連載コラム

遠藤誠の「読むワイン」~利三郎文庫便り Vol.05 2017.11.03

「科学者が書いたワインの秘密」を読む。

このエッセーの読者には
「ワインを飲むと頭痛がするのは酸化防止剤が原因だ」などと
未だに信じている人はいないと思う。
しかしワインを飲んで頭痛になる人がいるのも事実。
なぜだ?
この疑問に対して、この本はさらっと答える。

ある特定の乳酸菌がマロラクティック発酵時にチラミンという物質を作り出し、
このチラミンが脳内の毛細血管を収縮させ頭痛を引き起こさせる。
ワインと頭痛の因果関係が解明されたので
近年、市販の乳酸菌ではチラミンを生成しないタイプのものが推奨されている。
以上わずか3ページほどで簡潔に説明されているのだ。

著者の清水健一先生はワインを専門とする醸造学者。
ガイゼンハイムワイン研究所客員研究員、
サントネージュワイン研究所所長を経て
アサヒビールのワイン事業本部長を歴任するなど
学者でありながら醸造現場やマーケッティングも熟知。
この本では、日本屈指の醸造学の知識を駆使し
頭痛の原因以外にも、よくあるワインの疑問を
科学的に、しかも平易簡潔に解説している。

今宵もワインバーでは様々なワインのウンチクが語られる。
赤ワインはフレンチパラドックス(赤ワインは動脈硬化を予防する)どころか、
アルツハイマーにも効くらしいとか、
白ワインと生牡蠣(何という古典的なマリアージュ!)は
白ワインに殺菌効果があるので食あたりを防ぐとか、云々。
それはなぜ?本当?と聞かれた時に返答に窮してはカッコ悪い。
ウンチクに厚みを加えるお勧めの一冊だ。

題名:科学者が書いたワインの秘密
著者:清水健一
出版社:PHP文庫




「日本のワイナリーに行こう2018」を読む。

ワイナリーに行くのは楽しい。
好きなワインが生まれるブドウ畑の傍に立ち、風を感じ、土に触れる。
醸造所に立ち寄り、熟成中の小樽にそっと触れ、
醸造家の言葉に耳を傾けながら
できたばかりのワインを試飲する。
まさに芸術家のアトリエを訪れ、芸術家とともにその作品を愛でるのだ。
何という幸せであろうか。

だが海外のワイナリーとなると
そうちょくちょくと気軽に遊びに行くわけにはいかない。
しかし日本にだってワイナリーはある。

近年日本ワインの品質は急激に向上している。
大手はもちろん、近年は家族経営のドメーヌ的なワイナリーも増えており、
個性豊かなキャラクターのワインを造っている。
これを放っておく手はないだろう。
現在日本国内には260社を超えるワイナリーが存在する。
日帰りで行けるワイナリーも多いし、
旅行ついでに近隣のワイナリーに寄るのも楽しい。
北は北海道から南は九州まで日本各地にワイナリーはあるのだ。

この本は日本全国のワイナリーが紹介されているガイドブック。
ワイン業界の重鎮である石井もと子先生の監修とあって
データ類もしっかり載っており日本ワインの概要も把握できる。
そして畑や醸造家などの写真もカラーでふんだんに掲載されており、
パラパラと見ているだけでも楽しくなるムックだ。

さあ、この本を読んで次の休日にはワイナリーを訪問しよう!

題名:日本のワイナリーに行こう2018
著者:石井もと子
出版社:イカロス出版

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