連載コラム

遠藤利三郎の「読むワイン」~利三郎文庫便り Vol.14(2019_01_18)

「聖書の中のワイン」を読む。

アメリカの禁酒法が施行されている間、
禁酒法を熱狂的に支持した福音派教会のキリスト教徒たちは
キリストの血の象徴であるワインをミサで
一切飲まなかったのだろうか?

その答えがこの本にある。
聖書で語られる「ワイン」という言葉には
二つの意味があるというのだ。
発酵したブドウ果汁と発酵していないブドウ果汁と。

キリストの言葉に
「新しいワインは新しい革袋に入れなければならない」とあるが、
この新しいワインとは
発酵していないブドウ果汁を指すのだという。
果汁は発酵を始めるとともに炭酸ガスを生じ、
古い革袋ではガス圧に堪えられず裂けてしまう。
だから丈夫な新しい革袋に入れなさいと云う意味なのだと。

かように「ワイン」という言葉には
ノンアルコールのブドウ果汁も含まれているのだということを
様々な角度から禁酒主義者の解釈で理論を積み重ねていく。
思わず納得してしまう興味深い本だ。

書名:聖書の中のワイン
出版社:新教出版社
著者:サムエル・バルキオ

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「拙者は食えん!―サムライ洋食事始」を読む。


これは楽しい一冊だ。
幕末に条約批准などでアメリカやヨーロッパに渡った使節の人々の日記から洋食の感想を丁寧に拾い集めた本。

初めて口にする肉やバターに閉口、
お米が出てきたと思ったらバターライスでやはり食べられなかったなど
思わず笑ってしまう逸話が満載。

アルコールはワインやリキュール、ビールなども出てくるが、
我々のご先祖様たちが最も好んだのはシャンパンだったようだ。

日米修好通商条約の批准書交換のため
1860年に訪米した170名からなる使節団は、
途中立ち寄ったニューヨークのホテルで二週間の滞在中に
一日平均150本ものシャンパンを飲んでいる。
すごい本数だ!

ポメリーによって初めてブリュット(辛口)のシャンパンが
発売されたのが1874年だから、
使節団が飲んだのはおそらく極甘口のシャンパン。
口当たりが良く、よっぽど気に入ったのだろう。

書名:拙者は食えん!―サムライ洋食事始
著者:熊田忠雄
出版社:新潮社

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