連載コラム

連載コラム:佐藤くらら陽子のブルゴーニュ日記 Vol.11 2017_01_29

極寒のブルゴーニュより、こんにちは、佐藤くらら陽子です。

この冬は、2012年以来の極寒と言われ、毎日マイナス温度を記録更新し続けている
ブルゴーニュです。
私には昨年の初めての冬越えが極寒に感じていましたが、今年の寒さを経験すると
暖冬だったことが良くわかります。
外に出ると手先が凍り、顔が痛いほどの寒さです。
でも、ブルギニヨンは「これがいつものブルゴーニュの冬の寒さだよ」と言います。
畑も樹氷で真っ白になることもしばしば、サヴィニー・レ・ボーヌ村の噴水は氷柱
となり、きれいな彫刻の作品になっています。
ちなみに、ボーヌの噴水は栓が閉められ、クリスマスから年末にかけては水の代わ
りにクリスマスツリーが飾られ、それが取り去られた今は、水も出ることなく、人
気のない街並みをいっそう寂しいものにしています。
観光客も少なく、ボーヌは静かで、15分ごとになる教会の鐘がキーンと響きます。

この時期、畑も静かです。あまりにも寒い時は、ブドウ農家は畑に出ません。
零下での畑の作業は効率が悪く、ドメーヌでの作業になります。
畑の作業以外にもやらなくてはならない作業が沢山ありますし、この時期は2015年
のワインの瓶詰作業が急ピッチで行われています。
ドメーヌを訪ねると、瓶詰作業の機械の音と、瓶の重なり合う音で、畑とは異なり
とても賑やかです。

通常は1月の終りにあるサン・ヴァンサンのお祭り(ブドウ農家の守護聖人に感謝
するお祭り)を過ぎてから、冬の剪定作業を開始します。
しかし、1月も半ばを過ぎるとブドウの樹が冬眠しているこの時期(休眠期)に剪定
を少しでも行いたい農家は外に出て作業をしています。
選定した枝を燃やして暖を取りつつの作業です。畑から煙が出ているのを見ると
脱帽したい気持ちになります。

そして、1月初めにシモンビーズで2015年の全てのアペラシオンのブラインドテイ
スティング勉強会が行われました。
私が収穫した年のワインなので、思い入れの畑からどんなワインに仕上がっている
のかと、わくわくしながら参加しました。
もちろん、当主の千砂さんも参戦です。レジオナルからグラン・クリュまで、
全12種をコメントと分析をしながらの試飲となりました。
さすがに当主の千砂さんは、ほぼ正解。
ご自身の大切な1級畑のセルパンティエールだけは自信を持っての即回答。
正解を見ると、「さすが私!」と絶妙なコメントも出てきました。
2015年は天候もよくブドウが良く熟した良い年とされています。
シモンビーズのワインは、どれも全体的にバランスが取れていて、アペラシオン
をきちんと表現しています。
回答を見て、整理すると、レジオナルワインは色合いが濃いものの、酸味・果実味
・渋みも全体的に若々しく、引き締まった印象。
村名ワインは色合いも濃いのですが、味わいも濃厚でまろやか、たっぷりした印象
でした。
1級畑名ワインになるとさすがにクリマの個性が出てきます。
どのクリマも繊細な酸味ときれいなミネラル感があり、加えて地勢の個性が感じら
れ、千砂さんも「これ美味しい!」「これも美味しい!」「やっぱり、全部美味し
い!!」と連呼をされていましたので、間違いなく美味しいワインです。
皆様ご期待ください!
そして、特級畑名になるとさすがに力強いワインです。熟した果実の印象が強く、
余韻に膨らみがあります。既に旨みがあります。(そして、回答で私は5つ正解、
大満足でした。)
シモンビーズに限らず、2015年のブルゴーニュのワインを色々試飲してみると、
ボディのしっかりとしたワインの印象、熟成させるポテンシャルが高いと感じます。
私の収穫デビューの年なので期待の思いが入ります!

そして、毎週土曜にあるボーヌの朝市ですが、1月に入ってからは寒さのため、
お店が通常の半分以下になりました。
八百屋さんは野菜が凍ってしまうので、カバーをかけて営業。お客さんの注文を
受けてから、カバーの下をごそごそと探り、白い息を出しながら「Voilaどうぞ!」
と話しながら販売しています。
それでも、2週間前からミモザを売るお店が出てきました。寒さの中でも、春を
告げるミモザを手にする人を見ると、この寒さもあともう少しだから頑張ろうと
いう気持ちになります。

それでは!また!春を待ちつつ