連載コラム

浅妻千映子の最新レストラン事情 Vol.11 2018_07_20

〜神楽坂の新店〜

神楽坂は、みんなの好きな場所の一つだ。
友だち何人かで食事をしようという時、銀座や青山、六本木なんかと肩を並べ、行きにくい人が数名いても、文句の出ない場所である。
昨年、「裏神楽坂」に面白い焼鳥屋さんがあると知り合いにお誘いを受けたとき、裏神楽坂なんて言葉があるのだなあと驚いた。人気の場所にしか「裏」は存在しないだろう。
ちなみにこの店は「あかべえ襷」といって、焼き鳥の合間にフレンチの皿が挟まれ、ワインのペアリングがあるというユニークなスタイルだ。

さて、なんとなく昔っぽい雰囲気も残るところがいい、と言われる神楽坂だが、ご存知のように、新しい店もたくさんできている。
最初にご紹介したいのは、ワインの充実した店。

今年の春にできた「アロム」は、母体がワインの輸入会社で、店内には人が入れる大きなセラーがある。
それだけでもそそられるけれど、料理、そしてサービスがまた魅力的。
かつて、麹町にあった名店、オーグードジュールでフロアを仕切っていた2人がそのままこの店にいるのだ。
オーグードジュールは、料理もさることながら、そのサービスで名を馳せた店なのである。

この店では、30歳になるかならないかという若いシェフが料理を作るが、若さで押してくる力強さよりも、むしろエレガントな皿の数々が登場する。
選ばれたワインと共に上質な時間を味わわせてくれる。シンプルだが手間のかかるコンソメスープが出てきたときには感動した。
遅くまでやっているカウンター席があって、グラスワインを目当てに2軒目使いができるのもいい。

遅くまでやっているといえば、昨年春にできた中華の「ジュウバー」は、深夜2時ごろまでやっている。
レストランというより中華酒場といったほうがいい店で、あの坂道に面したビルの中にあるが、とても分かりにくい。目指して行く客以外は絶対に来ないだろう。

気軽な値段のアラカルト料理と、ユニークなカクテルがある。
青山椒の香る肉団子や、パクチーと白ワインのソーダ割など、一度口にしただけで、ちょっと病みつきになりそうだった。ご近所にあったら嬉しいなという感じの店だ。

いまFBをのぞいたら、ミョウガがたっぷりのった山椒風味のそうめんが出ていて、妙にひかれてしまった。また行かねば……!

この春、お寿司屋さんにも新しい店が加わった。
「鮓家一(すしやはじめ)」は、グランドハイアット東京の寿司料理長を務めていた方が独立した店だ。

控えめな味の酢飯に、質の高い魚が映える。近頃の寿司屋として控えめなお値段。お好み歓迎というのも個人的には嬉しい。
良心的でいい店だと思ったら、既に敏感な地元民はチェック済のようで、訪れた日には、近くでレストランを営むフランス人がカウンターに。既に常連客になっているようだった。
さすがホテルに長くいただけあり、ご主人は穏やかだ。

ホテル時代は、早朝、築地に行くなんてこともなかっただろうに、今は毎日通っているそうである。
現在、お一人ですべてをこなしているというから、部下を抱えていたホテル時代に比べて、朝から夜まで労働時間は相当長くなったことだろう。それでも、自分の寿司の評価がダイレクトに伝わってくることが楽しい様子だ。

考えてみれば、ホテルの客の中心は宿泊客、それも海外からだったりする。地元の人、とか、リピーターが付く、という感覚は、ご主人にとって、とても新鮮なのだろうなあ。

さて、江戸川橋まで足を延ばすと、わたしの中で最近のベストレストランがあるのだが、この話はまた今度!


■あかべえ襷
http://www.tasuki-pj.com/story.html

■アロム
https://www.cavedecomma.com/restaurant-aromes/

■ジュウバー
https://www.facebook.com/%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%82%A6%E3%83%90%E3%83%BC-153091971798831/

■鮓家一
https://sushiyahajime.wordpress.com/

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