連載コラム

連載コラム:佐藤くらら陽子の「ブルゴーニュ日記」 Vol.16 2017_12_15

雪が舞い散るブルゴーニュより、こんにちは、佐藤くらら陽子です。

日ごとに寒さが厳しく、昼間が短くなる冬のブルゴーニュの朝はゆっくり。8時過ぎでも薄暗く、畑や丘の上に真っ白な霧が立ち込めます。朝は畑に行くのも一苦労。車のドアは凍り、フロントガラスに氷が張ります。グラン・クリュ街道を走ると霧の立て込める様子から村ごとの風の流れ、クリマの違いが目にとれます。

ブドウの葉は枝から落ち、収穫時に未熟で積み残されたブドウや枝の上に付いたグラッピオンと呼ばれる小さな房が寒そうに枝にしがみつき、茶色一色の寒々しい畑です。

11月に入ってから、冬の剪定が始まりました。収穫の時の賑やかさとは一転、畑に一人で黙々と作業をするヴィニュロンが目に入ります。そして、ブルゴーニュの冬の風物詩となっている枝もやし。ブルゴーニュでは剪定をしながら、または剪定後に枝をはがしながら車輪の付いた一輪車ドラム缶に枝を入れ、燃やしながら畝の中で作業をします。畑のあちこちで煙が経つ景色がなんとも馴染み深く感じます。これは、その年の枝に付いたウィルスや虫、カビ病などを畑に残さないために焼くためです。ただ、作業は地味なのですが大変です。ドラム缶からパチパチと火花が飛び、作業着や髪の毛が焦げます。そして、このブドウの枝の煙がかなり臭いのです。一日が終わると煙の香が自分に付き、薫製になった気分になります。

ビーズでも剪定が始まりましたが、プレタイユと言われる予備剪定。本剪定は来年になってから。ビオディナミを実践している畑は完全に樹液が止まるまで待ち、一番寒くなる1月から剪定を行います。というのも、ブドウの樹が完全に冬眠に入らない状態で剪定を行うと、切り口から樹液が落ち、ブドウの樹に負担をかけるから。剪定は次の年のブドウの実の数と質を調整する一番重要な作業。樹一本一本と向き合って、樹の樹勢を考慮しながら、次の年のブドウの樹の成長を想像し、理想な形に枝を落とし仕立てていく作業で、機械では行うことができないので時間がかかります。ブドウの将来を担い、寒さと、腰痛、そして力もいる重労働ですが、創造性をかき立てる作業で私は好きです。

そして、11月と言えばワインの中心都市ボーヌが一番盛り上がる第157回「栄光の三日間」のお祭りが行われました。パレ・ド・コングレという催事場ホールでは3,000種に及ぶワインの試飲。オスピス・ド・ボーヌのカーヴではオークションに出展されるワインを樽から試飲。町の至る所にスタンドが立ちワイン片手にエスカルゴや特産品をつまみ、ボーヌが世界中の観光客で埋め尽くされました。私はパレ・ド・コングレのサヴィニ・レ・ボーヌのブースのお手伝いや、オークションのワインの試飲、友人の唐揚げ屋台のお手伝いなど、お祭りを楽しみました。不作であった昨年に比べ収穫が1か月早いことも、どのワインも果実味と酸味のバランスがよく、既に美味しくポテンシャルのワインが多く、高値になる事は予想されました。

19日の午後から始まったオークション。豊作となった2017年は787樽が競売にかけられました(昨年596樽)。前半は昨年と同じような落ち着いた値付けでした。しかし、中盤から一気に高値に高騰。最高記録を出したのはコルトン・グラン・クリュ“クロ・デュ・ロワ”キュヴェ・デ・プレジデントが420,000€をたたき出しました。そして総売上額約12.366.511 €。2015年に次ぐ記録を達成しました。(2015年の総売上約11.3百万€、樽数575)1樽当たり約8.6%の上昇となりました。

物凄く盛り上がった3日間も瞬く間に過ぎ、今は寒さで静まり返っているボーヌです。

そして、12月に入り、街中はクリスマス一色。畑で作業する人達もクリスマス休暇の事で頭が一杯。ヴァカンスの話が始まると作業を止めて語りだし、寒い中にも笑いが絶えず、雰囲気もヴァカンスモード。その上、作業中に枝を燃やして作る焼き芋を畑で食べるのは最高です!

それでは、また!皆様もクリスマスやお正月などで素晴らしいワインに出会えますように。

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