連載コラム

連載コラム:伊東道生の『<頭>で飲むワイン 』 Vol.55 2016.01.17

話題いろいろの初春

みなさま、遅ればせながらあけましておめでとうございます。
Revue du vin de France誌では、2016年にあたって今年の福男ならぬ、ワイン業界にもっとも影響を与える人200人を選出したり、ボルドーの2006年の再評価をしたりしています。ラングドック=ルーションや南西部など比較的マイナー地域の話題が多かったのですが、久しぶりにボルドーの話題も満載です。その一部とまたシャンパーニュの話題を少々。
まずはワインの200人ですが、トップはベルナール・アルノー。ご存じLVMHグループの総帥、2015年には340億ユーロを稼いだそうです。そのうち45億がワイン・スピリット関係。Cheval Blanc、D‘Yquem、Krug、Moët、Ruinardを所有、Henessyはコニャックの売り上げの40%になります。二位はフランスの大手酒造で、ディアジオに次ぐ世界二位の酒造業ペルノー・ルアールのCEOであるアレクサンドル・リカール。第三位はフランスワインを統括するフランスの公的団体 France AgriMer(アグリメール)のワイン委員会の会長ジェローム・デスペイ。3億ユーロの助成金を動かしてフランスワインの傾向を左右することから例年トップ・スリーに入っています。四位はフランスになじみのある人なら誰でも知っているワイン・チェーン店のニコラを所有し、これも大手カステル社のピエール・カステル。ロバート・パーカーは12位ですが、その引用がふるっています。「私は一日一本飲んでいる。それはとてもつつましいとは言えないが、幸いにも肝臓はもっている。」好みはまったく違いますが、この意見は納得。私は同じシャンパーニュ好きの主治医がついていますが、パーカーにもいるのかな。彼も68歳になるのですね。そのパーカーが100点をつけたシャプティエのミシェル・シャプティエは17位です。人物の出身もしくは関わりのある地名が人物名とともに表記されるのですが、彼の場合は、ローヌとオーストラリアになっているのは興味深いことです。同じくローヌの高評価ワインを生産するギガルのフィリップ・ギガルは30位です。またエノツーリズムを推奨する大臣ローラン・ファビアスは23位、このところ著しく活躍の目立つ醸造家カロリーヌ・フレイは34位。日本人では田崎さんが168位にランクされているだけです。総じてアジア系の人はきわめて少ないのはフランスワインにとってそれだけ影響力がやはり少ないからでしょうか。なかなか200人の評価自体を理解するのは難しいところです。
さて、次の話題は2006年のボルドー、10年経っての再評価です。2001年が2000年の影に隠れながら高評価をえたように、2006年も伝説的な2005年の影に隠れて、どうか。結論を言うと2003年や2004年を凌駕するものの2005年には及ばなかったということです。
メルロの出来の良かったことからサン・テミリオンが、熟成の十分さ、タンニンの持続がみられ、もう飲めるものもありますが、まだ保存すべきワインも多く、ポムロールもこれは同様。Angelus、Canon(珍しい評価です)、Cheval Blancが18点。Figeac、Clos Fourtet、La Mondotteが17.5点。ポムロールではLafleur、L’Église Clinet、Pétrusが18.5点、La Fleur-Pétrus、Trotanoyが17.5点です。
一方メドックはカベルネ・ソーヴィニオンのできがイマイチであったのもかかわらず、うれしい誤算。アルコール度も十分でふくよか。最良のものは長く保存しうるし、とくにマルゴーではベルベットの印象もあり、特筆。そのマルゴーではMargauxは18.5点。Palmer が18点。Boyd Cantenac、Malescot Daint-Exupéry、Rauszan-Séglaが17.5点。サン・ジュリアンではLas Casesが18.5点。Ducru Beaucailliouが18点。Léoville Barton、Poyferréが17.5点。ポーイヤックではLafiteとLatourが19点と相変わらずの高評価。MoutonとLongueville Baronが18.5点。おなじロングヴィユですが最近はラランドよりもバロンの評価がここ数年良くなっていますね。Lynch-Bages、Pontet-Caneteが17.5点。サン・テステフではCos d’Estournelが17.5点。
2006年は総じてボルドーの白に対して評価がよいようです。なかでもペサック・レオニャンの白は果実の風味がありきわめて生き生きとしていると絶大な評価。例えばHaut-BrionとLaville Haut-Brion、Domaine de Chevalierが19点と群を抜いています。ペサック・レオニャンは赤の評価もよく、Hau-Brionが19点。Mission Haut-Brion、Pape Clémet、Domaine de Chevalierが18.5点。Haut-Bailly、Malartic-Lagravièreが18点と赤も軒並み高評価です。
それに引き替えソーテルヌは少し落ちます。といっても全体的にはいいのですが。D’Yquemは18.5点、Coutet、Guiraud、Raymon Lafonが18点。
いいボルドーは10年で飲むのはもったいない気がしますので、上に挙げた高得点のワインはさらに少なくとも10年はおいておきたいものです。Revue du vin de France誌の評価では、もう飲めるものは à boire という形で記載していますが、それでも早すぎる気はします。
最後に。先月、RM.のシャンパーニュ格付けを報告し、2013年の大手メゾンのランク付けも少し付け加えました。詳細は Revue du vain de FranceのHPにも現在記載されていますので、そちらをご参考に。
http://www.larvf.com/,vins-champagne-palmares-marques-roederer-bollinger-la-revue-du-vin-de-france,4362416.asp

今回はその続きで大手メゾンのノン・ヴィンテージのオーソドックス・シャンパーニュの評価です。上位10のキュベを挙げておきます。
Jacquesson 17  (メゾンの評価は6位 以下、同様です。)
Deutz 16.5 (9位)
Louis Loederer 16.5 (1位)
Philiponnat 16.5 (13位 日本ではフィリポナはあまり評価されていませんね。)
Bollinger 16.5 (3位)
Gosset 16.5 (4位)
Pol Roger 16.5 (2位)
Alfred Gracien 16 (25位)
A.R.Lenoble 16 (14位)
Billecart-Salmon 16 (10位)
 
 そう言えば地球温暖化は、ワイン生産にも微妙な影響を及ぼしています。端的には、栽培地の北上です。そしてここに来て俄然、イギリスのスパークリング・ワインが注目を浴びているのは、よく報道されるところです。これに応じて、テタンジェもイングランドに進出です。スパーリングの地図も変わるかもしれません。

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