サンセールとは ~頭一つ抜けたワインが見つかる伝統のワイン産地

サンセールは、ロワール川流域のワイン産地。もっとも内陸のサントル・ニヴェルネ地区に立地しています。栽培面積は、約3千ヘクタール。14のコミューンが有ります。先ずは、1936年に白ワインがアペラシオンとして認められ、続く1959年に赤ワインとロゼが認められました。いずれも単一ブドウ品種、ソーヴィニョン・ブランとピノ・ノワールから造られます。今回は、由緒正しいフランス伝統産地、サンセールに注目します。

本記事は、ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」が監修しています。ワインを通じて人生が豊かになるよう、ワインのコラムをお届けしています。メールマガジン登録で最新の有料記事が無料で閲覧できます。


【目次】
1. 3つの土壌と3つのリューディ
2. 環境とブドウ樹に優しい栽培手法
3. サンセールワイン 人気の変遷
4. ソーヴィニョン・ブランの変化と高級キュヴェ
5. サンセールの赤 ピノ・ノワールの復興
6. サンセールの偉大なる造り手たち
7. サンセールのまとめ


1. 3つの土壌と3つのリューディ

サンセールは、ロワール川を挟んで対岸のプイィ・フュメの栽培面積の倍の広さがあります。どちらも、ソーヴィニョン・ブランの銘醸地。ですが、お値段的にこなれたワインも多い、サンセールの方が良く知られているのではないでしょうか。

しかし、ニュージーランドのマールボロの栽培面積はサンセールの10倍。今や、少なくとも量では、マールボロには敵いません。そして、サンセールでは、AOCで規定されているエリアにはほぼすべて、ブドウが植栽されてしまっています。ですから、これ以上、生産量はなかなか増えないと思われます。収量は、白、赤、ロゼで異なりますが、アぺラシオン上は、ヘクタール当たり60ヘクトリットル以上と、比較的多めです。

この産地の歴史は古く、ルネサンスの時代にワインの輸出が始まったとされます。13世紀には、ローマ教皇にシャヴィニョルの白ワインが献上されたとか。そして、18世紀後半には、この地のカトリック聖職者プパールが、産地の多様性への賛辞を贈りました。

海外の大規模ワイナリーの進出も見られず、330ほどの小規模の家族経営の生産者と協同組合が中心の伝統的な産地。

標高は、高い所は350メートル程度。幾つかの代表的な土壌が有名です。さらに、丘陵の地形も影響。さまざまな傾斜の斜面や太陽への向きの違いも生まれて、ワインに多様性を与えます。

その昔、サンセールは海の下。地質の創成は、1億5千万年前に遡ります。そして、サンセール断層による地層のずれで、異なる土壌が隣接。土壌に多様性を生み出しました。

土壌は、3つの分類を憶えましょう。シャブリと同様のキンメリジャン土壌テール・ブランシュと呼ばれます。ジュラ紀の土壌で、西部の斜面で見られます。

キンメリジャン土壌

さらに古い土壌で、主として岩がちな石灰岩から成るレ・カイヨット土壌。火打石を含んだシレックス土壌

レ・カイヨット土壌

骨格がしっかりして豊かな長熟のワインを生むテール・ブランシュと、香り豊かで軽やかなワインを生むレ・カイヨットが夫々4割程度。シレックス土壌はもっとも若い土壌。東部の斜面の頂上部分で見られます。火打石や鋼の様なワインを生むと言われます。

14のコミューンですが、特に憶えておきたいのは、AOC名と同じサンセールという名称のコミューン。そして、やはり銘醸地のビュエでしょう。

コミューンのサンセールに属する地区、シャヴィニョル。サンセールに吸収された歴史があります。この地区の、特に格別に有名な二つの特定区画(リューディ)に畑を持つ生産者は、大きなプライドを持っています。急峻な斜面にあるル・モンダネと、クル・ドゥ・ボージュ

そして、南西部に立地するコミューンのビュエに属するル・シェ―ヌ・マルシャンが三つ目の特定区画。この3つのリューディを知っておけば、ブルゴーニュの格付けワインを選ぶようにワインリストを眺めることができる筈です。

ル・モンダネは急斜面で、テール・ブランシュの土壌。南から、南東向きで250~300メートルの標高を有します。クル・ドゥ・ボージュも、ル・モンダネと同様の250~300メートルの標高を有する急斜面。テール・ブランシュの土壌から、ふくよかなワインが生まれます。そして、ル・シェ―ヌ・マルシャンは、やや斜面が緩やかで南もしくは東向きのレ・カイヨット土壌です。

ル・モンダネは、プイィ・フュメを本拠としていた伝説の生産者、故ディディエ・ダグノーも畑を手に入れて自ら開墾したほど。サンセールでも、もっとも熟度が高くて力強いワインができます。ジェラール・ブレ、そしてコタ家のパスカルとフランソワは、このル・モンダネと、クル・ドゥ・ボージュの両方の産地で畑を有しています。

2. 環境とブドウ樹に優しい栽培手法

国立原産地名称研究所(INAO)に認可されて、今後のナチュラルワイン造りの標準的なルールになるかも知れないと期待されている、ヴァン・メトード・ナチュール。この認証の立ち上げの原動力になったのが、ロワールでした。ブルグイユのセバスチャン・ダヴィッドなどの、ナチュラルワイン生産者などの団体、ヴァン・ナチュール保護組合が当局に働きかけたのです。

当然ながら、サンセールも意識が高く、過半がオーガニックやビオディナミを取り入れるか、HEV(環境価値重視認定)を取得しています。例えば、セバスチャン・リフォー。オーガニックへの転換に飽き足らず、ビオディナミも取り入れて、亜硫酸も無添加です。いわゆる自然派の造り。でも、手摘みをして、選果に細心の注意を払うことでオフ・フレーヴァーを抑えています。

また、ロワールでは、シカバック(SICAVAC)と呼ばれる、ブドウ栽培と農学コンサルティングの団体があり、生産者のサポートをしています。

日本でも、このシカバックの著書の翻訳版が手に入ります。創森社が発行の『ブドウ樹の生理と剪定方法 ~病気を防ぐ樹体管理~』。ブドウ樹の健康や剪定や芽かき方法などを詳説されています。

このシカバックのアドバイザーでもある、フランソワ・ダール。21世紀初頭にソーヴィニョン・ブランのマーサルセレクションを広める原動力となりました。最近では、ヨーロッパで猛威を振るう幹の病気、エスカへの対処方法も検討。ソーヴィニョン・ブランが、樹勢が強いことも一因でエスカに掛かりやすいので、この産地の死活問題になっているのです。

エスカに感染したぶどう樹

植栽密度は、ヘクタール当たり6,000本程度で、ギュイヨ若しくはコルドン仕立てで栽培。樹液の流れを促進することを念頭に置いた、ギュイヨ・プサールが推奨されています。

3. サンセールワイン 人気の変遷

歴史が古い伝統産地のサンセール。1878年のパリ万博では、多くのワインを出品しました。でも、フィロキセラ禍などもあり、本格的に世界の檜舞台で人気が出る迄には時間が掛かりました。

曲がり角は、第2次大戦後。後押しする愛好家たちの活動も相まって、パリで有名になっていきます。ここで、一役買った生産者は、アルフォンス・メロの17代目当主。サンセールというカフェを開いて、サンセールのワインを広めます。この宣伝、啓蒙活動はだいぶ効果があったようです。

そして、1970年代から80年代にはロンドンやニューヨークへと、世界的に名声が広まっていきました。プイィ・フュメと比べれば、発音もしやすく、英語圏の消費者には馴染みやすかったようです。

こうした旺盛な海外需要に応えて、栽培面積を増やし、収量を上げました。そして、ステンレスタンクで培養酵母を使って、さっさと醸造。早々に瓶詰するという習慣が定着。除草剤も広まりました。

今では、サンセールのワインの7割が国外に輸出。その半分がアメリカ。ですから、如何に海外市場に応えていくことが、サンセールに取っては重要であったかが伺えます。

1988年に、白水社で発行された、『最高のワインを買い付ける』。著名なワイン輸入業者で作家の、カーミット・リンチがサンセールを訪問。ステンレスタンクや無菌ろ過の使用が広がっているのを嘆く場面が出てきます。

それでも、90年代後半から2010年代に掛けて、農薬の使用が減りカバークロップも採用。樹冠管理も丁寧に行われるようになりました。

収穫は機械収穫が主流。ですが、高品質を追求するワイナリーは、畑で丁寧に選果しながら手収穫します。ニュージーランドの華やかなワインのスタイルの長所を学んだ生産者たち。でも、流行には飛びつきません。誇りを持って、自らの土地に合ったワインを造り続けています。

最近では、ニュージーランドスタイルのソーヴィニョン・ブランよりも、果実感を抑えたサンセールがアメリカでは人気。需要は季節を通して強く、ニューヨークの高級店ではグラスワインでも人気。

パリでは、オーガニックやビオディナミが尊重される一方、オフ・フレーヴァーのないクリーンなワインが求められるようになっています。抽出も控えめで、フレッシュさ重視。樽よりもステンレスタンク、コンクリートエッグやテラコッタでの発酵や熟成へと嗜好が移りつつあります。

でも、昨今の霜害や干ばつに加えて病害による、低収量で、お値段の方も上昇気味。サンセールとトゥーレーヌの間の少々マイナーなAOCの、メヌトゥー・サロンやお隣のトゥーレーヌ地区のワインに鞍替えするお店もあるようです。

4. ソーヴィニョン・ブランの変化と高級キュヴェ

品種当てや産地当てをするブラインドテイスティング。最近のサンセールのソーヴィニョン・ブランは当てるのが、難しい場合があります。

品種の特徴香

良く言われる品種香は、青草カシスの芽あるいはピピドシャ

その香りの原因の一つは、カベルネ・ソーヴィニョンなどでもみられるメトキシピラジン。そして、もう一つは、メルシャンの「甲州きいろ香」の誕生にも貢献された故富永博士が、特定した化合物メルカプト・メチル・ペンタノン。ボルドーの白ワインの法王とも呼ばれたデュブルデュー教授の研究室で、ガスクロマトグラフィーで見つけたのです。

メトキシピラジンは、もともと果汁の中に存在。一方、メルカプト・メチル・ペンタノンは果汁の中には先駆体という香りを持たない形で存在。発酵後に香るようになります。

メトキシピラジンは、ベレゾン後の果実の成熟と共に濃度が減少。また、樹冠管理で、日照を良くすることで濃度を抑えることができます。

マールボロは、2,400時間の日照時間があります。しかし、樹勢が強いブドウ品種で、ベレゾン前に水分が十分にあるとメトキシピラジンは増加傾向。ですから、この香りを出したくない場合、灌漑が許されているニュージーランドでも無灌漑農法を採用する生産者もいます。

そして、影響が無視できないのが地球温暖化。通常は、リンゴや柑橘系の果実のニュアンスですが、暖かだった2019年では、有核果実やトロピカルフルーツに振れます。

他方、2021年は冷涼な気候。柑橘系の果実に恵まれたクラシックなヴィンテージとなりました。こうした冷涼で、青臭さも強めに感じる年が、過熟気味のヴィンテージと交互に現れると、なかなかサンセールをブラインドで特定するのも難しくなります。

この温暖化ですが、1960年から2010年で平均1.8℃上昇。収穫時期も、2週間ほど早くなったと言われます。でも、影響はそれに留まりません。霜害と思えば干ばつと、気象の変化が読み難くなっているのです。

品種よりも産地

サンセールには、ソーヴィニョン・ブランというブドウ品種よりも、産地特有の個性にこだわりを持つ生産者が少なくありません。歴史的な生産者のジェラール・ブレは、ブドウは単なる道具に過ぎないと発言しています。アルフォンス・メロも、土壌が一番大切で、二番目が品種と言います。ニュージーランドでは、ソーヴィニョン・ブランのワインは造れてもサンセールは造れないと力説。

アンリ・ブルジョワは、酸の保持はサンセールでは問題がないと考えます。そして、ピラジンの青臭い香りを避ける為に、収穫を遅めに。私たちが、ソーヴィニョン・ブランの品種香として捉えている青臭さも、こうした遅摘みの高級キュヴェを造る生産者からすれば、必ずしも好ましいと思っているわけではありません。

メルカプト・メチル・ペンタノンの方は、果実の成熟と濃度が直結するかには議論が分かれています。一方、銅の含まれるボルドー液を使用すると香りが減少すること。特定の培養酵母が、この化合物の香りを高めることは広く知られています。

アルフォンス・メロは、野菜っぽさやピピドシャの香りは好ましくない香りとバッサリ。求めるのは、ブルゴーニュのシャルドネにも匹敵する素晴らしい複雑性。その為には、適切に成熟させなければならないと言います。上手くできたワインは、ライムからトロピカルフルーツまでの多様な果実と、凛としたミネラリティが両立するとの言です。

サンセールでは、秋の雨や病害の蔓延も怖くて、一般的には早めに収穫されていました。しかし、ご紹介したような優良生産者は、じっくりと果実を成熟させて収穫してきたのです。

そうは言っても、過熟してしまえば、土地の個性を失ってしまいます。ドメーヌ・ヴァシュロンは、ソーヴィニョン・ブランの特徴も併せて表現する為には、収穫の窓は、たった4日間しかないと言います。

こうして、果実の成熟に贅沢に時間を使ったワインの中には、軽く1万円を超えるものも多々。ブルゴーニュの価格レベルと迄は行かないとしても、とても庶民が普段使いとして、飲めるものではありません。

5. サンセールの赤 ピノ・ノワールの復興

サンセールのピノ・ノワール

サンセールの赤ワイン。色合いが薄くて、軽い。そして、酸が高くて、凝縮感に欠けるピノ・ノワールと認識されていました。それが、近年品質向上が著しいと言われています。歴史は古く、12世紀にアウグスチノ会修道士が植栽を始めたと伝わっています。

しかし、19世紀末のフィロキセラ禍で壊滅的な被害。さらには、フィロキセラ対策として導入した台木と相性が悪く、ソーヴィニョン・ブランへ改植が進んでしまいました。そして、ワインを巡る規則が厳しくなったことより、シャンパーニュへ供給できなくなったことも、ピノ・ノワールの凋落に繋がりました。

『最高のワインを買い付ける』でカーミット・リンチがサンセールの赤ワインを勧められます。この赤ワインが素晴らしくて、白ワインにも興味を持ち買い付けに至った経緯。当時から、素晴らしい赤ワインも、もちろん造られてはいたのです。

でも、19代目のアルフォンス・メロが、ピノ・ノワールに力を入れたのが節目だったとも言われています。1993年に家業のワイン造りに参画。単一畑を追求するドメーヌ・ヴァシュロン等と共に、赤ワイン革命を主導しました。20世紀末から21世紀初頭にかけて、収量を大幅に低減。畑とワイナリーで厳しく選果を行い、凝縮感を高めました。

今では、ピノ・ノワールは、サンセールの2割の栽培面積を占めています。ワイン生産に置き換えると、全体の12パーセントが赤ワイン、そして、6パーセントがロゼワインに使われています。

ロゼワインと言えば、プロヴァンスがもてはやされることが多い昨今。ですが、フランスのエレガントなロゼワインとしては、ブルゴーニュのサントネイと並んでサンセールを押さえておきたい所です。短期間の醸し、或いは直接圧搾法。もしくはその二つを組み合わせて造られます。

そして、ピノ・ノワールを使った赤ワインですが、見かけることが少ないですよね。生産自体が少ないうえに輸出は3割にも届かないからです。お値段も、ブルゴーニュよりはお手頃とは言っても、一流生産者のものは、決してお安くはありません。

オリヴィエ・ルフレーヴでの修行経験を持つ、2代目当主ステファンのドメーヌ・クロード・リフォー。そして、ビュエに本拠を置く、リュシアン・クロシェ。現当主のジル・クロシェも、ドメーヌ・デュジャックで修行しました。こうした、ブルゴーニュ帰りの生産者たちが赤ワインの品質を高めているという傾向も見られます。通常は、除梗をしてからアルコール発酵。でも、暖かいヴィンテージでは、アンリ・ブルジョワなどが、全房発酵も取り入れ始めています。

ブルゴーニュとサンセールの緯度は、いずれも北緯47度で大陸性の気候。気温と日照量は若干ブルゴーニュの方が恵まれているかとは言え、温暖化が進む中で、サンセールの品質が益々向上していくのは間違いないのではと思います。

6. サンセールの偉大なる造り手たち

伝統を重んじる生産者のポールとフランシスのコタ兄弟。夫々の息子たちにバトンを渡しました。今は、フランソワ・コタと、パスカル・コタがワイン造りを続けています。

ゆっくりと収穫を行う栽培手法は、パスカル・コタとフランソワ・コタのどちらにも、両親から継承。結果、果実は熟度の高くて、年によっては貴腐菌がつく場合もあると言われます。

パスカル・コタは、古い500~600リットルのドゥミ・ミュイの樽を使用して醸造を行い、熟成に足るワインを造ります。

歴史的ワイナリーのアンリ・ブルジョワの動きは、グローバル。ニュージーランドのマールボロに、クロ・アンリを創設。10年以上、理想の土地を探して世界中を探した結果です。このワインは、ニュージーランドとサンセールの良い所取りです。

自然派のワイナリーとして人気のパスカル・ジョリヴェ。オーガニックやビオディナミの栽培を取り入れて、醸造にも極力介入をしない造り手。亜硫酸は必要最低限。それ以外の酵素や培養酵母などの添加物も使いません。

有名なミシュランのシェフに面談。高級レストランのソムリエに自社ワインの採用を働きかけるなど、営業活動にも力を注ぎました。中小規模のワイナリーで高級キュヴェを持つ生産者は、戦略的に高級レストランやソムリエを味方に付けて、ブランド価値を確立することがあります。その一方で、販売数量も必要。広く消費者全般にアプローチする為に、卸売りを経由した小売店での販売も疎かにできないのです。

シャヴィニヨールのエドモン・ヴァタンは、娘のアンヌが家業を引き継ぎました。単一区画の有名キュヴェ、ル・モンダネの丘の「クロ・ラ・ネオール」は遅い収穫で、古い小樽を使います。

ビュエの、フランソワ・クロシェ。当主のフランソワは、ブルゴーニュとボルドーでも経験を有する評価の高い、伝統あるワイナリー。オーガニック栽培で、高品質ワインを造る生産者です。でも、ブドウの収穫は早め。最高級キュヴェの「ル・シェ―ヌ・マルシャン」は、畑で厳しく選果。収量はヘクタール当たり40ヘクトリットル程度に抑えます。全房圧搾で優しく絞った果汁を樽発酵。そして、ドゥミ・ミュイで1年以上熟成させます。

ソーヴィニョン・ブランは、アロマティックな香りと爽やかな酸味と果実味が身上。長期熟成には向かないと思われる方が多数と思います。しかし、この思い込みを、手ごろな価格で覆してくれたのが、パスカル・ジトン。評価が高いワイナリーであるのに、熟成した古酒のワインを蔵出しで手ごろな価格で販売していました。その一方で、英国への輸出向けに、ニュージーランドのワインスタイルを模倣するのは考え物だと発信。

この産地で忘れてはいけないのは、唯一の協同組合である、サンセールワイン協同組合。1963年に創立。80のブドウ栽培業者、250ヘクタールに及ぶ畑から年間2百万本のワインを生産しています。HVE認証を保有する業者も多く抱え、アグリカルチャー・ビオロジックのオーガニック認証を有した生産者も。ボトルの軽量化やリサイクルなど、サステナビリティにも配慮しています。

7. サンセールのまとめ

ワイン好きなら、必ず一度は口にしたことがあるはずのサンセールのソーヴィニョン・ブラン。他方、ピノ・ノワールの赤ワインやロゼには余り出会うことはなかったかも知れません。

今回は、愛好家として一歩ステップアップ。格上のサンセールの白ワインを掘り下げてみました。

また、ブルゴーニュの値上がりが著しい中、ピノ・ノワールにも注目。温暖化が進む中で、是非とも1本味わってみたいサンセールの赤ワインとロゼ。合わせる料理や予算も考えつつ、試してみない手はありません。

アカデミー・デュ・ヴァンでは、ブラインドテイスティングの講座も豊富に揃えて、皆さんのお越しをお待ちしております。ブルゴーニュと思ってラベルを見たら、実はサンセールかも知れませんよ!

豊かな人生を、ワインとともに

(ワインスクール無料体験のご案内)

世界的に高名なワイン評論家スティーヴン・スパリュアはパリで1972年にワインスクールを立ち上げました。そのスタイルを受け継ぎ、1987年、日本初のワインスクールとしてアカデミー・デュ・ヴァンが開校しました。

シーズンごとに開講されるワインの講座数は150以上。初心者からプロフェッショナルまで、ワインや酒、食文化の好奇心を満たす多彩な講座をご用意しています。

ワインスクール
アカデミー・デュ・ヴァン