リケジョが行く!ワインを科学で考えるコラムvol.5 フェノレとフェノリック、似て非なるもの

日本のワイナリーに行くと、醸造家の方たちが「フェノレ」という言葉を使っていて、なんだろう、と思った経験はないでしょうか。一方でプロのテイスティングコメントを聞いていると「フェノリック」という表現も出てきます。
両者は響きがとても似ていますが、まさに「似て非なるもの」です。本稿ではその違いについて科学的に解説します。

文/小原 陽子


【目次】


フェノレとは

まずはフェノレとは何か。これはフランス語で、Phénoléと書きます。

それが何なのか、結論から先に書くと、「揮発性フェノール」のことです。となると「揮発性フェノール」とは何かを説明する必要がありますね。

揮発性フェノールは、4-エチルグアヤコールや4-エチルフェノールなどに代表される、構造式の中にフェノール構造(下図参照)を持つ物質の総称です。

これらはワインにおいて、主にブレタノマイセス*によって生成される欠陥臭を指しています。

*醸造における代表的な悪玉酵母:ワインに関わる酵母はサッカロミセスだけではないことは「vol.1 自然酵母で作ったワインは、培養酵母で作ったワインより美味しいのか」でも書いています。

つまり「フェノレあるよね」と言うことは「欠陥臭を感じる」と言っていることになります。

 

フェノリックとは

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