ウェビナーでガリガリ学ぶワイン vol.9~コンスタンチン・ボームMW「マスター・オブ・ワインからブラインドテイスティングを学ぼう!」

われらが誇る日本の大橋健一MWと同じ2015年に晴れてマスター・オブ・ワインとなったドイツのコンスタンチン・ボームMW。YouTubeでMWになるまでの厳しい道程やブラインドテイスティングの極意を語ってくれる。下積みからたたき上げた苦労を見せない明るく楽しい語り口だ。

文/織田 豊


【目次】

マスター・オブ・ワインになる
さあ、いよいよブラインドだ
MWだって間違える
高いワインと安いワイン
まとめ


①マスター・オブ・ワインになる

マスター・オブ・ワイン(MW)のプログラムは、1953年に試験が始まって、2021年8月時点で419人のMWが世界31か国にいる。試験は3日間連続でプレッシャーに耐えないとならない。

https://www.youtube.com/watch?v=_tYltwEaEy8

「テイスティングは2時間15分で12種類のワインを片づけないとならない。産地や品種を特定して、醸造の観点で品質とスタイルを比較せよとか聞かれる。リラックスして、失敗しても自信を持ってやるしかない。NBA(北米プロバスケットボールリーグ)の選手のようだよ。」

最近の出題を見るとシャンパーニュのヴィンテージとノン・ヴィンテージの製法の違いを説明したり、ボルドーのブドウ品種の産地違いのワインから、使われているブドウ品種と産地を特定したり、醸造と熟成の違いを見分けたりという高次元。甘口ワインでは製法、産地、品質と熟成具合に加えて、残糖(g/L)まで聞かれる!

もちろん、全てブラインドテイスティングだ!!

コンスタンチンは高校を卒業してからアプレンティスシップ(徒弟制度)で、ドイツで最も有名なホテルの一つで、レストランやバーで働きながら学校にも行かせてもらってサービスや料理やワインも勉強した。そこでワインに引き込まれた。「ワインは香りや味わいの他に歴史や文化や宗教、科学も関係してくる。本も色々買ったしティスティングもした。」

そうしたティスティングの機会に業者がロマネコンティの隣の畑からできたワインだと言って、フランソワ・ラマルシュのラ・グランド・リュを出してくれるというので大興奮。だが、開けた時には完全にワインが閉じていてがっかりしたらしい。

それが、「家に持ち帰らせてもらって一晩寝かせたら、翌日ぶっ飛んだ。魔法の瞬間だった。ワインは美しく開いて驚くほど複雑だった。これでワインの見方が変わってワインに関わる全てを学びたいと思ったんだ。」

その後、ダブリン最高のレストラン、パトリック・ギルボーでソムリエとして働いた。厳しい日々だが素晴らしい経験になる。ビジネスで来た客2人が昼からドンペリやらペトリュスを次々と飲んで、7,500ユーロを使う。そんな人たちが来るレストランだった。

「その頃、マスター・オブ・ワインという資格、36種類のブラインドテイスティングの事を知った。これはやらなきゃいけないと思ったんだ。やると決めたんだ。」一流レストランで働くだけでは飽き足らずニュージーランドに行ってワイン造りを実地に学ぶ。

https://www.youtube.com/watch?v=Z5L7sNvY-q4&list=PLVcvzbOZRC6l3eBXvnMDkKtK6YM2dNHKU

そして、ドイツに戻りガイゼンハイム大学で栽培、醸造とビジネスを体系立てて学んだ。大学はラインガウのブドウ畑に囲まれていて、教室で樹冠管理を学ぶと実地に外に出て剪定もできる恵まれた環境だった。卒業した時には、MWプログラムにいよいよ取り組めると思った。そして、MWの協会本拠地のロンドンに向かった。

「MWの生徒になるにはお金も掛かる。旅費も必要だし、本とかトレーニング代も必要で、年間平均で10,000ユーロ程度掛かる。3年で合格できる可能性は有るけれど、殆ど厳しいね。大体、途中で脱落してしまうし、合格できる一握りの人も平均6~7年掛かってる。最初こそは緊張したものの、みんなブラインドテイスティングでは失敗するしね。」と厳しい中にも楽しかったことは、志を同じくする生徒達とMWの先輩達と友達になれたことだという。

 

②さあ、いよいよブラインドだ

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