連載コラム

連載コラム:伊東道生の『<頭>で飲むワイン 』 Vol.72 2017.06.16

飛行機とシャンパーニュ

 もうすぐ夏、お休みで海外に行かれる方も多いでしょう。それに合わせたかのようにRVF誌では、航空会社とシャンパーニュの話題が取り上げられています。航空会社にとって、シャンパーニュは相変わらず顧客にアピールする目玉となっているようです。近年では、とくにビジネス・クラス向けに大手メゾンがしのぎをけずっています。
 ここで、まず問題です。次のシャンパーニュを提供する航空会社はどれでしょう。いずれも2017年に関してです。
 まずファースト・クラスから。
航空会社の選択肢は、次の6社
1.エミレーツ航空(アラブ首長国連邦のドバイ拠点の航空会社)
2.エティハド航空(アラブ首長国連邦のアブダビ拠点の航空会社)
3.JAL  4.ANA  5.エア・フランス  6.ブリティッシュ・エアウエイズ
シャンパーニュは、
a. Laurent-Perrier Grand Siècle  b. Jacquesson n0 740 c. Dom Pérignon 2006
d. Salon 2006 e. Billecart-Salmon 2007
f. Taittinger Comtes de Champagne 2006 & Krug Grande Cuvée
 正解は、1とC  2とe 3とd 4とb 5とf 6とa です。アラブ系の航空会社がシャンパーニュを出すのは面白いですが、ANAも渋いし、AFは自国の誇りで2品目ですかね。AFの関係者は「シャンパーニュという言葉はわわれわのDNA の一部を形成している」とまで言っています。ブリティッシュ・エアウエイズならPol Roger Winston ChurchillかBollinger のミレジメ をだすのかと思いきや違いました。グラン・シエークルは、ルイ14世の時代を指すので、ちょっと不思議です。2017年は、偶々、と言うことでしょうか。
 次は、ビジネス・クラスです。
1.エミレーツ  2.デルタ  3.エア・カナダ  4.AF  
5.JAL  6.アエロ・フロート
a. Drappier Carte d'Or b. Charles Heidsieck brut c. Delamotte brut d. Ayala brut
e. Veuve Clicquot Carte Jaune f. Deutz brut & Laurent-Perrier brut
正解は、1とe 2とb 3とa 4とf 5とc 6とd です。さすがに、ランクはずいぶん落ちますが、AFは変わらず2品目。JALもなかなかやりますね。
最後は、エコノミー・クラス
1.JAL  2.AF   3.エミレーツ
a. Moët & Cahndon b. Vollerreaux Brut Réserve
c. Jacquart brut, Heidsieck & Co Monopole Silver Top & Carnard-Duchêne Cuvée Léonie
正解は、1とb(ただしプレミアム・エコノミー) 2とc 3とb です。
 シャンパーニュは航空会社が営業を開始した頃から、サービスの花であり、王さまでした。そういうことで、各社がとりどりのシャンパーニュをサービスしています。ここ15年ほど前から、アジア、とりわけ中東の航空会社が、アメリカやヨーロッパ路線を拡大し始めて、この傾向に拍車がかかったようです。エミレーツ航空は、Billecart-Salmon 2007 に加え、<スイート・キャビン>専用にCuvée Élisabeth SalmonとLe Clos Saint-Hilaireも供する、とビルカールのディレクターであるアレクサンダー・バーダーが語っています。エミレーツ航空は、シャンパーニュだけでなくブルゴーニュを熟成させるカーヴも新設し、380万本が所蔵されているということです、見てみたいですね。
 JALとドラモット、サロンを傘下に持つローラ・ペリエの結び付きは2011年からだそうですが、同社のディディエ・デュポン氏によると、JALが申し込んできて以来、両者は完璧な(exclusifと言う言葉を使っているので、「排他的」なほど密着しているということでしょうか)パートナーとなっていると、JALをくすぐる言葉を口にしています。
 航空会社におけるワインやシャンパーニュ市場は、ファースト・クラスよりもビジネス・クラスをターゲットにしています。AFによると、昨年、ファースト・クラスは4万人の客に対し、9500本のシャンパーニュが供されたが、ビジネス・クラスは200万人の客に対し、42万8000本も供されました。ランクが落ちるとは言え、明らかに規模が異なります。ビジネスマンが、銘柄を覚え、レストランやホテルで、さらに空港の免税店で購入してくれることも視野に入っている、とVranken-PommeryのMyriam Renard氏は言っています。宣伝効果も馬鹿にならないようですね。ちなみにルフトハンザにでは、Louise 2003、UAではBrut Royal de Pommeryを供しています。
 航空会社によるのですが、エコノミー・クラスには、8~15ユーロ、ビジネス・クラスには12~25ユーロ、ファースト・クラスには30~80ユーロを目安にしています。またアドバイザーというか、ワイン選びのエキスパートも各会社で雇っています。AFはPaolo Basso氏、ANAはOlovier Poussier氏、エア・カナダはVéronique Rivest氏など、有名ソムリエ、マスターオブワインが関わっています。これは知りませんでした。
 高度10キロではシャンパーニュの味覚も微妙に変わり、口蓋が収縮して、よりしっかりしたものstructuréという味わいになるそうです。それは、ともかく客に対してもシャンパーニュの特徴を説明することも、キャビン・アテンダントには求められます。JALでは女性CAの30%がソムリエールの資格をもっています。そう言えば、パリで知り合ったCAもソムリエールで、パリのワイン学校でバイトをしていました。「仕事の割に給料、安いのよ」と嘆いていました。
 最後に、器の問題。RVF誌でも取り上げていますが、エコノミー・クラスではシャンパーニュがでても、プラスチックのコップというのはいただけませんね。各自、持参しますか・・・。ただ、各社が設定し始めているプレミアム・エコノミーでは、グラスでサービスするようになるようです。

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