【永久保存版】カリフォルニアといえばジンファンデル!品種特性から有名産地を徹底解説

アメリカを象徴する黒ブドウ、ジンファンデル。ロゼから甘口まで作れる万能なブドウで、果実味豊かな味わいはワイン初心者にも人気ですよね。一方、カジュアルなワインだけでなく長熟の高級ワインにも化ける「やればできる子」でもあるんです。

本記事では、今世紀になって解明されたジンファンデルのルーツから品種特性、おすすめ産地までポイントを押さえて徹底解説。多様なスタイルを持つジンファンデルを理解すると、ワインライフがもっと楽しくなりますよ!

本記事は、ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」が監修しています。ワインを通じて人生が豊かになるよう、ワインのコラムをお届けしています。メールマガジン登録で最新の有料記事が無料で閲覧できます。


【目次】

1. ジンファンデルのルーツを巡る旅
 1.1 カリフォルニアでの隆盛
 1.2 明かされた起源の謎
2. ジンファンデルワインの香りや味わい
3. 実は育てるのが難しい?近年は古木に注目
4. 醸造方法でも変わるスタイル
5. ジンファンデルの主な産地
 5.1 カリフォルニア
 5.2 イタリア・プーリア州
6. ジンファンデルの選び方のコツ・楽しみ方
7. ジンファンデルに合う料理
8. まとめ


1. ジンファンデルのルーツを巡る旅

1.1 カリフォルニアでの隆盛

ジンファンデルといえば、アメリカを象徴する品種。カリフォルニア州が一大産地です。1820年代にオーストリアから東海岸へ持ち込まれ、ゴールドラッシュのさなかにカリフォルニアでも栽培されるように。気候に見事に適合し、1880年代のカリフォルニア最初のワインブームでは、州最大の品種として栄えます。金鉱目当ての労働者(フォーティーナイナーズ)の日常酒はジンファンデルから造られた赤ワインだったのです。

その後、フィロキセラの被害や禁酒法など度重なる苦難によりカリフォルニアでのワイン造りは衰退。戦後にようやく復活の兆しをみせ、ワイン消費が右肩上がりのアメリカにおいて売れに売れたのも実はジンファンデル。今度は赤ではなくピンク、それもやや甘口のロゼワインでした。この「ホワイトジンファンデル」は万人受けする口当たりの良さで1980~90年代にバカ売れ。全米売り上げNo.1ワインとして長年君臨しました。後述するように現在は古木のジンファンデルをはじめ多様なスタイルが再注目されていますが、このホワイトジンファンデルブームにより、ジンファンデルの樹は引き抜かれずに済んだという見方もあります。

1.2 明かされた起源の謎

新天地アメリカで花開いたジンファンデル。その起源については近年まで謎に包まれ、1世紀以上も「カリフォルニア原産」とみなされていたのですが、2001年についにルーツが判明。カリフォルニアUCデイヴィスの遺伝学者キャロル・メルディス博士によるDNA解析により、クロアチアの「ツールイェナック・カステランスキー(現地ではトリビドラグとも)」と同じであることがわかりました。このブドウがイタリアに渡ったものがプーリア州の地品種「プリミティーヴォ」で、ジンファンデル=プリミティーヴォ=ツールイェナック・カステランスキーという衝撃の事実が明らかになったのです。

ちなみにジンファンデルは栽培が難しいため、湿潤なクロアチアでは当時絶滅寸前でした。現在はジンファンデル人気で見直され栽培面積も増えているそう。めでたしめでたしですが、名前が覚えにくいのだけ何とかならないものでしょうか……。

2. ジンファンデルワインの香りや味わい

ジンファンデルワインの特徴を一言でいえば、むせかえるような濃厚なベリーの香りと果実の甘みです。ただしその香りや味わいは成熟度によって大きく変わります。ジンファンデルは中庸~晩熟な品種ですが、糖分を蓄積しやすくアルコール度数が16~17度に達することも。アルコール度数を抑えたエレガントなワインを造るには、収穫のタイミングが重要です。収穫時期の早いブドウは、フレッシュな苺などチャーミングな赤い果実主体、収穫が遅くなるにつれ、熟した果実の風味やレーズンなど濃厚な風味を呈するようになります。

皮は比較的薄いため、アントシアニンとタンニンの抽出量は少なくなり(抽出度によりますが)、ジンファンデル単体で造ると色は淡め、渋みも控えめのワインになります。

3. 実は育てるのが難しい?近年は古木に注目

ブドウは中庸~大きめの果粒で、果皮が薄く果粒同士が密着しているため、カビ病に弱いのが弱点です。生育特性としては、樹勢が強く、肥沃な土地だと収量過多になりがち。高品質なブドウを得るには、収量の管理が大切なポイントです。またブドウの成熟にばらつきがあり、一房のなかに未熟な青いブドウとレーズン状のブドウが混在することも多々。素朴で親しみやすいイメージから放っておけばブドウが成るかと思いきや、実はピノノワールと同じ位厄介なブドウ品種でもあるのです。

そしてジンファンデルといえば、今特にカリフォルニアで注目されているのが古木。古木のワインが一概に高品質かというと、様々な議論があるのですが……古木が多く残っているのは、幹の病気に強く寿命が長いことも要因の一つ。最近では垣根仕立ても増えていますが、古い畑では株仕立ても多く、古木のブドウから優れたワインも多く造られています。

現在では古木の畑を保護する動きもさかん。2001年にアメリカで設立されたNPO「Historic Vineyard Society」は、50年以上前に開墾され、1/3以上が開墾当時のブドウ樹であることを基準に、古木畑の認定を行っています。現在は約100か所が認定されており、その9割以上がジンファンデル主体の畑です。

4. 醸造方法でも変わるスタイル

単体かブレンドか

醸造方法によってもジンファンデルのワインはそのスタイルを大きく変えます。まずは単体か、ブレンドか。ジンファンデルのピュアな果実味やチャーミングさを活かしたいなら単体のワインがベターですが、単体だと熟成のポテンシャルは低くなり複雑味にも欠ける傾向があります。そのため長期熟成向きワインを造りたいなら、ジンファンデルにプティ・シラー(強靭な渋みと色味をプラス)やカリニャン(酸味と渋みをプラス)といった強い黒ブドウを少量ブレンドして、足りないバックボーンを補完する造り手が多いです。

また、現存する古木の畑は、伝統的に複数品種が混植されていることも。カリフォルニアのジンファンデル最上の生産者のひとつ、リッジ・ヴィンヤーズのジンファンデルは、ジンファンデル主体にほかの品種(カリニャン、プティ・シラー)が加わるのが特徴ですが、その古木の畑もやはり混植です。それらをブレンドすることで複雑味が増すことが、先人たちは経験から知っていたのかもしれません。

アメリカンオークかフレンチか

そして熟成の仕方。ステンレスタンクで発酵・熟成させ早飲みスタイルを作ることもありますが、高品質なワインは樽(新樽を含む)で熟成されます。樽の種類や焼き加減、熟成期間等でも風味は大きく変わり、アメリカンオークとフレンチオークが二大主流。アメリカンオークとの相性も良く、アメリカンオークで熟成させることでジンファンデルの魅力が引き出されます。アメリカンオークはラクトン(ココナッツ風味のもととなる化合物)を大量に含むため、より甘い香りの、カリフォルニアらしいワインに。フレンチオークの場合は、アメリカンオークに比べると樽香のつき方がもっと穏やかで、上品なヴァニラ風味が加わります。これらの選択はワインメーカーがどういうスタイルを造りたいかにかかっています。

5. ジンファンデルの主な産地

5.1 カリフォルニア

現在カリフォルニアではカベルネ、メルロに次ぎ黒ブドウで第三位の栽培面積(約4.1万エーカー/2019)。冒頭に書いた通り紆余曲折の歴史を経てきたジンファンデルですが、今現在では再びジンファンデルの多様なスタイルが注目されています。

かつて一世を風靡したホワイトジンの一大産地は、安価に大量にブドウを作れる内陸のセントラル・ヴァレー。高級なジンファンデルの産地は、ナパ・ヴァレーソノマ、ベイエリアに点在しています。特にソノマのドライ・クリーク・ヴァレーは19世紀にイタリア人入植者が植えた古木のジンファンデルが多く残り、高品質のジンファンデルの産地として成功。腐りやすいジンファンデルを霧のかからない高地に植えたことが功を成したのです。また、内陸部のシエラ・フットヒルズロダイも古木で有名。ロダイはカリフォルニア州全体の高級なジンファンデルの4割を生産し、「ジンファンデルの首都」を自称しています。

ロダイの古木ジンファンデル

いわばジンファンデルはアメリカ人の誇り。ジンファンデルを普及する団体もあり、ZAP(Zinfandel Advocate & Producers)は、ジンファンデルの研究・普及・消費者教育などを目的とする非営利団体として知られています。1992年に22のワイナリーによりスタートし、現在では300を超えるワイナリーが加盟。毎年1月にサンフランシスコで開かれるジンファンデルのお祭り「ジンファンデル・テイスティング」は業界関係者や一般のワインファンでにぎわいます。

5.2. イタリア・プーリア州

イタリア半島の南東部、かかと部分にあるのがプーリア州。温暖で乾燥した地中海性気候を持ち、平地の多い畑では手をかけずともブドウ栽培に向き、手ごろなワインの宝庫です。イタリアといえば十着品種の多さで有名ですが、このプーリア州の土着品種の代表格がプリミティーヴォ(=ジンファンデル)で、18世紀から栽培されてきました。プーリア州最上の赤ワインであるプリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリアDOC、残糖量が最低50g/lの甘口の赤ワイン、プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア・ドルチェ・ナトゥラーレDOCGもこのブドウから造られます。

「プリミティーヴォ」とはイタリア語で「最初の」という意味。ジンファンデルにもクローンが多数あり、現在は39種類が認定されています。プリミティーヴォのクローンは3種類が登録されていますが、カリフォルニアのものより早熟でバラ房=かび病に比較的強い傾向があります。早熟とはいってもアルコール度数は16度を超えることもざらで、濃厚な果実味とビロードのような味わいを持つしっかりとした「太陽のワイン」になります。

ちなみにプリミティーヴォをアメリカで売る場合、ジンファンデルとプリミティーヴォは別品種としてラベル表示をしなければいけません。

6. ジンファンデルの選び方のコツ・楽しみ方

若いうちから楽しめるのがジンファンデルの大きな魅力です。フルーティーでなめらかな味わいは、万人にとって受け入れられやすく渋い赤ワインが苦手という方にもおすすめです。

さらに最大の楽しみは、その多様なスタイル。中甘口ロゼから軽~重い赤、はたまた甘口ワインまで様々な選択肢があり、フルボディの赤ワインの中でも冷涼感を感じるエレガント系からライトなスタイルまで選び放題。お気に入りのスタイルを探すのもジンファンデルの楽しみといえるでしょう。

そして忘れてはいけないのが、ジンファンデルの熟成の可能性。若いうちから楽しめるため、ついつい早く飲んでしまいがちですが、偉大な赤ワインになる伸びしろを秘めたジンファンデルワインもあります。特に古木で低収量の畑から造られたワインはポテンシャルが高く、補助品種をブレンドしたワインは良いものだと20~30年は熟成が可能です。なかにはシミ・ワイナリーのジンファンデル1934年のように70年以上の寿命を持つワインもあるというから、ジンファンデルの可能性は、まだまだ未開拓な部分があるといえそうです。

7. ジンファンデルに合う料理

ハンバーガーやステーキなど、いかにもアメリカらしいがっつりしたお肉料理に合うのはいうまでもありません。フルーティーで渋みが控えめなカジュアルなジンファンデルの赤なら、少し冷やしてBBQ等でわいわい飲む機会にもおすすめです。

そしてぜひ試してみてほしいのがチョコレートを使ったデザートと頂くこと。濃厚な果実味を持つフルボディの赤ワインは、チョコレートケーキと完璧なマリアージュを見せてくれるでしょう。

8. まとめ

カジュアルなワインから長熟の高級赤ワインまで、スタイルも多様なジンファンデル。この記事を読んだあなたは、ジンファンデルのポテンシャルをしっかり理解できたはずです。フロンティアスピリットにならって、ぜひ新たなジンファンデルの魅力を開拓してみてくださいね!

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