連載コラム

連載コラム:伊東道生の『<頭>で飲むワイン 』 Vol.98 2019_07_12

~夏のワイン~

RVF誌は、恒例のバカンス前の合併号で、バカンスのツーリズムとロゼの話題。おつきあいで、ロゼのランキングを紹介します。

日本でもわりと最近密かなロゼ・ブーム?ですが、たしかにロゼの品質自身がよくなっていることは確かです。5年以上もガルデ(保存)する。フランスではここ15年でなんと30%も消費量が上昇しています。夏だけでなく、アントレからデザートまで対応するロゼは、今後も注目です。

では、まずアントレに合うロゼ。

ムーヴェルドをメインにしたDomaine D’Auphiac,Langdoc Lou Maset 2018。17点で10.60ユーロ、ビオディナミ。Domaine de Terrebrune,Bandol 2014。16.5点で25ユーロ。良い白ワインの繊細さをもち、長期保存可能、ビオ。安物ロゼの定番の一つがタベルでしたが、Chateau de Manissy, Tavel 2018はこの年が初のビオディナミで、ボディがあり、ニース風ピザにぴったり。1915年から始まるドメーヌですが、2002年にFloroan Andreがこのドメーヌを新たに差配。16点11.50ユーロ、同じく16点でYves Leccia, Patrimonio E C roce 2018、15ユーロ。

次はメインに合うロゼ。

まずは定評あるChateau Simone Palette 2018。私も好きなロゼの一つ(Chateau d’Esclan, Biondi Santiと並んで)で、17点、24ユーロ、プロバンス風ヒメジに合います。ここではグルナシュ、ムーヴェルド、サンソー、シラー、カリニャンなどが混在に植えられ(complantation)、20年はガルデとも表されています。どこかに20年モノはないかなあ。同じく17点でDomaine Hauvette IGP Alpilles Petra 2017。これも熟成タイプで、ラザニアに合います。ビオで、22ユーロ。16.5点でMaxime Magnon Corbieres Metissr 2018、18ユーロで、クスクスに合います。同点でDomaine de L’Anglore Tavel 2015は18ユーロ。PaletteでSimoneに次ぐのはChateau Cremade 2017で、15種のセパージュ。16.50ユーロ、なんと子羊のカレーに合う。羊のカレーと言えば?シャーロック・ホームズの「銀星号事件」。アヘンの味をごまかすのに、犯人が利用した料理。レストランで食べたことはないですが、パリのアパルトマンで時々つくりました。タイ米を蒸したものと合わせて。16点で面白いロゼとしてClos Cibonne Cotes de Provemce Cuvee Prestige Croline 2016 これも20年保存可能で、 toboureneという忘れられた(知りませんでした)セパージュのヴィエイユ・ヴィーニュからできている、と。地中海料理のマグロの燻製に合う・・・日本ではマグロか鰹の炙り焼きとか、ウナギとかでもいいかもしれませんね。

食事の終わりには・・・Domaine Patrice Colin Coteaux vendomois 16点で8.50点。Clos Fornelli Corse La Robe d’Ange 2018は15点ですがフランボワーズのサバイヨンに合います。

ロゼの再発見はありますが、日本ではコルシカ・ワインの再発見・・というかそもそもコルシカ・ワインの評価はどうでしょう。このメルマガでも折に触れて紹介していますが、なかなか輸入されていませんね。

ヨーロッパでバカンスと言えば、地中海(に限ってはいませんが)。コルシカも候補地です。以前のように独立を求めて物騒なことも起きなくなっています。80年代に「コルシカに行きたい」と言ったら、フランス人に止められた経験があります。アイルランドと同様、平和になったものです。

そのコルシカ・ワインの最上級を。いずれも18点です。

Clos Canarelli corse Figari Alta Rocca 2016
コルシカの南にあり、イタリア由来のsciaccarellu種100%。ちなみに、コルシカのセパージュはシシリーと同系列だそうです。40ユーロ、vin de France Bianco Gentile 2018というのも出しております。17点で19.50ユーロ。

Domaine Comte Abbatucci vin de France Ministre Imperial 2017
言うまでもないコルシカ・ワインの最高峰ドメーヌ、70ユーロとお高い。

Tarra di Sougnu vin de France 2017
はロゼも生産し、グラン・ヴァンに匹敵。長期熟成タイプです。

そのうち、コルシカ・ワインの講座でもしてみたいです。


最後に、夏らしくないワインの話題。

1945年のロマネ・コンティと言えば、多くの伝説的ワインのなかでも特筆です。生産量はわずか600本。サザビーズで48万2000ユーロ。さすがにアンリ・ジャイエも負ける・・値段も王様です。現在では、1万2000ユーロ以下のロマネ・コンティはないそうなのですが、出荷時は6000ユーロとか。15年ほど前に1945年以降初のリリースである1953年を飲みましたが、それほどの値段ではなかったので、値上がりが甚だしいのでしょう。RVF誌では1999年を推奨しています。その前段の記事が、ロマネ・コンティはそのエレガンスの極みに達するには時間がかかると記され、1999年かあ・・・とつい思ってしまいます。時間がかかるというのは、20年ではなく50年のはずですが・・。そしてこの10年での伝説的ロマネ・コンティは、2009年と2010年とのこと。私は・・生きている間には、飲めません。いっぺんに両方開けると面白いでしょうね。1934年と35年を一緒に開けたことがありますが、35年は典型的な良質のロマネ・コンティで、34年はこれまで経験したことがない・・空前絶後でしたが、このペアもそうなるのでしょうか。