連載コラム

連載コラム:伊東道生の『<頭>で飲むワイン 』 Vol.66 2016.12.21

ピノ・ノワール二題

 今回はピノ・ノワールをめぐる話題です。ブルゴーニュの価格もまた「炎上」しているのは、みなさまご存知のとおりです。2000年以来、村ものがプルミエール・クリュ並に、プルミエール・クリュはグラン・クリュ並に価格が上昇しています。特別なDRCやらアルマン・ルソー、ジョルジュ・ルーミエといったドメーヌは別にしても、すぐに100ユーロを越えてしまいます。そこでRVF誌では、ブルゴーニュの偉大な赤は、常にアルザスや、サンセール、ジュラのピノ・ノワールよりも優れているか、という疑問をつきつけ、フランス国内のピノ・ノワールをブラインドで判定するという企画を行いました。面白いことに、世界ソムリエのオリヴィエ・プシエやRVF誌のオリヴィエ・ポエルなど7人が、判定のみならず、飲んだワインに価格を設定することも行っています。対象は、フランス全土からの2014年産の21種類、16から125ユーロまでの価格のピノ・ノワールです。目的は、順位付けというよりもワインの質と何よりも価格、つまり「このワインにならいくら払うか」という問題に答えることでした。
 まず、確かにいくつかのブルゴーニュのスターは、素晴らしいけれども多くの評者にとって価格が行きすぎである、と映ったようです。Clos de la Roche de La Pousse d'Or(ドメーヌ出荷価格が125ユーロ。6人の評者の最低価格は50ユーロ、最高価格は145ユーロ、平均は86ユーロでした。)とDomaine Perrot-Minot (vosne-romaneé 1er cru ) はもっとも高評価であったが、価格が現実離れしている。またBouchard Père et filsのClos Vougeotもしかり、というわけでやり玉にあがっています。たしかに水準は高くても現実の価格として高すぎるものが、最初に挙げられています。
Domaine Alphonse Mellot, Sancerre En Grand Champs
(ドメーヌ出荷価格が60ユーロ、6人の評者の最低価格は15 ユーロ、最高価格は35ユーロ、平均は24ユーロ。以下、同じ順番で価格を挙げます。またドメーヌの語は省略)
Valentin Zusslin, Alsace Pinot npir Bollenberg (55 10 20 14 )
Faiveley Beaune, 1er cru Clos de l'Écu ( 60 12 65 29 )
Mas d'Espanet, IGP des Cévennes Pinôt ( 16 5 20 11 )  今回の最低価格のピノ・ノワールです。かなり変わったピノ・ノワールの風貌と記されています。
Perrot-Minot, Chambolle Musigny 1er cru La Combe d'Orveau ( 130 70 150 90 )
Bouchard Père et fils, Clos Vougeot (119 40 65 54 )これはかなりの落差です。
Mouscaillo, Haute Valée de l'Aude Pinot noir (17 3 15 7 )
La Pousse d'Or , Clos de la Roche ( 125 50 145 86 )
Bérêche et fils, Coteaux champenois Omes Rouge ( 45 5 15 9 )
 これらは高価格すぎるという評価で、次のグループが、価格に関して、ほぼ評者の判断と一致するものです。
Guilmeim et Jean-Hugues Goisoy, I rancy Les Mazelots ( 13.50 7 25 14 )
Julien Labet, Jura Les Varrons ( 25 12 30 20 ) 香りの素晴らしさに評者が魅惑されたと記されています。
Weinbach, Alsace Pinot noir ( 28 10 60 28 )
Vincent Pinard, Sancerre Pinot noir ( 17 8 35 22 )
Olivier Guyot, Marsannay La Montagne ( 20 14 50 23 )
Gonet-Médeville, Coteaux champenois Ambonnay Grand cru CUvée Athénaïs ( 37 15 35 28 ) シャンパーニュのドメーヌの出すコトー・シャンプノワにしてはまあ、お安めでしょうか。
Bénédicite et Stéphane Tissot, Arbois Sous la Tour ( 23 10 30 20 )
Henri et Gilles Buisson, Corton Grand cru au Le Robnet-et-Corton ( 59 15 55 31 )
Ballot-Millot et fils, Volnay 1er cru Santenots ( 36 15 55 31 )
Albert Mann, Alsace Pinot noir Grand P ( 42 20 80 46 )
 最後が、いわばこの試飲のチャンピオンとでもいうべきコスパ抜群の三本です。
Daniel Crochet, Sancerre Cuvée Prestige ( 17 80 100 92 ) 価格と評価との差が著しく、神の天啓とも言うべきワイン、と最高評価。しかもピノ・ノワールの性格がはっきり出ているワインと。ADVでも揃えましょう。もっとも、もはや手に入らなくなっているかもしれません・・・。17ユーロに評者が軒並み80ユーロ以上の評価ですから。
 残りの二本は、「控えめな」ブルゴーニュです。その一本目は
Catherine st Cluude Maréchal, Bourgogne Gravel ( 10 15 70 40 ) 極めてクラシックで魅惑的との評価。もう一本は、Dureil-Janthial, Rully 1er cru La Fosse ( 25 25 55 44 )  こちらはかつての試飲でシャルドネも評判だったドメーヌで、新しいスタイルだそうです。 最後の三本のお薦めピノ・ノワール、飲んでみたいものです。 
 さてピノ・ノワールのもう一題は、ロゼ・シャンパーニュについてです。年末年始、このメルマガ恒例の話題です。
 ロゼはシャンパーニュの9%ということですが、何とここ15年で5%も増えました。知りませんでした。そういえば、以前よりもロゼをよく見るようにはなりました。ご祝儀ワインとしてだけでなく、質も向上し、それはとくに赤ワインの熟成を正確にコントロールできるようになったからということです。しかも温暖化のせいかは知りませんが、よく熟成した赤葡萄が手に入るようになったから、とも。赤ワインの場合、セパージュや熟成、マセラシオンなどが問題になりますが。ロゼはバラエティに富んでいます。そこで基準となるものの一つが、まず「色彩」です。バラ色から深紅まで、色調のバリエーションが味わいのバリエーションにもつながっています。そこでRVF誌は、ロゼ・シャンパーニュを四つに分類して、評点を与えました。
 最初は、セパージュもミレジムも混合したシャンパーニュです。色は薄めで、平均5から15%の赤ワインを加えて、市場に出てすぐ飲める軽いタイプが多いのですが、そのトップになったEgly-Ourit(17.5点)とBérêche et fils, Campania Remensis(17 ) はピノ・ノワールが支配的で、しっかりしたものになっています。その他はフィネス、香りの持続、通常のシャンパーニュに近いものとなっています。Jacques Selosse (17 )-140ユーロもします-、Pierre Gimonnet (15)、Lecrerc-Briant (15.5)がその典型で、最後のシャンパーニュはロゼにもかかわらずシャルドネ95%です。またDrappier (15)は、ブランド・ノワールでノンドゼ、Christophe Mignon (14.5)はピノ・ムーニエ100%です。その他、上位にはPierre Péters(16.5)、Billecart-Salmon(16)、De Sousa(16)、Devaux(16)、Philipponnat(16)が挙がっています。 
 二つ目のグループは、いわゆるセニエ式のもの。赤ワインに近いカラーで、ワインらしい味わいと果実味、香辛料の香りが優勢。最近、流行している、と。セニエ (Saignée)の名の付いた Larmandier-Bernier (17) とVeuve Fourney (17) がトップ、そして、Barnaut、Benoît Le Haye、Laherte Frèresが16.5点で続きます。
 三番目がミレジメもの。上位は、Louis Roederer 2010(17)、2009(16.5)、Jacquesson 2009(16.5)、Pol Roger 2008(16.5)です。
 最後がメゾンや栽培家のスタイルが色濃く出ているプレステージもので、当然すべてお値段はびっくりです。20点満点を獲得したのが Cristal 2002 ここではマグナム価格で700ユーロになっています。2004は18.5点。Bollinger 2005、Krugが18点。価格が比較的安いのがDrappier 2008 (16)の80ユーロ、Philiponnat 2007 (16)の83ユーロです。
 ものによっては、多くの料理と合うロゼ・シャンパーニュ、お試しあれ。そう言えば、シャトー・パヴィのジェラール・ペレスがピノ・ノワールとシャルドネを実験的に植えたという話を聞きましたが、どういう意図なのでしょう。
 それでは、みなさま、良いお年を。

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