「ワインの試験って、こんなに範囲が広いの?」
そう感じた方は、決して少数派ではありません。ソムリエやワインエキスパート試験は、フランスやイタリアをはじめとするヨーロッパ各国から新世界まで、まさに“世界中のワイン”が出題範囲になります。
時間に余裕のある学生であっても大変なボリューム。ましてや日々仕事に追われる社会人にとって、「すべてを完璧に覚える」ことは現実的ではありません。
そこで本記事では、「限られた時間で合格点を確保するための優先順位学習術」をご紹介します。効率よく得点を重ねるための“割り切り”と“集中”のコツを一緒に見ていきましょう。
【目次】
1. 満点主義は非効率—まず知っておきたい合格の仕組み
2. 出題傾向から見る「国・地域別」優先順位と学習のバランス
3. 「全部は覚えられない」からこそ、出題されるポイントに集中
4. 忙しい社会人にこそおすすめしたい、現実的なスケジューリング術
5. アカデミーデュヴァンで、効率重視の学びを実現
6. まとめ
1. 満点主義は非効率—まず知っておきたい合格の仕組み
ソムリエ協会は試験の合格基準を明示していませんが、近年の受験者の体験談や集計によると全120問中おおむね75〜80問正解(得点率:約62〜67%)が合格ラインの目安とされています。(※ ただし、
四択問題が中心の試験では、まったくわからない問題でも25%の確率で正解できるため、例えば30問が「まったくわからない」場合でも、そのうち7〜8問は偶然で正解する可能性があります。
つまり、実力でしっかり答えられるのが68〜70問(=正答率約57〜58%)あれば、偶然の正解も加味して合格ライン75〜80点に到達できる可能性が高いというわけです。とはいえ、最初からぎりぎりを目指して勉強すると、途中で失速してしまったり、体調を崩したときに上手くいかない可能性があるので、より確実に合格を狙うには、84〜90問(=正答率約70〜75%)の正解を目指して勉強するのが現実的です。

ここで大切なのが、「どの得点率を目指すか」によって、必要な学習量や負担が大きく変わるという点です。

68点と120点を得点するのには大きな勉強時間の差はあるが、68点と75点を得点するための勉強時間に大きな差はない
満点を目指す学習では、マイナーなAOC、具体的個別生産者、トリビア的な知識まで網羅する必要があり、学習時間が倍以上になることもあります。一方で、合格点ラインに絞った学習なら、「よく出るところ」に集中することで、限られた時間でも確かな成果が得られます。
2. 出題傾向から見る「国・地域別」優先順位と学習のバランス
かつてはフランスワインが圧倒的に多く出題されていましたが、近年では新世界(アメリカ、チリ、南アフリカなど)や、ジョージア・ギリシャ・スロヴェニアなどのマイナー欧州諸国からの出題も増えています。
とはいえ、フランスワインの知識は今もなお“ワインの共通言語”とも言える基礎中の基礎。AOC制度、ブドウ品種の選択、栽培、醸造法、などは他国の理解にも通じるため、最初にフランスをしっかり学んでおくことが、結果的に他地域の学習効率も高めてくれます。
おすすめの学習順序は以下の通りです:

“どこが出やすいか”だけでなく、“どこを先に学ぶと他も理解しやすくなるか”という視点も忘れずに取り入れましょう。
3. 「全部は覚えられない」からこそ、出題されるポイントに集中
膨大な試験範囲の中でも、出題が集中しているテーマを絞って覚えることが、合格への近道です。特に重要なテーマは以下の通りです:
- 各国の産地(フランスのAOC、アメリカのAVAなどの原産地呼称)
- 主要ブドウ品種(栽培地域、シノニム、ランキング)
- ラベル表示や熟成規定(Riserva, Crianza, Kabinettなど)
- スパークリング/酒精強化ワインの製法(瓶内二次発酵、ソレラシステムなど)
- ワインの歴史(ワインのあけぼの〜近代の流れと国別の転機)
出題傾向をもとに、演習問題を活用しながら、「よく出る=覚える価値が高い」ポイントに集中しましょう。
4. 忙しい社会人にこそおすすめしたい、現実的なスケジューリング術
忙しい日々の中で勉強時間を確保するには、「分割学習」が効果的です。毎日30分ずつ2時間勉強すれば、2か月で120時間を超える学習時間を確保できます。

忙しい社会人にオススメしたい「分割学習」。まとまった時間でなくても1日2時間勉強できる
平日:起床後・通勤中・昼休み・就寝前のスキマ時間に、暗記や演習問題を反復
週末:理解が浅いテーマを整理したり、まとめノートを作成する(すべてを網羅しようとせず、「過去問から逆算」して、必要な部分だけをピックアップ。こちらの記事も参考にしてください。)
5. アカデミーデュヴァンで、効率重視の学びを実現
アカデミーデュヴァンでは、長年の受験指導経験をもとに、出題傾向に即したカリキュラムを提供しています。特に近年の出題傾向の変化に対応した講義内容は、「覚えるべきところ」に集中できるよう設計されており、無駄のない学びを可能にします。
加えて、オンラインアカデミーには1万問以上の練習問題が収録されており、スマートフォンやタブレットからいつでも演習が可能。実際に「電車を待つ3分でもアプリで問題を解いていた」という合格者もいるほど、スキマ時間を活かせる仕組みが整っています。

6. まとめ
ソムリエ/ワインエキスパート試験は、世界中のワインが対象となる壮大な試験です。ですが、それをすべて完璧に覚える必要はありません。合格点を効率よく取るための戦略と思い切りこそが、合格への最短ルートです。
まずはフランスを土台に、出題の多い国とテーマに集中。70〜75%の得点を目指し、自分に合った計画で着実に進めていけば、合格は十分に手の届く目標です。
そして、ワインを学ぶ原動力が「好きだから」であるなら、その先には資格以上の楽しみが待っています。焦らず、一歩ずつ、一緒に進んでいきましょう。
次回は「知識を得点に変える!1次試験直前、ラスト1カ月の過ごし方」です。お楽しみに!