ポルトガルワイン ~世界一のワイン好きが住まう産地のポテンシャル

ポルトガルと聞けばまず思い浮かぶのはポートワイン。そして、同じく酒精強化ワインのマデイラ。でも、品質向上の著しいスティルワインも注目です。今回は、チェックしておきたい、ポルトガルの主要ワイン産地を全般的に俯瞰します。

本記事は、ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」が監修しています。ワインを通じて人生が豊かになるよう、ワインのコラムをお届けしています。メールマガジン登録で最新の有料記事が無料で閲覧できます。


【目次】
1. 意外と盛り上がるポルトガルの酒精強化ワイン
2. ポルトガルワイン中興の祖~ロゼ
3. これから楽しみ!色彩豊かなスティルワインの産地
4. ポルトガルワインのまとめ


ポルトガルは、一人当たりワイン消費量で世界一位。2023年発表の統計値では一人当たりで、年間90本!日本は、まだ年間4本ですから、いかに桁外れにワインを愛している国かがわかります。

そして、ポルトガルは全土で19万ヘクタールの栽培面積を有していますが、大幅に栽培面積は減少しています。輸出に目を移してみますと、第一位の相手国の米国は当然として、第二位には珍しい国がランクイン。ブラジルです。旧宗主国とのつながりは時を経ても深いのですね。スティルワインだけに絞れば、ブラジルは最大の貿易相手国です。

1. 意外と盛り上がるポルトガルの酒精強化ワイン

酒精強化ワインは、ポルトガルの海外向け輸出では重要な位置づけにあります。最大の取引国であるアメリカ向けでは、金額ベースで、35%がポートワインとマデイラです。最近では、アメリカを中心としたポートワインのブームが再燃し、その昔の食後に葉巻を燻らせて楽しむようなイメージからは、大きく変化が見られます。

ミレニアル世代が氷を浮かべてカクテルにするとか、缶に入ったロゼポートを明るい太陽の下で、友人たちと楽しむなどの需要が生まれています。

ポートワイン

ポートワインとドウロ

ポートワインの歴史には、イギリスとポルトガルの政治的な友好関係が、深く関わっています。14世紀には既に、この2国はウィンザー条約により世界最古ともいわれる2国間の同盟関係を結びました。17世紀にはフランスとイギリスの関係悪化の裏で、両国の関係がさらに強化されます。そして、ポルトガルからイギリスへのワインの輸出が増加。多くのイギリス商人たちもポルトガルに定住するようになります。ポルトガル北部のドウロ・ヴァレーのワインに目をつけた商人たちは、海上輸送をするに際して、ブランデーの添加により、品質の担保を図りました。こうして、ポートワインが生まれたのです。

このブランデーは、アグアルデンテと呼ばれます。アルコール度数は77%とかなり高い上に、ワイン全体の4分の1ほどを加えます。ですので、その品質はポートワインそのものに影響を及ぼします。90年代に入るまでは、カーサ・ド・ドウロと呼ばれる管理委員会が、一手に流通を押さえ、生産者に自由は有りませんでした。今では海外含めて質の高いアグアルデンテの調達もできるようになり、ポートワインの品質も、向上したと言われています。

このアグアルデンテのポートワインの味わいへの影響を、具体的に示した研究はあまり見つかりません。ですが、生産者の声を聞いてみると、「ヴィンテージ・ポートの熟成期間中、果実のフレーヴァ―が減った時に効果を発揮する。どのタイミングで飲んでも美味しく飲めるようになった。」との意見もあります。

ポートワインは、アルコール発酵の途中、まだアルコール度数が5~7%程度のところで、アグアルデンテを添加。発酵を停止させます。こうして、発酵途中の糖分が残糖となり、甘口のワインができあがります。アルコール添加までに、短時間で十分なルビー色の綺麗な発色を得るために、伝統的には、花崗岩からできた平坦な発酵槽、ラガールが使われていました。

種を潰さないように、人が足で柔らかく果実を踏んで、果汁を抽出。醸し、発酵を行いました。残糖が、100g/L前後で、20%程度のアルコール度数のワインになります。今日では、こうした作業は、労働集約的ですし、経験も必要ですから、高級なキュヴェの生産に用いられます。量を追求するには、ステンレスタンクにピストンを設置する場合や、安価なワインには、炭酸ガスの圧力を醸しに有効活用する、オート・ヴィニファイアーの他、先進の機械化されたロボット・ラガールも開発、導入されています。

ポートワインにゆかりの地域をドウロ川河口から見ていきましょう。先ずは、大西洋に川が流れ込む、ポルト市の向かいのヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア。大手ポートワイン生産者の歴史的な輸出拠点。生産したワインが集中的に貯蔵されていました。大西洋の影響がありますので、涼しく、ワインの熟成に向いたのです。

ドウロ川流域のワイン産地はユネスコ世界遺産にも登録されています。最も下流、つまり西端にあるのは、バイショ・コルゴ。西部に標高1,400メートルのセーラ・ド・マラン山があり、大西洋の影響が抑えられています。それでも、気温は低く、降水量は、ドウロ川流域産地では最も多くて、年間900ミリほど。主として廉価なルビーポートトゥニー・ポートが生産されます。

中流は、最も品質が高いワインを生む産地、シマ・コルゴ。暖かく、乾燥した大陸性の気候です。高級なヴィンテージ・ポート、10年、20年、30年等と熟成年数を表記した長熟のトゥニー・ポートが造られます。皆さんご承知の通り、ヴィンテージ・ポートは、古いポートワインということではありません。生産者が素晴らしい年のブドウから造った高品質ワインを申請して、ドウロ・ポートワイン協会に認可されるもの。ですので、毎年造られるわけでは無いのです。樽で長期間熟成して、比較的早い段階でオレンジ色やレンガ色に色調が変わったトゥニー・ポートとは造り方も異なります。ヴィンテージ・ポートは、大樽で最大3年間熟成した後は、瓶内で長い眠りについてゆっくりと年を重ねて行くのです。このヴィンテージ・ポートに準じた品質のポートワインに、シングルキンタとレイト・ボトルド・ヴィンテージ(LBV)があります。テイスティングのイベントで、様々な種類のワインをブラインドで味わってみると、この3つのポートワインの利き分けがなかなか難しいことが分かります。

急斜面の畑では、ドイツのモーゼルが有名ですが、ドウロも中々の厳しさです。等高線に沿った、テラス状の岩壁で守られた、ソカルコスと呼ばれる畑が壮観です。眺めは良いのですが、機械化には不向き。18世紀から19世紀に掛けて建設され、2~3メートルの高さがあります。

最も上流で内陸に位置するのは、ドウロ・スーペリア。暑くて乾燥が進み、雨量は500ミリを切り、畑もまばらです。一方では、比較的平坦な土地にも恵まれていますので、機械化も取り入れられています。

ポートワインは、様々なブドウ品種がブレンドされますが、主要なもので特に憶えておきたいのは、黒ブドウのトゥーリガ・フランカティンタ・ロリスと、トゥーリガ・ナショナルです。栽培面積で、上位3位を占めます。白ブドウでは、マルヴァジア・フィーナ、モスカテル・ガレゴ・ブランコが主流です。

トウリガ・フランカの、片方の親はトウリガ・ナショナルでドウロが故郷。書き物で確認ができるのは19世紀と比較的新しい品種です。比較的、栽培が容易で収量も安定しています。品質も良いのですが、トウリガ・ナショナルの強い骨格、長期熟成可能性には及びません。

ティンタ・ロリスは、スペインのテンプラニーリョ。アレンテージョでは、アラゴネスと呼ばれます。

トウリガ・ナショナルは、ポルトガルを代表する黒ブドウ品種。落ち着いた、黒系果実に、甘苦いスパイスや、フローラルな香り。凝縮感と骨格を兼ね備えて、ボディも色合いも厚いワインを生むので、スティルワイン向けにも重用されます。故郷はダンでは無いかと考えられています。ただ、樹勢は強く、花ぶるいやうどん粉病に掛かりやすいとされています。

ポートワインのふるさと、ドウロの土壌は変成岩の片岩が中心。亀裂が縦方向に走るので、ブドウの根が深く張りやすいと言われます。養分が少なく、水分も不足しがちなドウロ川内陸で、灌漑が困難な畑でも、こうした土壌がブドウ樹の味方をしてくれるのです。

代表的な大手生産者では、ワレやグラハムと言ったポートハウスを有するシミントン、テイラーとフォンセカを有するフラッドゲートを押さえておけば良いでしょう。

マデイラ

マデイラワインとマデイラ島

マデイラは、大西洋に浮かぶポルトガル領の島。ポルトガル本国への距離よりも北アフリカへの方が近いという立地。山がちな島で、1,800メートル級の山もあり、北部や中部は降雨量も多い環境です。

ここで生まれる酒精強化ワイン、マデイラは、96%の高濃度のアルコールを添加。加熱により意図的酸化をさせ、カラメルやドライフルーツの味わいを持ちます。そして、ポートワイン、シェリーと並ぶ世界3大酒精強化ワインの一つです。

畑は、ドウロと同様に、段々畑の様なテラスで栽培されるところが多く、機械化は困難。病害からブドウ樹を守るため、空気の循環の良い棚仕立てで大切に育てています。

発酵期間はワインのスタイルによって、異なります。高級なマデイラに使用される高貴ブドウ白品種には、辛口ワインを造る、酸が高く晩熟なセルシアル。そして甘さの強いスタイルに向かって順番に、中辛口のヴェルデーリョ、中甘口のブアル、そして最も甘く豊満なマデイラになるマルヴァジアが使われます。

こうした高級な品種よりも、一般的な品質のマデイラ用の黒ブドウ品種、ティンタ・ネグラの栽培面積が圧倒的に広いのが実際のところです。

熟成方法が特有で、特に高級なワインは、カンテイロといわれる、ワイナリー上部の温度が高い部屋で樽熟成されます。

ティンタ・ネグラを使用する、一般的な品質のマデイラは、カンテイロで長期間熟成していられません。ですので、エストゥファと呼ばれる、人工的に、加熱熟成する工程で、早期熟成。セメントやステンレスタンクを使用して、温水を通すなどして熟成を早めるのです。当然ながら、複雑性では、カンテイロには敵いません。

代表的な生産者は、ヴィニョス・バーベイト、ブランディーズを有するマデイラ・ワインカンパニーエンリケシュ&エンリケシュを押さえておけば良いでしょう。

2. ポルトガルワイン中興の祖~ロゼ

1942年にマテウス、1944年にランサーズが登場し、2つの甘口ロゼが時代を席巻します。

80年代には、ポルトガルのワイン輸出の4割をマテウスが占めたと言われています。この中甘口で微発泡の、世界的に流行したロゼ、マテウスを扱っているのが、ポルトガルのワイナリー最大手のソグラペです。

当初は、第二次世界大戦に巻き込まれていなかったブラジルに輸出しようとの計画で、当時の市場ニーズの、ほんのりとした甘さを取り入れて大ヒット。特徴的な瓶の形は、第一次大戦の時に、兵士が持っていたフラスコ瓶を模したとされています。

ランサーズは、アメリカ市場で受け入れられるようなロゼを模索した結果、その通り、アメリカで大ヒット。

いずれも、マーケットありきで、上手く市場ニーズに適合したワインを投入することでヒットした良い成功例です。

一世を風靡したマテウスも、最近では、少し鳴りを潜めているかと思っていると、さにあらず。イメージを一新した、マテウス・ドライ・ロゼをリリース。今や、ロゼの主流となったプロヴァンスの、辛口ロゼの流行をしっかり意識しています。

3. これから楽しみ!色彩豊かなスティルワインの産地

ポルトガルは、土着品種が250種類を越えます。これを活用したスティルワインを試さない手はありません。

ポルトガルのワイン産地地図

ヴィーニョ・ヴェルデ(VINHO VERDE)

文字通りの意味は緑のワイン。大西洋に面して、ポルトガル最北端に立地。ポルトガル全体で31あるDOCの一つです。

この下のランクの、ヴィニョ・レジョナル(IGP)は、生産の規則が緩やか。カベルネ・ソーヴィニョンやシャルドネなどの国際品種の使用を許す場合も。品質が落ちると考えるのは少し短絡的で、自由なワイン造りを追求するために、敢えて、ヴィニョ・レジョナルを選択する生産者もいます。

ヴィーニョ・ヴェルデの場合は、DOCもIGPも同じ地域をカバーしていますが、複数のDOCが一つのIGPの地域に包含されるケースが殆どで、ポルトガル全土では、14のヴィニョ・レジョナルが設定されています。この下の階級のヴィニョは、産地や品質規則に拘らず、一般的なテーブルワインが造られます。

ヴィーニョ・ヴェルデのワインは、実はポートワインよりも早く、16世紀には北ヨーロッパに輸出されていたと言われています。

この産地は、海洋性気候で、雨量が多く、灰色かび病も近年被害が増加していますが、なんと言っても、ベト病が、この産地で最も深刻な病害です。

ワインは、伝統的には、薄い色調で、微発泡。残糖を感じる酸が高い、低アルコールの爽やかな白ワイン。微発泡なのは、瓶の中で、マロラクティック発酵が起こり、炭酸ガスが発生するというのが、そもそもの起源。ですが、今や、ワイン造りは大分、進歩しています。

微発泡のワインでも、二酸化炭素は、管理が難しい自然発生的なものでは無く、注入方式が主流。

それどころか、意図的に二酸化炭素を注入すること無く、高品質なワインとして、勝負する生産者も増えています。低温長期発酵や、コンクリートエッグの採用、さらには半年以上の澱との接触による厚みのある味わい。これまでのヴィーニョ・ヴェルデのスタイルの枠を超えて、高品質ワインを追求する新しい世代の生産者たち。将来が楽しみです。

ブドウ品種は、白ブドウのロウレイロ主体で、これにアリントや、アルバリーニョをブレンド。ロウレイロは月桂樹の意味。月桂樹の葉や花の他にもオレンジやアカシアを思わせる、香り豊かな収量にも恵まれた品種です。

それでも、お隣のスペインのリアスバイシャス発で、すっかり国際的に有名になっている、アルバリーニョが最も品質が高いと考えられています。ですので、アルバリーニョが多く栽培されている、最北部のサブ・リージョン、メルガッソ・モンサオンが高い評価を受けています。リアスバイシャス同様、この産地では垣根仕立てに加えて、棚仕立てが使われています。

ドウロ (DOURO)

ドウロでは、歴史的に土着品種が混植されてきました。所有者も一体何種類の品種があるのか分からないと言う嘘のような本当の話も。数少ない品種に頼ると、干ばつや花ぶるいなどに襲われた場合、まとまった損害が出やすいので、合理的ではあります。

でも、畑の一部では、十分に果実が熟しているのに、その隣では暫く、収穫できない果実が残っているという事態になり、収穫も選果も大変。ブドウ樹が年月を経て落ち着いてくるまでは、手間が掛かると言います。

原産地呼称を管理している、ドウロ・ポートワイン協会。生産量の調整や、定められた仕様にあっているかをテイスティングして確認するなどの役目を担っています。近年では、スティルワインの人気向上にも力を入れています。また、灌漑に関しての規制も緩めています。以前は、気候環境が極めて厳しい時だけでしたが、今では、品質劣化の可能性がある場合には、灌漑ができるようになりました。温暖化の影響が共通認識として定着したお蔭です。

2003年に5人の仲の良い著名な造り手が集まってできた、ドウロ・ボーイズ。スティルワインを盛り上げて、ポートワイン産地を越えて有名にしようと頑張っています。ニーポートの他、キンタ・ド・クラストキンタ・ド・バリャードという由緒正しいワイナリーが参加しています。キンタ・ド・クラストは、「ワールド・ベスト・ヴィンヤード」で上位の常連。その一部、銘醸畑のヴィーニャ・マリア・テレサには、なんと54種類のブドウ品種が栽培されています。

シミントンは130年の長きにわたる歴史を有するドウロのポートワインの名門。そのシミントンも、アレンテージョには魅力を感じて進出しています。スティルワインに力を入れていますが、ブドウの収穫も早摘みにして、酸を保持するなど努力を惜しみません。

歴史的にポートワインが造られてきたドウロでは、スティルワインはまだまだ品質向上の途中。様々な土壌や標高、日照などの異なったマイクロテロワールに応じた品種や栽培方法が検討されて、益々素晴らしいワインを生み出すのが楽しみです。

近年、ドウロで高級赤ワインが注目されるようになったのは、1950年代にフェルナンド・ニコラウ・アルメイダが、この産地の赤ワインの可能性を見出したお蔭です。

今では、ソグラペに買収された、名門ワイナリー、フェレイラ。そこで働く、フェルナンドは、ボルドー大学教授であり、偉大なコンサルタントで有ったエミール・ペイノーからの指導を受けます。目をつけたのは、ドウロ・スーペリアのキンタ・ド・ヴァレ・ミアオンのブドウ。

そして、バルカ・ヴェーリャというスーパー・プレミアムワインを造ります。伝統的なラガールでは無く、木樽を使い、温度管理にも気を配るという当時としては画期的な進歩でした。

ソグラペが買収した後は、キンタ・ド・ヴァレ・ミアオンのブドウ調達を、近傍のキンタ・ダ・レダのブドウに切り替えましたが、高い評価は変わっていません。

元の、キンタ・ド・ヴァレ・ミアオンの畑は、今はオラサバル家が所有。トウリガ・ナショナル、トウリガ・フランカなどの品種からラガールも活用。ドウロ・ボーイズの一人フランシスコ・オラザバルがワイン造りをして、キンタ・ド・ヴァレ・ミアオンのブランドで販売。様々なメディアから高い評価を得ています。

アレンテージョ(ALENTEJO)

アレンテージョは、北は山がちですが、南部の西側は平野が広がり、地中海性気候に恵まれています。シラーや、カベルネ・ソーヴィニョンなどの国際品種も栽培されています。

この産地で広く見られるのが、アンフォラの活用。ローマ時代からのワイン文化が今でも息づいています。一方で、コンサルタントが入って、品質の高いワインを造り、EUの助成金のお蔭で弾みもついて、投資が活発に行われ、大規模なワイナリーも多く立地しています。

アンフォラ

こうした背景から、この産地は近年のスティルワインの震源地と言えます。一方、ポルトガルの中でもブドウ栽培の歴史は古い産地。ローマ人がやってくる遥か以前からワイン造りが行われていました。古くは、紀元前7世紀から9世紀に遡る古代王国タルテッソス、そして、フェニキア人、ギリシャ人へとバトンが渡されました。

こうした歴史的な遺産が、垣間見られるのが、アンフォラの重用。除梗、破砕したブドウは、ポルトガルではターリャと呼ばれるアンフォラに入れて発酵させます。

ポルトガル最高のプレミアムワインと言われてきた、バルカ・ヴェーリャよりも高い価格で最近、売り出されたアレンテージョのジュピターコード1。ターリャで4年間の発酵、熟成を経たワインです。

この産地では、アラゴネスと呼ばれる、テンプラニーリョが最大栽培面積を占め、同じく黒ブドウ品種のトリンカデイラとのブレンドが伝統的。トリンカデイラは、優れたワインを生むものの、かび病耐性の問題などから生育が容易では無いと言われています。

この産地は、ワイン・ツーリズムにも最適です。2014年には、全米大手全国紙のUSA TODAYの読者投票で、ナパ・ヴァレーやトスカーナを押しのけて世界で最も訪問したいワイン産地の1位に輝いています。

ダン(DAO)

ダンは、スティルワインで有名なポルトガルの中央に立地する産地です。ドウロの南部に位置。主として標高400~500メートル程度で栽培が行われます。山岳地帯に囲まれる丘陵地で、夏は暑く乾燥して冬は寒く雨が多いという大陸性気候です。大西洋への距離が近い場所では、地中海性気候の影響も受けます。

19世紀の貴族でブドウ栽培家であったサカドゥラ・ボッテ・コルテ=リアルがこの産地を盛り上げました。しかし、20世紀に入って、サラザールが首相となり、独裁体制を敷くと暗転。この産地では、協同組合のみがワイン生産を許されるという事態になります。ポルトガルのEUへの編入の方向性が見える迄は、この体制が続きました。今では、小規模生産者が、繊細でエレガントなワインを造っています。

土壌は、花崗岩や、片岩が主体。7つのサブ・リージョンがあり、ラベルに追加表示が可能です。赤ワイン中心の産地で、トウリガ・ナショナルが代表的なブドウ品種。仕立ては、株仕立てから垣根仕立てへの移行が進んでいます。

白ワインでは、エンクルザードが有名。ポルトガルで最高品質レベルの白ブドウとされています。この産地出身と言われていて、骨格がしっかりした長期熟成が可能なワイン。芽吹きも成熟も比較的早く、標高の高く、日較差が大きい畑で、凝縮感と酸味の両方に恵まれた果実を実らせます。

バイラーダ(BAIRRADA)

バイラーダは、ダンの西隣。ヴィーニョ・ヴェルデの南で、大西洋に沿って、立地しています。粘土質と石灰岩の土壌で、黒ブドウ品種のバガがこの産地のシグニチャーです。大西洋に隣接していますから、海洋性の気候で、涼しく、雨が多くなります。バガは晩熟な品種ですので、秋の長雨が収穫の邪魔になるのは困りもの。酸が高く、マテウス・ロゼにも活用されてきましたが、今では、スティルワインでも良いものができています。果皮は薄く、灰色かび病に掛かりやすいとされています。

ポルトガルの白ブドウ品種で最大面積を占めるマリア・ゴメスは、この冷涼な産地では、スパークリングワインに無くてはならない存在です。また、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、ピノ・ノワール、シラーと言った国際品種も活用されている産地です。

タヴォラ・ヴァローザ(TAVORA-VAROSA)

タヴォラ・ヴァローザは、北にドウロ、南にダンに挟まれた小さな産地。ローマ時代に遡る歴史はありますが、この産地が有名になるのは、12世紀にシトー派修道院が建設されて、ブドウ栽培を始めてから。

スパークリングワインのDOC生産地として最初に認められた産地です。標高が高く、大陸性の影響を強く受ける畑は、スパークリングワイン用ブドウには最適。酸を保持したブドウが栽培されます。

スパークリングワイン用には、白ブドウが主役。マルヴァジア・フィーナが栽培面積の半分ほどを占めます。この品種は、マデイラでは、ブアルとして活躍しています。また、スパークリングワインでは、高品質の決め手ともされる、シャルドネやピノ・ノワールも、長らくこの産地で栽培されてきています。

伝統方式で造られる、瓶内二次発酵のスパークリングワイン。基本は、9か月の澱との接触による熟成。でも、リゼルバやグランレゼルバでは、1年から3年と更に長い熟成期間を経てから出荷されます。シャンパーニュと同様に、香りと味わいに深みと複雑性を醸しだす、リザーブワインの使用も認められています。

4. ポルトガルワインのまとめ

今回は、ポートワインに留まらない、ポルトガルのワインの魅力を広く見てきました。酒精強化ではポートワインだけでなく、マデイラも押さえておく必要がありましたね。一世を風靡したロゼのマテウスも世に送り出したのは、ポルトガルだったのはご存じだったでしょうか。これからは、品質が高いスティルワインも、日本で気軽に手に取れる機会が増えそうです。この機会に、ぜひ、ワイン選びが気軽にできるように勉強しておきましょう。

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