴史ある産地です。プリミティーヴォ主体(50~60%以上)で、モンテプルチアーノやサンジョベーゼ、ネグロアマ―ロなどとブレンドされる赤ワインです。海抜250~500mとプーリアにしては標高が高いため、「高地のプリミティーヴォ」として注目が集まっています。

5. 一度は訪れたいプーリアの世界遺産スポット

アルベロベッロ

アルベロベッロ

プーリアには4つの世界遺産があるため、ワイン産地を巡りながら世界遺産を訪れるのも楽しい産地です。州を代表する世界遺産と言えば、「アルベロベッロ」。とんがり帽子と白い壁が特徴的な「トゥルッリ」という家が立ち並ぶ光景は、まるでおとぎの国のよう。一度は訪れてみたい世界遺産です。そして産地のところでも紹介した「カステル・デル・モンテ」は、世界遺産に認定されたお城です。8角形の形をした不思議な外観をしており数字の「8」と結びつきの深いので、8が好きな人はぜひ訪れるとよいでしょう。ほかにも大天使ミカエルが降り立ったといわれる洞窟教会「サン・ミケーレ聖所記念堂」や、協会や、6世紀から続くブナの原生林が広がる「フォレスタ・ウンブラ」などみどころいっぱいです。

また、南端のサレントはバカンス客でにぎわうリゾート地としても人気があります。きんきんに冷やしたネグロアマ―ロのロゼを飲みながらリラックスするのは最高のひとときですね!

6.プーリアワインのまとめ

手ごろな普段飲みワインが多く見つかるプーリアは、年間ワイン消費量が多くなってしまうワインラバーの救世主でもあります。また、普段はプリミティーヴォを選ぶ方も、ネグロアマ―ロやネーロ・ディ・トロイアなどを選んでみると、また違った楽しさが味わるはずです!ぜひイタリアの奥深い固有品種の世界に足を踏み入れ、ワインの世界を広げてみてくださいね。

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