イタリアワイン~土着品種と自由なワイン造りが魅力。特徴、産地から当たり年まで vol.1

土着品種の多さと型にはまらない自由なワイン造り…「イタリアワインに足りないのは秩序」といわれるほど奥深いイタリアワインの世界。その沼の深さゆえに、「イタリアはなんだかよくわからない」と敬遠している方も多いのでは?今回の記事はそんな貴方のための、イタリアワインの概要を優しく解説した内容になっています。好みのワインが必ず見つかるイタリア。レストランやワインショップでイタリアワインがわかるようになると、ワインの世界がさらに楽しくなりますよ!

本記事は、ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」が監修しています。ワインを通じて人生が豊かになるよう、ワインのコラムをお届けしています。メールマガジン登録で最新の有料記事が無料で閲覧できます。


【目次】

1. 多彩な土着品種と多様性が最大の特徴
2. イタリアワインのラベルと格付け
 2.1 等級は下でも高級ワインがごろごろ
 2.2 気を付けたいラベル表示:ClassicoとRiserva、Superior
3. 押さえるべき産地の基礎 イタリアの気候と代表品種
 3.1 火山大国イタリア、緯度+高度にも注目
 3.2 「プロセッコ」から「グレラ」に品種名を変えたわけ
 3.3 大流行したピノ・グリ―ジョ 爽やか系白も魅力
 3.4 赤の二大品種はネッビオーロとサンジョヴェーゼ
4. 赤ワインのスタイルの変遷 イタリアワインルネッサンス


1. 多彩な土着品種と多様性が最大の特徴

フランスと並ぶワイン生産国イタリア。そのワインの特徴はなんといっても多様性にあります。北から南まで全20州すべての州からワインが造られ、しかも気候も品種も各州で全く異なるイタリアは、まさしく一つの州が一国のようなもの。「イタリアワインとは」と語ることすら難しいほど、多種多様なワインが一つの国から造られています。

大きな魅力は、その固有品種の多さ。イタリア全土でなんと2000以上の土着品種が存在するといわれ、その全容を把握するのは不可能といっていいほど。生産者が自分たちの土地と品種に誇りを持っている、まさに郷土愛の国といっていいでしょう。

一方で、ワインの国際化の波が進むとともにカベルネやシャルドネなど国際品種も多く栽培され様々なスタイルのワインが造られるように。スーパー・タスカンのように、国際品種やフレンチオークの小樽熟成を取り入れた革新的なワインも生まれました。まさに百花絢爛選びたい放題、好きなスタイルが必ず見つかるのがイタリアの懐の広さです。

2. イタリアワインのラベルと格付け

2.1 ―等級は下でも高級ワインがごろごろ

イタリアワインの格付けは、EUの規定に習いピラミッド型になっています。最もベーシックなカテゴリーがVino(旧VdT: テーブルワイン)、その上に産地表示付きのIGP(旧IGT)、そして品種や生産方法の規制がある原産地呼称のDOP(旧DOC、DOCG)と続きます。2009年の法改正でこれまでDOCやDOCGと呼ばれていたものがEUの表記に合わせてDOPと呼ばれるようになりましたが、いまだにDOCやDOCGという呼び名が一般的に使われています。

ワインエキスパート試験では苦労するのが、イタリアのDOCGの暗記ですよね。年々その数は増え、今では76ものDOCGが認められています。

ですが、ここでポイント。イタリアの魅力的な点は、格付けに縛られない自由さ。必ずしもピラミッドの上側=高品質のワインとならないところが面白いのです。もともとイタリアワイン文化を保護するために形成された格付けシステムでは、使える品種や醸造方法に決まりごとがあります。その規制が厳しいDOCやDOCGの枠から外れることで、独創的なワインを造っている生産者が多くいるのです。その筆頭格が「サッシカイア」を代表とするスーパー・タスカン。トスカーナのDOCやDOCGで国際品種の使用が認められていなかったため、1960年代に「テーブルワイン」の等級で、テヌータ・サン・グイドが超高級テーブルワイン「サッシカイア」を世に送り出しました。このワインの世界的成功により、イタリアではその後格付けは低くても高級で高価なワインが続々と造られるようになりました。スーパー・タスカンの産地であるボルゲリ地区では、のちにボルゲリDOCやボルゲリ・サッシカイアDOCが単独のDOCとして独立。その他のDOC/DOCGも規制を緩めるなど、政府は高級テーブルワインの類いを原産地呼称ワインの枠組みの中に取り込もうとしています。

2.2 気を付けたいラベル表示:ClassicoとRiserva、Superior

品質や製法を示すイタリア語表記がたくさんあり、わかりにくいと評判のイタリアワインのラベル。頻出で覚えておきたいのが、Classico、Riserva、Superiorです。

Classico(クラッシコ)は、古くからそのワインを生産していた特定の地域を指します。イタリアの原産地呼称の産地の多くは、その本来の生産地である「元祖」的なエリアから徐々に外側に境界を広げてワイン生産地を拡大してきました。わかりやすい例が「キヤンティ」と「キャンティ・クラッシコ」。「キャンティ・クラッシコ」といったら、もともとの生産地であった山麓の丘陵地の涼しい畑から造られる上級なワイン。「キャンティ」だけなら、丘陵地の周りから造られるよりカジュアルなワインです。

Riservaは(リゼルヴァ)は 、原産地呼称で定められた最低期間を上回って長期熟成をしたワイン。例えば、バローロならなら38ヵ月、リゼルヴァが付くと62ヵ月の熟成が必要です。一般に通常よりしっかりとしたフルボディのワインになります。

Superiore(シュペリオーレ)は、原産地呼称で定められたアルコール度数より、0.5~1%アルコール度数が高いワイン。ピエモンテ州のバルドリーノDOCとバルドリーノ・スペリオーレDOCGのように、スペリオーレがつくことでDOCGに昇格したワインもあります。

3. 押さえるべき産地の基礎 イタリアの気候と代表品種

3.1 火山大国イタリア、緯度+高度にも注目

北緯35度~47度にまたがる、ブーツの国イタリア。北は大陸性、中南部は地中海性気候と気候も様々ですが、総じて温暖で雨が少なく、ワイン用ブドウ栽培に向いた気候です。なにせイタリアは「エノトリア・テルス=ワインの大地」として知られ、古代からワイン造りがなされてきた土地ですから…。イタリアの気候を読み解くには、緯度も大切なのですが、注目すべきは高度といえるかもしれません。イタリアは日本同様、山が多い国です。イタリアを東西に分断するアペニン山脈を筆頭に、各地に山があり、イタリア全土の35%を山岳地帯が占めています。高度が100m上がると温度が0.6度下がる、というのは皆さん中学校の理科で勉強されたと思いますが、基本的に温暖なイタリアにおいて、まさしく高度が高い山の斜面の畑は、高品質ワインを産むポテンシャルの高い畑といえます。キャンティ・クラッシコやソアヴェ・クラッシコなどの元祖エリアが丘陵地を中心に栄えてきたのは、そういうことなのです。

次に品種、泡白赤の順番でみていきましょう。

3.2「プロセッコ」から「グレラ」に品種名を変えたわけ

スパークリング用品種として覚えておきたいのが、グレラ。なんだか地味~な名前で印象に残りにくいかもしれませんが、以前は「プロセッコ」として世に知られていた品種です。そう、イタリアのスパークリングワインとして有名な「プロセッコ」の品種。ワイン名=品種名として認知されていたのですが、あまりの人気にほかの産地で「プロセッコ」種から造られる偽プロセッコが続出。本来の産地を守るために、品種の名称を「グレラ」と変えて、プロセッコを原産地呼称名として登録したのです。プロセッコについては詳しい解説記事がありますので、こちらもご覧ください。

3.3 大流行したピノ・グリ―ジョ 爽やか系白も魅力

イタリアの白を語るに外せないのがピノ・グリ―ジョ。1990年代後半、シャルドネの重さに飽きてきたアメリカ市場から火が付き世界的ブームに。イタリアでも一気に栽培面積が増えました。北部のアルト・アディジェ州やヴェネト州で造られるピノ・グリ―ジョは、爽やかでクリスピーな酸が心地よく、夏に飲みたいワインナンバーワンです。

他にも北イタリアのアルネイスガヴィ、海際のマルケ州のヴェルディッキオ、サルデーニャ島のヴェルメンティーノなど、爽やかでほどよくアロマティックな魅力的な白ワインを造る土着品種も多くあり、紹介しきれないほどです。

3.4 赤の二大品種はネッビオーロとサンジョヴェーゼ

イタリア全品種を鑑みても何が何でも覚えておくべき二大品種は、なんといっても黒ブドウのネッビオーロサンジョヴェーゼ。ネッビオーロは北イタリアのピエモンテの代表品種で、バローロバルバレスコの銘醸ワインのもとになる高貴品種です。ネッビオーロの特徴は、晩熟で、酸が高く、タンニンも強いのに…色が淡いこと。これがなんともギャップなのです。ブラインドテイスティングではよくピノ・ノワールと間違われる色の淡いネッビオーロですが、見分けるポイントは渋みの強さです。そして色が淡い=皮が薄いということ。病気にもかかりやすく非常に手のかかるお嬢様のようなブドウ品種です。ピノ・ノワール同様、ブレンドを好まず、単独行動して初めてその魅力を発揮する孤高な存在です。

そしてもう一つの代表品種がサンジョヴェーゼ。トスカーナ州を中心とした中部イタリア全域で栽培され、その栽培面積はイタリア最大!赤い果実やハーブのアロマを持ち、酸、タンニン、果実味のバランスがとれたしなやかなワインになります。樽との相性も良いので、長期熟成した高級ワインからデイリーワインまで造られる幅の広いブドウといえます。まさに庶民の味方です!

4. 赤ワインのスタイルの変遷 イタリアワインルネッサンス

次はイタリアの赤ワインのスタイルを見てみましょう。赤の二大品種ネッビオーロとサンジョヴェーゼの特徴を振り返ってみると、その醸造方法の変遷がすっきりと頭に入ってきます。

ネッビオーロとサンジョヴェーゼに共通する特徴といえば、渋みの強さ。そのきつい渋みを和らげるために、昔の人が考え出したのが大きな樽で数年間もの間熟成させることでした。長期間樽で熟成させるとタンニンが柔らかくなり、飲めるようになったというわけです。一方で、ワインが酸素に触れると、酢酸菌といったバクテリアの働きで酸化的な香りが発生することがあります。酢酸エチルや酢酸といった揮発酸がその代表格です。酢酸菌は樽熟成中の補酒不足によってできた空隙で動きやすいため、大樽で長期熟成させる伝統的な製法では揮発酸が出やすいのです。イタリアは気候が温暖でワインが蒸発しやすいですから…。この揮発酸ですが、食事に合わせるとまったく気にならなくなることも。特によく合うのがバルサミコ酢を使った料理。イタリア料理にバルサミコ酢が多用されることを考えると、よくできたマリアージュというわけですね!

イタリアでのワイン造りに大きな変化が訪れたのは、ワインの近代化「イタリアワインルネッサンス」が起こった1980年代以降。密植、低収量化など栽培面での工夫や225ℓの小樽熟成の導入により果実味の強く、樽のきいたパワフルなスタイルが造られるようになりました。バローロでそれを興したのがバローロ・ボーイズと呼ばれる革新的なグループです。同じく赤ワインを樽で熟成させるトスカーナでも同じような現象が起こりました。このようなモダン・バローロやスーパー・タスカンが世界的に注目されることで、それまで自国でワインを消費していたイタリアが、ワインの銘醸地として世界の地図に載ったのです。その後伝統派と革新派の対立などもありましたが、2005年以降は再び土着品種が注目を浴びるようになり、品種やテロワールの特徴を引き出すような伝統的な栽培・醸造方法が見直されています。

~ vol.2「覚えておくべき主要産地と有名ワイン」につづく

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