甘味の強いアイスワインの魅力とは

甘味の強いアイスワインの魅力とは

濃厚な甘さが特徴のアイスワイン

こちらは貴腐ワインと同様にデザートワインの一種です。

アイスワインも貴腐ワインも、ワインにしては甘く、口の中に入れた瞬間にその濃厚な味わいが広がります。

ウイスキーや日本酒などとも異なる、デザートワイン独特の味わいとなっています。
お酒好きなら、ぜひとも味わうべきでしょう。

貴腐ワインについて知りたい方は「魅惑の甘さ!貴腐ワインの秘密とは(準備中)」をご覧ください。



本記事は、ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」が監修しています。ワインを通じて人生が豊かになるよう、ワインのコラムをお届けしています。メールマガジン登録で最新の有料記事が無料で閲覧できます。

【目次】

アイスワインとは

原料ブドウの収穫からワイン造りまで

アイスワインをおいしく飲むには


では、上の目次に沿ってアイスワインを説明します。

アイスワインとは

アイスワインというのは、氷点下で生み出される極甘口ワインのことでデザートワインの一種です。

直訳すると氷のワインとなるので、名前だけ聞くと「シャーベット状のワイン?」と感じてしまうかもしれませんが、そうではありません。

凍ったブドウを使って造るという意味で、アイスワインという名前がついています。

シャーベット状ではなく、通常のワインと同じように液体のワインですので、お間違いのないようにしてください。

産地として有名なのはドイツオーストリアカナダです。

かなり珍しいのですが、日本産のアイスワインもあります。

関連:「デザートワイン(甘口ワイン)ってどんなワインのこと?

デザートワイン(甘口ワイン)ってどんなワインのこと?

アイスワインが生まれた背景

アイスワインの発祥は18世紀末のドイツ・バイエルン北部にあるフランコニア地方です。

ブドウを凍らせてアイスワインを造ろうと意図していたわけではなく、偶然できたと言います。

その当時、寒波によって収穫できずに放置されていたブドウを捨てるのがもったいないと考えた生産者は、その凍ったブドウを使ってワインを造りました。

そうしたところ、芳醇な甘さを持つ、香り豊かなワインが生まれたのです。

たちまち評判となり、「貴族のワイン」とまで呼ばれるようになりました。

アイスワインの甘さはどこから生まれるのか

「アイスワインはどうしてそんなにも甘いの?」という疑問もあるでしょう。

通常のワインと同じようにブドウから造られるのに、どうして極甘口になるか知りたいですよね。

それは使うブドウに違いがあるのです。

先ほどもご紹介したように、アイスワインは凍ったブドウを使って造られるので甘くなるのです。

どういうことかと言いますと、凍らせたスポーツドリンクやジュースを飲んだことはありますよね。

溶け切る前に飲むと最初は甘く、最後のほうは水のように薄くなってしまいます。

ここから分かるように、水分は凍りやすく、糖分などは凍りにくいので先に溶けてくるのです。

ブドウを凍らせると水分が凍り、糖分や酸味、その他の成分は凍らずに凝縮されます。
その水分以外が凝縮された部分を使うため、通常のワインよりも甘く仕上がるというわけです。

アイスワインと貴腐ワインの違いとは

アイスワインも貴腐ワインもデザートワインの一種です。

ですが、この2つのワインには当然違いがあります。

<アイスワインと貴腐ワイン 2つのデザートワインの違い>

どんな違いがあるのかここに見ていきましょう。

■使用しているブドウの違い

まずは、使用しているブドウの違いがあります。

寒波を待ってブドウを凍らせる手法を取るアイスワインに対して、貴腐ワインは貴腐菌と呼ばれるカビ菌の力を借りるという手法を取ります。

手法は異なりますが、水分以外が凝縮されたブドウの部分を使う点で、アイスワインと貴腐ワインは共通しています。

貴腐ワインは完熟したブドウを木になったまま育て続けることで、ブドウの中の水分を取り除いて、糖分や酸味、その他の成分を凝縮させているのです。

■味わいや風味の違い

ブドウを凍らせるアイスワインと、カビ菌の力を借りる貴腐ワイン。

アプローチが違うことから、それぞれのワインが持つ味わいや風味にも違いがあります。

貴腐ワインには、ハチミツのようにねっとりとした甘さがあります。

それにカビ菌の力を借りているということもあり、カビ由来の独特の香りがするという特徴があります。

それに対して、アイスワインには、酸味があってさっぱりとした甘さがあります。

アイスワインの風味はブドウのネクターとも言うべきもので、ピュアな果実味と甘味が凝縮されています。

甘さ加減はどちらも同じですが、使用しているブドウの違いから、味わいや風味に違いが生まれるのです。


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原料ブドウの収穫からワイン造りまで

アイスワインの原料ブドウを収穫するまでには大変な労力がかかります。

というのも、原料ブドウはすぐには凍ってくれないからです。

通常の収穫期が過ぎても、ブドウを摘まず、葉がすべて落ちてしまってもまだ摘まずに房だけを木にぶら下げておきます。

そうこうするうちに、寒波によってブドウが凍りつく日が、ようやくやってくるのです。

最低でもマイナス7~8℃まで冷え込ないとブドウが凍りませんから、寒波が訪れるまで根気よく見守っていく必要があるのです。

ブドウが夜間に凍りついたら、夜が明ける前に一気に収穫します。

そして、ブドウが溶ける前にプレスしてワイン造りをしていくことになります。

原料ブドウを得るのには非常に骨が折れます。

寒波を待っている間にカビが繁殖してブドウがダメになったり、鳥に食べられてしまったりすることもありますし、暖冬で寒波がこないなんてこともあります。

さらに、収穫できたとしても、その量はごくわずか。収穫できる量は通常の10分の1から、多くても6分の1程度にしかなりません。

手間もかかるうえに、稀少であることから、アイスワインの価格は比較的高くなります。

人工的に原料ブドウを得る方法もある

アイスワインの原料となる凍ったブドウを収穫するためには、最低でもマイナス7~8℃になる必要があります。

そのため、アイスワインは冬場に厳しい寒さが訪れる寒冷地の特産品ですが、そうした地域以外でもアイスワインを製造する方法はあります。

それは、人工的にブドウを凍らせるという手法です。これをクリオ・エクストラクション(cryo extraction)と言います。

日本でもアイスワインがつくられていますが、国産アイスワインは基本的にはブドウを人工的に凍らせる手法でつくられます。

アイスワインをおいしく飲むには

アイスワインをおいしく飲むには

アイスワインをおいしく飲むには、よく冷やすことが重要です。

7℃前後で味わうようにしてみてください。

家庭用冷蔵庫の温度がおおよそ2~6℃とですので、冷蔵庫から出してそのまま、あるいは少し放置してから飲むとよいでしょう。

ただ、1つ注意すべきは冷やし過ぎないということです。

人間の味覚は冷たくなるほど鈍ってしまいます。

適温となる7℃前後で楽しんでみてください。

また、アイスワインは極甘口のワインですから、食後のデザートと合わせたり、デザートの代わりとしたりして飲んでみてくださいね。


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まとめ

以上、アイスワインについてご紹介しました。

自然の厳しい環境下で偶然生まれたアイスワイン。

糖分や酸味などの成分がギュッと詰まった濃厚な甘さを持っていること、それから貴腐ワインと比べると、果実味のある味わいのすることなどが分かりましたね。

これを機にアイスワインと貴腐ワインを飲み比べてみてはいかがでしょうか。

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