連載コラム

連載コラム:佐藤くらら陽子のブルゴーニュ日記 Vol.02 2016_01_21

こんにちは、この冬は例年に比べて暖かいといわれているブルゴーニュより佐藤くらら陽子です。

ここブルゴーニュの人たちは「暖かすぎて良くない」と、まず先にブドウの事を心配するのですが、私には十分に寒いボーヌの街です。

さて、昨年12月中旬にサヴィニー・レ・ボーヌのドメーヌ・シモン・ビーズに冬の剪定の研修に行ってきました。
9月10日に収穫が終わり、途端に葉は色を変え、11月にはすっかり葉が落ちました。そして、12月に入り、翌年のブドウの収穫の為に、ブドウの樹の態勢を整える剪定作業が必要となります。フランス語ではタイユという作業です。
毎朝7:30、霧で寒く、まだ暗い中、従業員がドメーヌに集合します。そして当主である千砂さんを中心に囲み、外でのミーティングが始まります。その日の天候と畑の状況を考慮しながら、タイユの畑を決めていきます。
トラックに揺られ、畑に到着してもまだ辺りは薄暗く、朝焼けを背に作業が始まります。
総勢6人、一人に1パーセル(畝)が振り当てられ、一斉に同じタイミングでタイユを行っていきます。
研修生の私は熟練のエディに指導してもらいながら、自分の剪定バサミと株の剪定用の大きなハサミを抱えて、エディの担当する畝を彼の後に付きながら必死に作業を行いました。
私以外は電動の剪定バサミを使い、樹勢を考慮しながら、きれいな枝を瞬時に判断し、基本、ギヨーサンプルで、クルソンに2芽とバゲットに6芽、合計8芽残す剪定法で作業を行います。
樹の仕立てにより例外もありますが、AOCサヴィニー・レ・ボーヌの規定通り8芽残す剪定方法です。
ブルゴーニュはAOCごとに剪定規定が細かく決められているのですが、学校で学んだ基本のギヨーサンプルが私には大変役に立ちました。クラスメートの何人かは、ブルゴーニュなのに仕立てがコルドンだったとか、ゴブレだったから困ったと言っていました。村やドメーヌによって仕立てが異なる所が興味深いです。
畑の作業は1畝剪定し終わると、必ず休憩があります。作業の途中は止まることなく一気に仕上げるので、最後には息が切れるくらいの重労働になります。ですから、1畝終わると、ゴールに到着した感じで、みんなタバコを吸ったり、トイレに行ったり(男子のみ)、腰を伸ばしたりと、冗談話をしながら、まずは一息つきます。
私は、1畝終わるごとに空を見て太陽の位置が変わっていく様子を体感していました。朝と夜を通して自然を全身で感じることができ、畑にいる自分に感動していました。
17:00に作業が終了。1日があっという間です。ただ、これが毎日続くと本当に肉体労働です。(特に私には)。
毎日の作業を通して、村名のレジオナルの畑よりも、やはり傾斜の付く1級畑の剪定が足場も悪く、ぬかるみと傾斜とで、より重労働となりました。
この研修の剪定作業で腰と腕が筋肉痛。鋏を持つ右手には、小さいながらも親指の付け根に筋肉が付きました。
また、研修中には、チームのリーダーの二コラに馬を使って土盛り作業(ビュタージュ)をしている畑や、仕立ての勉強にと、色々な畑の見学に連れて行ってもらいました。
ビーズでは、千砂さんを始め温かくチームに迎えてもらい、寒い中での剪定作業を身をもって体験してきました。

研修終了後は冬休みとなり、ボーヌに戻って、街のクリスマスのデコレーションとイルミネーションを楽しみました。小さい街ですが、街中がクリスマス一色になります。
朝市やスーパーではフォアグラが並び、その横にシャンパーニュがきちんと売られています。これはノエルのセットなのだと実感しました。(教本通りの基本のマリアージュ)
そして、街の人たちは、クリスマスプレゼントやパーティー用の食材を用意します。大きなスーパーでは、爆買いしている家族が列をなし、レジの出口にはラッピングコーナーが併設され、大賑わいでした。
フランス人はクリスマスを家族と過ごすので、街の盛り上がりは24日の午前中まで。午後にはほとんどのお店がシャッターを降ろしました。
クリスマス当日の25日はパン屋さんとパティスリーくらいしか開いてなく、ボーヌの街が一気に人のいないゴーストタウンとなりました。これは「栄光の三日間」の盛り上がりとは真逆。
翌日の26日からお正月モードに入る日本とは違い、ノエルモードは年末まで続き、テレビもラジオもクリスマス特集が一日中流れ、お店もノエル食材がずっと売られていました。

そして、サン・シルヴェストルという大晦日。これはローマ帝国時代の司教の名前。彼が亡くなった12月31日に新年を迎える晩餐で彼を偲ぼうと命名さられた日で、「年末」というよりは、「サン・シルヴェストルはどう過ごすの?」と皆に尋ねられました。(当然、一人です。)
新年も家族で過ごす家庭が多く、開いているお店はまた皆無に等しく、観光客がちらほらいる程度。パリなどのお祭りモードもなく、静かなお正月でした。

1月6日はエピファニーという、聖書の三博士がイエズス・キリストに謁見した日(公現祭)に当たり、新年のお祝いのお菓子ガレット・デ・ロワを頂く日でした。街中のお菓子屋さん、ケーキ屋さんにはこのアーモンド粉のパイのお菓子が並び、その横にはシードルがきちんと置いてあります。(こちらもマリアージュ)。

そして、1月22日はサン・ヴァンサンと言われるブルゴーニュならではのお祝いの日になります。これは、収穫とワインの恵みをワインの聖人サン・ヴァンサンに感謝する為のお祭りの日で、(因みに今年のお祭り開催村はイランシーです。)この日を境にブルゴーニュはよりいっそう寒くなるそうです。
寒さに弱い私は覚悟してこれからまだまだ続く畑の授業に臨みたいと思います。
皆さまも風邪などひかれませぬようお体に気を付けて、美味しいワインを楽しく頂いてくださいね。

ではまた!

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