ランブルスコとは? ~ワイン初心者にも愛好家にもおすすめ!赤スパークリングの魅力を徹底解説

珍しい赤のスパークリング、ランブルスコ。イタリアきっての美食の州エミリア・ロマーニャの名産だけに食事にも合わせやすく、コスパの高さでも人気ですよね!一方でフルーティーな甘口から辛口の本格派までさまざまなタイプがあり、「何を選んでいいのかわからない!」という方も多いのではないでしょうか?今回は、意外と奥の深いランブルスコについて学びましょう。

本記事は、ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」が監修しています。ワインを通じて人生が豊かになるよう、ワインのコラムをお届けしています。メールマガジン登録で最新の有料記事が無料で閲覧できます。


【目次】
1. イタリアの赤スパークリング、ランブルスコとは?
2. ランブルスコの産地と気候
3. 押さえるべきは3品種と5つのDOC
4. 安くておいしい理由、ランブルスコの製法
5. ランブルスコは、甘口?辛口?ラべルはこう見る
6. ランブルスコの楽しみ方
7. ランブルスコのまとめ


1. イタリアの赤スパークリング、ランブルスコとは?

ランブルスコは、主にイタリアのエミリア・ロマーニャ州で造られる微発泡の赤ワイン。苺やチェリーなど赤果実の香りに心地よい泡を持ち、アルコール度数も約8~11度と控えめなので、初心者にも大人気!実はロゼや白も造られていますが、やはりランブルスコといったら赤が有名です。

ランブルスコが一世を風靡したのは1970~80年代。フルーティーで飲みやすい「大人のコーラ」な味わいが、特にアメリカを中心に爆発的にヒットしました。後述するようにランブルスコには甘口と辛口がありますが、この時代に流行したのは安価な甘口のスタイル。人気に乗じて低品質で甘いだけのワインも出回り、ランブルスコのイメージ低下にもつながったのは悲しいことです。今でもスーパーやコンビニで数百円から手に入り、リーズナブルで飲みやすいワインが多いランブルスコ。一方、昔ながらの伝統製法で造った辛口ランブルスコや、単一畑のブドウを使いヴィンテージを冠した複雑なスタイルもあります。コスパが良く、幅広い食事と合わせやすいこともあり、愛好家からも再び注目を集めています。まさにランブルスコにルネッサンスが起こっているのです。

2. ランブルスコの産地と気候

ランブルスコはイタリア北部エミリア・ロマーニャ州のレッジョ・エミリアモデナパルマ県と、そのお隣ロンバルディア州のマントヴァ県で主に造られます。イタリア最長のポー川流域の平原からアペニン山脈のすそ野まで広がる産地は、温暖な大陸性気候。ほどよい降水量(年間700㎜程度)もあり、ブドウがよく育つエリアです。ランブルスコに使われる品種は、古代ローマ時代からその高い生産性で重宝されてきました。多くのランブルスコがリーズナブルなのは、とにかくブドウがたくさん取れるからなんです(もちろん、収量を落としてブドウに凝縮感を持たせる生産者もいます)。

土壌は主に粘土やシルト主体の肥沃な沖積土壌で、丘陵地帯に行くと石灰が多くなります。比較的湿度が高いため、高さのあるGDC(ジェニーヴァ・ダブル・カーテン)という仕立て方が伝統的ですが、コルドン仕立てもよく用いられます。いずれにせよ、作業を効率化するため機械化に対応できる仕立てが一般的です。

3. 押さえるべきは3品種と5つのDOC

実はランブルスコはブドウ品種の名前でもあります。一口にランブルスコといっても、さまざまな種類があり、DOCによってメインに使われる品種も変わります。まずは3つの品種を頭に入れておきましょう。

ランブルスコ・ディ・ソルバーラ種

一番高品質とされているのがランブルスコ・ディ・ソルバーラ種で、この品種を60%以上使用したDOCがランブルスコ・ディ・ソルバーラ DOCです。フローラルで香り高く、比較的色の淡い、酸のしっかりしたキレイ系スタイルになります。渋みは後の2つに比べると控えめで、辛口のスタイルになることが多いです。ソルバーラ種は雌花で、受粉にほかの品種が必要なため、ランブルスコ・サラミ―ノ種とよく混植されます。

ランブルスコ・サラミーノ種

最も栽培面積が多いのがランブルスコ・サラミーノ種。ランブルスコ・サラミーノ・ディ・サンタ・クローチェ DOCというアペラシオンの主要品種(85%以上)ですが、他の品種とブレンドされることも多い品種です。色が濃いわりにタンニンは控えめで、赤い果実の香りがするバランスの良いランブルスコになります。ソルバーラ種とグラスパロッサ種の中間タイプといえるでしょう。ちなみに果房の形がサラミハムに似ていることが名前の由来だそう。

ランブルスコ・グラスパロッサ種

ランブルスコ・グラスパロッサ種を85%以上使用して造られるのが、ランブルスコ・グラスパロッサ・ディ・カステルヴェトロ DOC。この品種は粘土質土壌で真価を発揮し、3つの品種唯一丘陵地帯で栽培されます。収量が比較的低く、果皮が厚いため、色も濃くタンニンのしっかりしたフルボディのランブルスコになります。

このブドウ品種を冠した3DOCは、すべてモデナ県から造られます。そのほかに、より広域の地域名をDOCに冠するものも。それがモデナのランブルスコ・ディ・モデナ DOC、レッジョ・エミリアのレッジャーノ・ランブルスコ DOC、マントヴァのランブルスコ・マントヴァーノ DOCです。モデナは適度なボリュームとバランスの良い味わい、レッジャーノは香りに複雑性がありややスレンダー、マントヴァ―ノはやわらかく果実的な味わいともいわれます。

ちなみにカジュアルなランブルスコはIGTでも出荷され、DOCの割合はわずか 4分の1ほどです。

4. 安くておいしい理由、ランブルスコの製法

ランブルスコのユニークな赤い泡は、多くがタンク方式で造られます。タンク方式とは、シャンパーニュやカヴァ、フランチャコルタのような伝統方式と異なり、その名の通りタンクの中で泡を造る方法。酵母由来の香ばしい香りを必要とせずブドウ品種のアロマを際立たせたいスパークリングワインに向きます。タンク方式またはシャルマ方式と呼ばれることが一般的ですが、イタリアでは、この方式を1895年に発明したピエモンテの醸造家フェデリコ・マルティノッティの名にちなんで「マルティノッティ方式」と呼ぶところも少なくないそう。二次発酵に使われるタンクを設計し特許を申請したフランス人のユージン・シャルマの名が有名になってしまいましたが、イタリアには「俺たちが発案者だ!」という誇りがあるのかもしれません。

具体的な方法としては、まず1次発酵を行い、ベースワインを造ります。赤のランブルスコの場合は、果皮をジュースに数日漬け込み、好みの色調を出していきます。その後、1次発酵が終わった泡のないベースワインを大きな密閉式のステンレスタンクに移し、酵母とその食べ物となる糖分を入れ、2次発酵へと進みます。アルコール発酵で酵母がアルコールを生み出すときに同時に発生する炭酸ガスを、密閉式タンクのなかでワインに溶け込ませまるのです。2次発酵の期間は、1~2.5気圧の微発泡(フリッツァンテ)の場合は2週間ほど、3気圧以上の発泡(スプマンテ)の場合は4週間ほど。甘口にする場合は途中で発酵を止め残糖を残すか、最後に甘み成分を添加します。発酵終了後は果実のアロマを残すため、澱と接触させず瓶詰めします。シャンパーニュのように何年も蔵で寝かせる必要もなく、すぐに市場に投入できるのは生産者にとっての大きなメリット。動瓶や澱抜きの作業もないため、圧倒的に安価な価格で売り出せるというわけです。

ちなみにランブルスコは、タンク方式がメジャーになるまでは田舎方式で造られるのが伝統的でした。田舎方式とは、一次発酵の途中でワインを瓶詰し、残りの発酵を瓶内で行うことで炭酸ガスをワインに閉じ込める方法。途中で酵母や糖分を追加しないナチュラルな造り方で、澱抜きせず亜硫酸無添加のにごり系ワインも多いです。伝統的な製法をリスペクトし、現在も一部の生産者は田舎方式や瓶内二次方式で造っており、そうした質の高いランブルスコに今、光が当たりつつあります。特にフランチェスコ・ベッレイという生産者が伝統製法で造るランブルスコ・ソルバーラなどが有名です。また、さまざまな地域からのブドウをブレンド&ノンヴィンテージ(ヴィンテージ表記がないもの)が多いランブルスコに、「単一畑」と「ヴィンテージ」の概念を始めて取り入れたのが、メディチ・エルメーテ。フィレンツェの名門メディチ家が所有するワイナリーです。その「コンチェルト」というワインは、小売り2千円代前半で、日本でも簡単に手に入ります。

5. ランブルスコは、甘口?辛口?ラベルはこう見る

ランブルスコのラベルを見ると、長ったらしい名前が書いてあるかもしれませんが、見方のポイントは簡単。色のタイプ、泡のタイプ、そして甘辛度(甘口か辛口)か。

色はRossoなら赤、Rosatoならロゼ。Biancoなら白。泡はSpumanteなら発泡、Frizzanteなら微発泡。そして甘辛度は4種類。Dulce(ドルチェ)=甘口、Amabile(アマービレ)=中甘口、Semi Secco(セミセッコ)=中辛口、そしてSecco(セッコ)=辛口です。

ちなみに輸出向けには甘口や中甘口が主流ですが、イタリアでは辛口や中辛口タイプが食事とともに日常的に飲まれています。

6. ランブルスコの楽しみ方

パルミジャーノ・レッジャーノ

ボロネーゼで有名なボローニャが州都のエミリア・ロマーニャ州には、イタリアきっての美食の都。パルマの生ハムパルミジャーノ・レッジャーノモデナ産バルサミコなどが名産品です。そこで生まれるワインは、当然食事との相性もばっちり。ランブルスコの心地よい泡と酸味が、お肉や乳製品の油分をすっきり洗い流してくれるんです。辛口のランブルスコは、ハムやチーズ、トマトソースのパスタやピザ、ラザニアなどイタリアン全般にもよく合います。変化球として、黒酢の酢豚などの中華やスパイスのきいたエスニック料理と合わせてみるのもおすすめです。中甘口~甘口のものは、苺やチェリーを使ったデザートや食後のチーズなどにバッチリです。 

 そしてSNS映えするポップでお洒落なボトルが多いのもランブルスコの隠れた魅力。何より珍しい赤のスパークリングワインで乾杯すれば、パーティーでも盛り上がること間違いなし!カジュアルで美味しいランブルスコは大人数でも気軽に楽しめるため、女子会はもちろん、クリスマスパーティーなどイベントにも向きます。バーベキューによく冷やしたランブルスコなんて最高です!飲みなれた人の集まるワイン会なら、伝統方式で造られた辛口ランブルスコを持っていくと、喜ばれますよ。

7. ランブルスコのまとめ

語呂が良くて覚えやすく、綺麗な色と泡が気分を上げてくれるランブルスコ。スタイルも幅広くTPOによりさまざまな楽しみ方ができるので、ぜひ日常使いしたいワインです。まずは今週末、ランブルスコを開けてイタリアンな気分を楽しんでみてはいかがでしょうか?

豊かな人生を、ワインとともに

(ワインスクール無料体験のご案内)

世界的に高名なワイン評論家スティーヴン・スパリュアはパリで1972年にワインスクールを立ち上げました。そのスタイルを受け継ぎ、1987年、日本初のワインスクールとしてアカデミー・デュ・ヴァンが開校しました。

シーズンごとに開講されるワインの講座数は150以上。初心者からプロフェッショナルまで、ワインや酒、食文化の好奇心を満たす多彩な講座をご用意しています。

ワインスクール
アカデミー・デュ・ヴァン