葉山考太郎の新痛快ワイン辞典 Vol.30

葉山考太郎,ワイン,ボキャブラリー,辞典,ワイン用語

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葉山考太郎先生が1999年に出版した『辛口・軽口ワイン辞典』(日経BP社)の続編です。ワインに関する用語が、葉山先生特有の痛快な語り口で解説されています。今回は、「や」で始まる語をお届けします。

見出し語について

(1) アルファベットで始まる語はカタカナ表記で配列した。【例】AOC⇒エー・オー・シー

(2) シャトーやドメーヌが付くものは、それを除いた見出し語で収録した。【例】シャトー・ラヤス⇒ラヤス、シャトー

(3) 人名は、「姓+名」で収録した。【例】ロバート・パーカー⇒パーカー、ロバート


■や■

やせいこうぼ(野生酵母)

ワイン通の好きな言葉。培養した酵母ではなく、醸造所の周りに生息している酵母のこと。極少量生産の超高級ワインは、野生酵母を使うのがお約束らしい。(関連項目:モンラッシェ酵母)

 

やちんがたかい(家賃が高い)

相撲や将棋などで、自分の実力以上にランキングされた状態。その状態で負けると、新聞や雑誌でこう言われるのがお約束。赤ワインの超エリート集団が「1855年メドック格付け」の61シャトー。半分のシャトーは、かなり家賃が高いよう。

 

やとうこんじょう(野党根性)

自分の存在感を示すため、与党のやることに無条件で何でも反対すること。ワイン会にこんな人がいると周囲は大迷惑。ワインだけではなく、ワイン本やワイン関係者の言うことにまで無条件にケチをつけるので、ちっとも楽しくない。あまり悪口を連発すると、「それならお前がやれ」と言われ「青島幸男東京都知事(死語?)」状態になる。(関連項目:好き嫌い)

 

やまおかしろう(山岡士郎)

超長寿のグルメマンガ、『美味しんぼ(1983年開始、2014年から休載)』の主人公。愛すべき粗忽者。もう60才近いはずだけれど、「ゴルゴ13」同様、年を取らない(ゴルゴ13の推定年齢は90歳で、東京都の都バスの無料パスを持っているらしい)。山岡士郎は、どうもワインに関しては勘違いが多いし、かなりのブランド志向。だから、昔はワイン会でよくネタにされた。ちなみに、原作者の雁屋哲は、酒がほとんど飲めないがペトリュスをコレクションしていると聞いたことがある。ワインが飲めないのにテタンジェばかり映画に登場させるリュック・ベッソン監督みたい?(関連項目:ブドウの敵をキュウリでとる、美味しんぼ、海原雄山)

 

やまだにしき(山田錦)

ワイン用のブドウ品種が、赤用のカベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール、白用のシャルドネ、リースリングの四大高貴種なら、日本酒は山田錦の一大高貴種。ワインの4品種連合より更に強力。生産量は日本酒好適米の中で最大で、2018年度には3万4千トン。2位の五百万石の1.5倍以上(とはいっても、日本酒用の酒米は、お米全体の2%ぐらいしかない)。兵庫県産の山田錦が60%で、「お米のボルドー」状態。(関連項目:日本酒好適米)

 

やめるつる(病める鶴)

リーデルのワイン・グラスの脚を形容する言葉。非常に華奢で優雅なので、雪原に片足で立つ病める鶴の足のようと言われている。華奢な脚なので、ワイン会が終わり酔った勢いで洗うと、簡単にねじ切ってしまう。ねじ切ると、悔しいのと高価なのとで、何とかガム・テープやアロンアルファでくっつけたいところだが、まず成功しない。どうしても諦めきれないなら、「メランジュ方式」で修復するしかない。(関連項目:グラス、メランジュ方式、リーデル)

 

ヤラ・ヤーリング (Yarra Yering)

オーストラリアのブティック・ワイナリー。最高はスパークリング・ワイン。YYと書いた白いラベルは素っ気無くて素人くさいが、クリュグ、アラン・ロベールみたいな濃厚・糠味噌系が好きな人はハマるかも。

2020.08.14


葉山考太郎 Kotaro Hayama

シャンパーニュとブルゴーニュとタダ酒を愛するワイン・ライター。ワイン専門誌『ヴィノテーク』等に軽薄短小なコラムを連載。ワインの年間純飲酒量は 400リットルを超える。これにより、2005年、シャンパーニュ騎士団のシュヴァリエを授章。主な著書は、『ワイン道』『シャンパンの教え』『辛口/軽口ワイン辞典(いずれも、日経BP社)』『偏愛ワイン録(講談社)』、訳書は、『ラルース ワイン通のABC』『パリスの審判(いずれも、日経BP社)』。

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