連載コラム

連載コラム:伊東道生の『<頭>で飲むワイン 』 Vol.69 2017.03.22

プロヴァンスの赤とロゼ

 Revue du vin de France誌が冒頭インタビューに、マリーヌ・ルペンを呼んだとき、読者に非難囂々たるものがあったのですが、トランプについてはどうなのでしょう。G20も揺れていますが、その保護主義政策は、保守派のあいだでも物議を醸し出しています。RVF誌No.609号では、アメリカのワイン輸入について「トランプの発言にもかかわらず。アメリカ人は相変わらず多くのワインを輸入している」と題してコラムを掲載しています。ニューワールドのワインから始まり、世界各地でワインの生産、そしてとくに消費が広まり、ワインのグローバル化は今や当たり前です。葡萄とワインの国際機関(OIV)によると、10本に4本は、生産国では飲まれていない、つまり輸出されています。葡萄は、まさに換金作物になって、グローバル市場を回っているわけです。アメリカでは、50億ユーロ分の外国産ワインを輸入している、この数字は動かしがたい、と吠えています。シャンパーニュのアメリカ輸出も前年比6.3%、そう言えば、フランスのTVで「コニャックがアメリカを征服する」というニュースをやっていました。もっとも、フランスではルペンが支持率ナンバーワンらしく、反EUとなれば、どっちもどっちかも。それにしても自動車をはじめとする工業製品の次は、農産物への狙い撃ちが、葡萄に向くかどうかは気になります。
 その関連というわけでもないですが、第三世界へのボルドーの輸出は6%増。17億7000万ユーロの輸出のうち、EUへは3%減の4億6200万ユーロで、輸出量の35%、13億万ユーロの65%が第三国へ。ボルドー全体では2013年から2015年の収穫減も手伝って、2016年は3%減の36億ユーロ、実に6億3000万本になるそうです。
 さて、RVF誌、今月の特集の一つは、プロヴァンスの赤とロゼです。
 プロヴァンスのロゼは最近しばしば取りあげられます。まだまだ安物のイメージが強いので、後押しをしているのでしょうか。プロヴァンスでは90%がロゼで、最近ではMinutyやOttなどシャンパーニュ-比べるのもどうかと思いますが-と並ぶ有名なブランド、とか。赤の方は名声もなく、5%と作付面積も減っています。というので、余計に後押しなのでしょうか。20点であいにく17点が最高です。ともかく推薦ドメーヌを紹介します。地域別になっているのですが、ここでは点数の高いものを。
 まず赤ですが、同時にロゼを出しているドメーヌがほとんどですので、それもあわせて。17点は、Domaine Hauvette, Améthyse 2013. IGA Alpilles ビオディナミで、赤はグルナシュ、カベルネ、カリニャン、サンソー。このワインについてはサンソーの素晴らしさが出ています。38ユーロ。ロゼのPétra 2015は食事の際には赤の代わりにもなる力強さ。15.5点で22ユーロ。
 続いてChâteau Revelette, Le Grand Rouge 2014,IGP Bouche-du-Rhône。26ユーロ。ロゼは14.5点で11ユーロ。夏向きというので、プロヴァンス・ロゼの典型でしょうか。
 Bandolには三つのドメーヌで、まずChâteau Pradeux 2011,25ユーロ、 85%ムーベルドのロゼも15点、14ユーロ。
 Domaine Tempier,Cabassaou 2014, 59ユーロ、95%ムーベルドでエレガントなタンニン。ロゼは55%ムーベルドで、15点で21ユーロ。
 Domaine de Terrebrune 2013, 2020-45が飲み頃というかなりしっかりした赤で、26ユーロ。2015のロゼはフォワグラとよくあい、17ユーロ。
BelletではClos Saint Vincent, Vino di Gio 2014 ワインの名前がイタリアなのは所有者Gio Sergiというイタリア人だからで、ビオディミで、プロヴァンスでは植えられていない品種braquettを使っています。
 最後がIGP MéditerranéeのDomaine de la Tour du Bon, En-Sol 2015。44ユーロ。ロゼはお安く15ユーロ、14.5点。
 一方ロゼの最高点は16.5点です。BandolのDomaine de la Bégude, LIrréductible 2015。95%ムーベルドの赤は16.5点で44ユーロ。ともにしっかりしたワイン。
 16.5点を獲得したもう一つのロゼは、Côtes de ProvenceのClos Saint-Joseph 2015、13ユーロ。赤はSyrah 2015で16点、22ユーロ。
 どれもなかなかお目にかかれないし、注目もされないドメーヌですが、見つけたらお試しを。ドメーヌによってはシラー離れもあるようで、サンソーや、ムーベルドが増えていますね。
 ところで、例のChâteau d’Esclanはムーベルドとシラーの赤Désse Diane 2012で14.5点、こちらは24ユーロとまあまあです。一方ロゼのGarrus 5015は90ユーロと相変わらず強気です。15点。この点からすると先に挙げた上位のロゼはしっかりした高品質なものが増えているのでしょう。まだ値段もそれほどでもないので、お買い得かも。名声高い?Domaine Ottの赤 Château Romassan 2014は15点で、27.50ユーロ。またChâateau Minuty, Rouge et Or 2014は14点で22ユーロ、Rose et Pr 2015は13.5点で22ユーロ。挙げたドメーヌは世界ブランドというカテゴリーでくくられています。
 ちなみに個人的に気に入っているChâteau Simone。2013の赤は16.5点29.50ユーロ、2015のロゼは16点で22ユーロ。シラーやムーベルド、ミュスカなどを混合植樹しています。解説による限りビオではないようです。ここではユニ・ブランやクレーレットなどから白ワインもつくっています。
 このプロヴァンス特集のすぐ次のページがボルドーの白ワイン特集です。がらりと世界が変わって、20ユーロや30ユーロものは格段と少なくなります。同じ17点でパヴィヨン・ブラン2015は170ユーロ、イグレク2015は150ユーロ・・高いです。エール・ダルジャン2015は70ユーロ、Garrusよりは安いですが・・・。同じ点数15点で、かつかなり高いのですが、Domaine Tempierのロゼ21ユーロよりも、コス・デストゥネルの白150ユーロの方が売れるのでしょうね。そもそも同じ点数というのはどういうことなのでしょう。
 逆に、挙げられているシャトーの中から15点以上で、20ユーロ以下のものを拾ってみます。いずれも2015です。Château de Chantegrive (15.5点165ユーロ)、Doisy-Daêne (15点19ユーロ)、Respide-Médeville(15点14ユーロ)、Tranquoy-Lalamde(15点20ユーロ)、Bel-Air la Royère(16点15.50ユーロ)、Fonréud(15点17ユーロ)、Penin(15点8.70ユーロ)のマイナーシャトー。こういうのは好感度です。ソーテルヌは売れ行きが鈍り、辛口白ワインの生産が増えていますが、ボルドーではいまだにグラーブの安白ワインとオー・ブリオンのような最高級白ワインとの分離が激しく、コスパのいいワインの輸入が望まれます。まあ、日本ではあまり人気がなく、レストランにいってもめったにリストに載っていないのが残念です。それはプロヴァンスのロゼでも同様です。

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