連載コラム

連載コラム:堀晶代の知っておきたいブルゴーニュ&シャンパーニュのエッジなお話し Vol.11 2018.10.05

2017年ブルゴーニュのポイントとは?

前回のコラムでは、ブルゴーニュの2017年ヴィンテージは質と量が揃い、その魅力として「飲みやすさと分かりやすさ」を紹介した。今回はワインの出来を左右したポイントをかいつまんで押さえていきたい。

気温が下がりきらない冬の後、暖かい春は早い時期から発芽を促したが、4月の第3週から気温が零下になるリスクが予測された。ブルゴーニュにおける霜害に関しては第3回目のコラムでも触れたが、17年はこれ以上収穫を失うことは死活問題になる生産者もいる中、神経質と言えるほどに霜害対策を行った。とくにここ数年は雹害で壊滅的に生産量が落ちているサヴィニィ・レ・ボーヌが、真っ先に村全体で団結して霜害対策を開始すると、それは瞬く間にコート・ドール中に広がった。藁などを燃やすことで生じる煙はボーヌの街まで届き、ボーヌの街に住む人たちは「朝、窓を開けると煙くさかった」というほどだ。17年はボルドーやシャンパーニュの霜害が顕著だったが、ブルゴーニュが霜害を免れたことは幸運だった。

開花時期の天候が良かったことも吉と出た。開花は一律に進み、ワインに凝縮味をもたらすミルランダージュ(結実不良)や花ぶるいが例年に比べるとぐっと少なかったことも、量の確保と、伸びやかで分かりやすい味わいに繋がっているだろう。ブドウの成長期の天候も良く、雨もタイミング良く降った。ベト病やウドンコ病も発生したものの、あくまでも想定内の範囲で収まった。また雹害も局所的には見られたが、けっして広域ではなかった。畑仕事では日々の観察と、要所要所の判断と実践力が必要とされるのは常であるが、生産者たちは、「2010年以降、毎年のようになにかと過酷な状況に迫られてきたけれど、17年はふり返ってみると、畑仕事は比較的にラクだった。腐敗果の多さで選果に苦労した晩熟の2013年とも異なり、早熟でとても健全なブドウを収穫できた」という。

こう書くと、とても理想的なヴィンテージのように思われるが、落とし穴もある。

まずは収穫量が多すぎたことだ。なぜならブドウ樹の本能として、前年に霜害などで極端に収穫量が落ちた場合、翌年にはブドウを大量にならすという性質がある。春の芽搔きから始まり、グリーン・ハーヴェストなどで収量をコントロールしなかったワイナリーの場合、ワインの味わいは薄く、水っぽいという。また17年のブドウ樹の傾向として、ブドウをならすことを優先していたので、病害から身を守るという免疫力が低い場合もあり、結果的には病害の少なかったヴィンテージとなったが、そこにはやはり、確かな観察力が欠かせなかった。そして収量が高すぎるとブドウが密集することで風通しが悪くなり、それが病害や腐敗果を招いたワイナリーもあるという。

次に収穫時期の見極めも、それぞれのワイナリーの個性を顕著にしている。9月前半は断続的に雨が降った。雨が降る前の早めに酸を残した状態で収穫するか、降雨後に数日待ち、しっかりと水分が落ちた状態で完熟させるかは、判断がかなり難しかったようだ。

ともあれ前述のように、この豊作をどのように捉え、コントロールしたかが、ワインの品質に大きく影響している。多くの生産者が言う。「2016年は収穫にたどり着くこともままならない状況だったので、どのワイナリーも気を抜くことができなかった。でも17年は多少怠けても収穫ができたヴィンテージ。質を求めたワイナリーと、豊作に甘んじたワイナリーで、味わいは二極化するのでは?」と。

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