ソムリエ・ワインエキスパート勉強法 vol.3~ 試験範囲は“世界”!時間がない人のための優先順位学習術

「ワインの試験って、こんなに範囲が広いの?」
そう感じた方は、決して少数派ではありません。ソムリエやワインエキスパート試験は、フランスやイタリアをはじめとするヨーロッパ各国から新世界まで、まさに“世界中のワイン”が出題範囲になります。

時間に余裕のある学生であっても大変なボリューム。ましてや日々仕事に追われる社会人にとって、「すべてを完璧に覚える」ことは現実的ではありません。

そこで本記事では、「限られた時間で合格点を確保するための優先順位学習術」をご紹介します。効率よく得点を重ねるための“割り切り”と“集中”のコツを一緒に見ていきましょう。

本記事は、ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」が監修しています。ワインを通じて人生が豊かになるよう、ワインのコラムをお届けしています。メールマガジン登録で最新の有料記事が無料で閲覧できます。


【目次】
1. 満点主義は非効率—まず知っておきたい合格の仕組み
2. 出題傾向から見る「国・地域別」優先順位と学習のバランス
3. 「全部は覚えられない」からこそ、出題されるポイントに集中
4. 忙しい社会人にこそおすすめしたい、現実的なスケジューリング術
5. アカデミーデュヴァンで、効率重視の学びを実現
6. まとめ


1. 満点主義は非効率—まず知っておきたい合格の仕組み

ソムリエ協会は試験の合格基準を明示していませんが、近年の受験者の体験談や集計によると全120問中おおむね7580問正解(得点率:約6267%)が合格ラインの目安とされています。(ただし、これはあくまで目安であり、年度や問題の難易度によって変動する可能性もある点には注意が必要です。)

四択問題が中心の試験では、まったくわからない問題でも25%の確率で正解できるため、例えば30問が「まったくわからない」場合でも、そのうち7〜8問は偶然で正解する可能性があります。
つまり、実力でしっかり答えられるのが6870問(=正答率約5758%)あれば、偶然の正解も加味して合格ライン7580点に到達できる可能性が高いというわけです。とはいえ、最初からぎりぎりを目指して勉強すると、途中で失速してしまったり、体調を崩したときに上手くいかない可能性があるので、より確実に合格を狙うには、8490問(=正答率約7075%)の正解を目指して勉強するのが現実的です。

ソムリエ試験 合格ライン達成のための得点シミュレーション表(120問中・理論値)

ここで大切なのが、「どの得点率を目指すか」によって、必要な学習量や負担が大きく変わるという点です。

合格ラインと学習時間の関係

68点と120点を得点するのには大きな勉強時間の差はあるが、68点と75点を得点するための勉強時間に大きな差はない

満点を目指す学習では、マイナーなAOC、具体的個別生産者、トリビア的な知識まで網羅する必要があり、学習時間が倍以上になることもあります。一方で、合格点ラインに絞った学習なら、「よく出るところ」に集中することで、限られた時間でも確かな成果が得られます。

2. 出題傾向から見る「国・地域別」優先順位と学習のバランス

かつてはフランスワインが圧倒的に多く出題されていましたが、近年では新世界(アメリカ、チリ、南アフリカなど)や、ジョージア・ギリシャ・スロヴェニアなどのマイナー欧州諸国からの出題も増えています。

とはいえ、フランスワインの知識は今もなお“ワインの共通言語”とも言える基礎中の基礎。AOC制度、ブドウ品種の選択、栽培、醸造法、などは他国の理解にも通じるため、最初にフランスをしっかり学んでおくことが、結果的に他地域の学習効率も高めてくれます。

おすすめの学習順序は以下の通りです:

“どこが出やすいか”だけでなく、“どこを先に学ぶと他も理解しやすくなるか”という視点も忘れずに取り入れましょう。

3. 「全部は覚えられない」からこそ、出題されるポイントに集中

膨大な試験範囲の中でも、出題が集中しているテーマを絞って覚えることが、合格への近道です。特に重要なテーマは以下の通りです:

  • 各国の産地(フランスのAOC、アメリカのAVAなどの原産地呼称)
  • 主要ブドウ品種(栽培地域、シノニム、ランキング)
  • ラベル表示や熟成規定(Riserva, Crianza, Kabinettなど)
  • スパークリング/酒精強化ワインの製法(瓶内二次発酵、ソレラシステムなど)
  • ワインの歴史(ワインのあけぼの〜近代の流れと国別の転機)

出題傾向をもとに、演習問題を活用しながら、「よく出る=覚える価値が高い」ポイントに集中しましょう。

4. 忙しい社会人にこそおすすめしたい、現実的なスケジューリング術

忙しい日々の中で勉強時間を確保するには、「分割学習」が効果的です。毎日30分ずつ2時間勉強すれば、2か月で120時間を超える学習時間を確保できます。

忙しい社会人にオススメしたい「分割学習」。まとまった時間でなくても1日2時間勉強できる

平日:起床後・通勤中・昼休み・就寝前のスキマ時間に、暗記や演習問題を反復

週末:理解が浅いテーマを整理したり、まとめノートを作成する(すべてを網羅しようとせず、「過去問から逆算」して、必要な部分だけをピックアップ。こちらの記事も参考にしてください。)

5. アカデミーデュヴァンで、効率重視の学びを実現

アカデミーデュヴァンでは、長年の受験指導経験をもとに、出題傾向に即したカリキュラムを提供しています。特に近年の出題傾向の変化に対応した講義内容は、「覚えるべきところ」に集中できるよう設計されており、無駄のない学びを可能にします。

加えて、オンラインアカデミーには1万問以上の練習問題が収録されており、スマートフォンやタブレットからいつでも演習が可能。実際に「電車を待つ3分でもアプリで問題を解いていた」という合格者もいるほど、スキマ時間を活かせる仕組みが整っています。

6. まとめ

ソムリエ/ワインエキスパート試験は、世界中のワインが対象となる壮大な試験です。ですが、それをすべて完璧に覚える必要はありません。合格点を効率よく取るための戦略と思い切りこそが、合格への最短ルートです。

まずはフランスを土台に、出題の多い国とテーマに集中。70〜75%の得点を目指し、自分に合った計画で着実に進めていけば、合格は十分に手の届く目標です。

そして、ワインを学ぶ原動力が「好きだから」であるなら、その先には資格以上の楽しみが待っています。焦らず、一歩ずつ、一緒に進んでいきましょう。

次回は「知識を得点に変える!1次試験直前、ラスト1カ月の過ごし方」です。お楽しみに!

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世界的に高名なワイン評論家スティーヴン・スパリュアはパリで1972年にワインスクールを立ち上げました。そのスタイルを受け継ぎ、1987年、日本初のワインスクールとしてアカデミー・デュ・ヴァンが開校しました。

シーズンごとに開講されるワインの講座数は150以上。初心者からプロフェッショナルまで、ワインや酒、食文化の好奇心を満たす多彩な講座をご用意しています。

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