爽やか白ワインの代名詞、ソーヴィニョン・ブランの魅力を徹底解説!

ソーヴィニョン・ブランといえば、シャルドネに次ぐ白ブドウの人気国際品種。青草や柑橘の香りのフレッシュで爽やかな辛口白ワインはワイン初心者にも人気です。かたや、こくのあるリッチなタイプや甘口など、さまざまなスタイルのワインを造ることもできるソーヴィニョン・ブラン。

本記事では、ブドウ品種の特徴からおすすめ産地などを解説していきます。白ブドウのスター、ソーヴィニョン・ブランを押さえておけば、ワインの楽しみ方がもっと広がりますよ!

本記事は、ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」が監修しています。ワインを通じて人生が豊かになるよう、ワインのコラムをお届けしています。メールマガジン登録で最新の有料記事が無料で閲覧できます。


【目次】

1. ワイン初心者にもおすすめのSB
 1.1 わかりやすい品種特性で人気獲得
 1.2 ブドウの特徴と適した気候
 1.3 樽を使うか否かでスタイルが変わる
2. SBの主な産地
 2.1 ロワール
 2.2 ボルドー
 2.3 NZ
 2.4 チリ
 2.5 南アフリカ
 2.6 カリフォルニア
3. 飲み頃やおすすめのグラスは?楽しみ方のポイント
4. SBに合わせたい料理
5. まとめ


1. ワイン初心者にもおすすめのSB

1.1 わかりやすい品種特性で人気獲得

ソーヴィニョン・ブラン(SB)というとどんな香りや味わいをイメージしますか?

ハーブや柑橘の爽やかなアロマにクリスピーな酸、フレッシュな味わいを思い起こしたのではでしょうか。そうなのです。SBの特徴といえば、そのわかりやすい品種特性。ブラインドテイスティングでもSBは比較的わかりやすい品種です。

白ワインの王者シャルドネも万人に愛されている品種ですが、シャルドネとの決定的な違いはこのわかりやすさ。シャルドネ、と一口にいっても栽培地や造り手で大きくスタイルが異なるこの品種に比べ、SBは比較的どんな香りや味わいかが想像しやすく、「イメージと違った!」ということも少ないのが嬉しいポイント。ゆえにワイン初心者にもおすすめの品種です。一方で自己主張が強い分、好き嫌いがわかれやすいともいえます。

SBは、カベルネ・ソーヴィニョンの片親でもあります。Sauvignon Blanc × Cabernet Franc = Cabernet Sauvignonという家系図をみると、高貴な血筋が窺えますよね。

もともとはボルドーを含む南西フランスとロワールに由来し、そこから世界中で栽培されるように。特にニュージーランドのSBは、その特異なスタイルから、世界のSBのイメージを変えるほどに世界を席巻しました(詳細は2.3章参照)!

SBは単体ですっきりと辛口のワインになることが多いですが、甘口ワインの原料になることもあります。また、他の品種とブレンドしたり、樽を使ったりして重厚なスタイルに仕上げることもあります。

1.2 ぶどうの特徴と適した産地

栽培の特徴としては、比較的芽吹くのが遅く、春の遅霜の被害を受けにくい品種です。名前のSauvignonはSauvage(ソバージュ)=野生から来ている通り、樹勢は強く葉が勢いよく伸びるため、造り手はその点では栽培管理に苦労するようです。とはいえ比較的育てやすく、栽培面積も約12.3万ヘクタールと、高級白品種のなかではシャルドネに次ぐ広さです。

生育期は比較的短いため、冷涼~温和な産地での栽培に適しています。香りの良さとフレッシュな酸味が醍醐味であるSBは、ある程度の日照量がありながらも酸味をキープできる環境がベスト。

冷涼な気候だと、青草やレモン、青リンゴなどよりフレッシュな青さを伴う香りが出やすく、温和な気候だと熟した柑橘やパッションフルーツなど華やかな香りを発します。

SBにはさまざまな香り成分が含まれていますが、代表的なのが、3MH(3-メルカプトヘキサノール)というチオール系物質。パッションフルーツやグレープフルーツの皮のような柑橘香の正体です。

実はこの香り物質を発見したのは日本人。名門ボルドー大学でワインのアロマの研究をしていた故・富永敬俊氏の功績なんです。この発見はSBのワイン造りに大きく影響を与えました。

1.3 樽を使うか否かでスタイルが変わる

「樽なし/さっぱり/軽快」なスタイルが一般的なSB。この場合、発酵・熟成容器に樽を使わず、酸素をできるだけシャットアウトし嫌気的に醸造します。また、3MHといったSBの香り成分をワインに引き出すために、スキンコンタクトという低温で果皮を果汁に漬ける工程もよく行われます。

SBの品質を上げた人物として覚えておきたいのが、ボルドー大学のドゥニ・デュブルデュー教授。スキンコンタクトを広めたのもデュブルデュー教授の功績です。そのほかにも温度管理できるステンレスタンク、樽熟成などの醸造手法を導入し、ボルドーに白ワイン革命を起こしました。

ちょっぴりワイナリーの裏話をすると、樽を使わないということは、ワイナリーのセラーで長期熟成する必要がなく早く出荷できる=良いキャッシュフローにつながり製造コストが安くなるというメリットも。一方で、多少個性は強いもののさっぱりとした味わいは幅広い飲み手の舌にも合いやすく、比較的安価であるため買いやすいという利点も。早飲みできるのも気軽に楽しめるポイント。こうしてみると、SBは飲み手と造り手双方にとって嬉しいブドウなのです。

樽を使い複雑なスタイルに仕上げる場合は、樽の仕入れ(新樽の場合)と熟成にかかるコストがかかってくるので、高級ワインになることが多いです。その分熟成ポテンシャルも上がり、それが飲み手の別の楽しみにもつながるといえます。

2. SBの主な産地

2.1 ロワール

SBの故郷はフランスです。なかでもロワール川上流にあるサンセールプイィ・フュメは、元祖生みの親ともいうべき伝統的産地。ロワールは北緯47度と、フランスの中でも冷涼な気候にあるため、ハーブやホワイトペッパーなどが香る、気品のある辛口白ワインを産みます。日照量の多く華やかで明るいニュージーランドのSBと比較してみると、その奥ゆかしさや繊細さは一目瞭然です。

特筆すべきはその土壌。石灰質土壌や牡蠣殻の化石を含んだキンメリジャン土壌シレックス土壌といった特徴的な土壌がワインの味わいにも影響します。シャブリにも似たミネラル感や火打石の香りをはっきりと感じられることも。火打石の香りを産むといわれるシレックス土壌を名前に冠したディディエ・ダグノーの「シレックス」というワインは、歴史的な1本。樽を使ったロワールの珍しいSBで、とろりと粘性の高い濃密な味わいはロワールのSBのイメージを塗り替えてしまいました。価格も約3万円と高級です。

ロワールの鬼才・天才・異端児などと称されたディディエ・ダグノー氏ですが、2008年に飛行機事故に会い、52歳という若さで帰らぬ人となってしまいました。以降は息子さんが引き継ぎ、ダグノー氏の物語とともに今もなお語り継がれています。

2.2 ボルドー

樽を使いほかの品種とブレンドする複雑なSBの産地の代表がボルドー。とくにボルドー左岸のペサック・レオニャン&グラーヴ地区は高級辛口SBの名産地。SBをセミヨンとブレンドし、樽発酵・樽熟成(新樽を使うことも多い)をしてコクのあるボリューミーなスタイルに仕上げていきます。ボルドーのSBは、白桃やパッションフルーツの華やかな香りに上品な樽香が融合した極上のアロマを持ちます。なんとも優美な味わいは、お見事!の一言。

一方、ボルドーの右岸、ガロンヌ川とドルトーニュ川に挟まれたアントル・ドゥー・メール地区のSBはタイプが異なります。単体でも、セミヨンやほかの品種とブレンドすることもありますが、ステンレスタンクで短期間熟成された、すっきり爽やかな辛口タイプが多くなります。ボルドーは牡蠣の名産地でもあるので、牡蠣にフレッシュなSBは、地元の定番の合わせ方です!

ボルドーのSBは、世界最高峰の甘口貴腐ワイン・ソーテルヌにも一役買っています。ソーテルヌの主原料は、セミヨンという白ブドウ品種。このブドウは香りが華やかで粘性のあるワインを生みますが、いかんせん酸が低いのがマイナスポイント。ここでSBの高い酸と爽やかな香りが加わると、絶妙なバランスになるのです。

2.3 NZ

フランスの元祖SBを席巻する勢いで存在感を高めたのが、ニュージーランドのSB。NZの南島にあるマールボロ地区がその中心地です。驚くことに、その歴史は浅く初めてSBが植わったのは1973年。「世界がその白に目覚めた」きっかけは、とある1本でした。それがかの有名なクラウディ・ベイのSB。1985年に発売されるや否や、これまでのSBになかったトロピカルフルーツの香りと青いアロマが同居する鮮烈なスタイルが、世界のワイン市場をあっと驚かせました。

クラウディ・ベイはマーケティングの上手さもあって、売れに売れたNZのSB。今ではNZにおける全栽培面積の62%をSBが占めています。一方、生産者の間では「SBに頼りきりでいいんだろうか…?」という懸念も。NZは自国でのワイン消費が少なく、8割を輸出に頼っている国です。SBのお決まりのスタイルが飽きられてしまったら、NZのワイン業界はどうなるのか?という点は確かに心配です。ですが、そこで手をこまねいているようなNZの人たちではありません。野生酵母で発酵させたもの、樽発酵・樽熟成したもの、スパークリングワインなど、今やさまざまなバリエーションのSBを造り、飲み手を飽きさせないような取り組みをしています。さすが、チャレンジスピリット!

2.4 チリ

チリでは、SBが白ブドウの栽培面積トップ。シャルドネに勝るというから驚きです。豊富な日照量に恵まれた地中海性気候、かつ霧や海風、高い標高により昼夜の気温差の大きいチリの気候は、SBの栽培にぴったりなのです。

沿岸部のカサブランカ・ヴァレーは上質なSBの名産地。特に冷たい海風が吹きつけるサン・アントニオの小地区レイダ・ゾーンは、「レイダといったらSB」というくらい有名です。

びっくりニュースとしては、1990年代、実はチリで植えられているSBはソーヴィニヨン・ヴェール(ソーヴィニョナスとも)というアロマの乏しい変異種だったと発覚したこと。19世紀にボルドーから苗木を輸入したときに一緒に持ち込まれ、混ざって植えられてしまったのが原因だそう。

2.5 南アフリカ

南アフリカというと、まずシュナン・ブランが思い浮かぶと思いますが、実はSBも栽培の歴史が古く、1880年代にはすでにコンスタンシアの畑に植わっていました。生産量もシュナン・ブラン、コロンバール(安ワイン用)に次ぎ第三位。ここ数年栽培量も年々増えており、じきにコロンバールを抜きそうな勢いです。気温が高いながらも、冷たいベンゲラ海流と海風がブドウを冷やしてくれる気候は、涼しめの環境を好むSBに向いています。特にケープタウン地区のコンスタンシアやダーバンヴィルがSBの名産地として有名。標高が高く冷涼なエルギンも、プレミアムSBの産地として注目を浴びています。

2.6 カリフォルニア

温暖な地中海性気候であるカリフォルニア。ハーブ香が際立つ清涼なスタイルのSBを造るには温暖なため、果実味豊かなスタイルのSBを産出しています。

カリフォルニアのSBの歴史を変えた1本といえば、1967年、ロバート・モンダヴィがリリースした「フュメ・ブラン」。SBに樽を使い、アメリカ人好みの果実味溢れるふっくらクリーミーなスタイルに仕上げました。モンダヴィのマーケティングの才が光るのが、そのネーミング。「ソーヴィニョン・ブラン」では覚えにくいと踏んだモンダヴィは、「フュメ・ブラン」と命名。覚えやすく、かつフレンチっぽいアクセントを加えた名前も功を成し、SBはアメリカで大流行。新たなスタイルを根付かせました。

3. 飲み頃やおすすめのグラスは?楽しみ方のポイント

すっきり爽やかタイプのSBは、何年も寝かせて飲み頃まで待つ必要がありません。むしろ、そのフレッシュ&フルーティーさは年月とともに失われてしまうため、早めに飲んだ方が良いです。一方で、樽を使った複雑でコクのあるタイプのSBは熟成にも向きます。甘口ワインも熟成ポテンシャルが高く、極上の貴腐ワインなどは100年持つものもあります!

おすすめのグラスは、すっきり系のSBならば小さめのスタンダードな白ワイングラスでOK。低め(7~10度)の温度できりっと爽やかに頂きましょう。コクのあるタイプは、ボウル部分の大きいシャルドネグラスがおすすめ。温度も低めだと苦味が出てしまうので、10~13度程度が最適でしょう。

4. SBに合わせたい料理

マリアージュを考えるときは、地元の料理に地元のワインを合わせるのは定番の合わせ方ですよね。ボルドーの章でも紹介した通り、SBと牡蠣は定番の相性です。

牡蠣にはシャブリ!というイメージが多い方もいるかと思いますが、シャブリ地区に近くミネラル感のあるサンセールも牡蠣とよく合います!繊細な味わいのフランスのSBは、和食との相性も良いですよ。また、ハーブや柑橘の香りは野菜との相性抜群。生春巻きなど野菜たっぷりのエスニック料理ともばっちりです。フロマージュを合わせるなら、ロワールのヤギのチーズ「シェーブル」がおすすめです!

5. まとめ

そのわかりやすい特徴的な香りでワイン初心者にもなじみやすいSB。フレッシュなスタイルからコクのあるタイプまで選択枝も豊富で、さまざまなシーンで楽しめる品種です。ぜひ色々飲み比べてみて、お気に入りのワインを見つけてみて下さいね!

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