J.S.A.ソムリエ・ワインエキスパート勉強法 vol.8 ~ 2025年度二次試験で見えた最新トレンドと2026年に向けた準備ポイント

2025年のJ.S.A.ソムリエ・ワインエキスパート二次試験は、例年に比べて大きな変化が目立った一年でした。受験後の声を聞いてみても「去年までとは手応えが違った」という感想が多く寄せられています。ソムリエ協会の会長が代わる年は試験傾向が動きやすいとされますが、今年はまさにその通りの内容でした。
ここでは、2025年に起きた二次試験の変化を整理しつつ、来年に向けてどんな準備が必要かを考えていきます。ここで出題傾向の変化の流れを理解することが来年の合格につながります。

本記事は、ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」が監修しています。ワインを通じて人生が豊かになるよう、ワインのコラムをお届けしています。メールマガジン登録で最新の有料記事が無料で閲覧できます。


【目次】
1. 二次試験の配点が大きく変わった:観察した内容から論理的に判断する力が問われる試験へ
2. 外観の表現が細分化された
3. グラス形状の選択肢が増えた
4. 2025年の二次試験は「観察と推論」の試験へ
5. 来年も重要度が高まりそうなポイント
6. 2026年に向けて:今からできる準備
7. アカデミー・デュ・ヴァンでの学びが力になる理由


1. 二次試験の配点が大きく変わった:観察した内容から論理的に判断する力が問われる試験へ

まず注目すべきは、二次試験の配点構成の変化です。昨年まで、外観・香り・味わいといった評価が67.5%を占めていましたが、今年は56%へと比率が下がりました。その一方で、品種・産地・熟成年といった、答えに至る推論や裏付けを必要とする項目の配点が増えています。

これにより、単に「こう感じた」という印象の羅列や、「軽めの白ワインだったら、リースリングもソーヴィニヨンもこう書く」みたいな「どちらにもとれる」玉虫色的なコメントでは、得点しにくくなり、観察した香りや味わいをどのように組み立て、どのような根拠で結論に至ったかが重視される試験へと比重が移ってきています。

外観・香り・味わいの評価自体は依然として重要ですが、そこで得た情報を客観的に整理し、品種や産地の推定につなげる論理性が、昨年以上に求められた試験内容だったと言えます。

2. 外観の表現が細分化された

外観評価にも2025年は重要な変更がありました。これまで赤ワインの色調表現が「ガーネット/ダークチェリー」「ルビー/ラズベリーレッド」だったのが細分化され、「ガーネット」「ダークチェリー」「ルビー」「ラズベリーレッド」がそれぞれ独立した語として扱われるようになりました。

これまでは、主に「ガーネット/ダークチェリー」「ルビー/ラズベリーレッド」の2つから選べばよかったのですが、今年は4つの中から選択する必要があったため、より細かな色の違いを見極める観察力や、ソムリエ協会の考えている色調の意味を事前に知っていたかどうかが明暗をわけました。

白ワインでも変化があり、新たに「シルバー」が選択肢として加わりました。新しい言葉の登場に、それだけで動揺したという受験生も多かったようです。外観は最初の観察項目だけに、「出鼻をくじかれた」という受験生も多かったようです。

3. グラス形状の選択肢が増えた

今年の試験では、使用されるグラスの形状にも新たな種類が導入されました。これまでの「小ぶり」「中ぶり」「大ぶり」に加えて、「チューリップ型」と「バルーン型」が登場したことで、面食らった受験生も多かったことでしょう。

チューリップ型は、軽やかな白ワインや、タンニンがしっかりとした赤ワインに使われることが多いグラスです。一方、バルーン型は、ふくよかでボリュームのある白ワインや、ピノ・ノワールのように軽やかで複雑さを持つ赤ワインに適した形状です。

グラス形状は、ソムリエ・ワインエキスパートの上位資格のエクセレンス試験でも重要視されている要素の一つであり、今後定着する可能性が高いと言えます。

4. 2025年の二次試験は「観察と推論」の試験へ

今年の試験全体を振り返ると、二次試験は単に香りや味わいを描写するだけではなく、そこから得た情報をどのように整理し、どの結論につなげるかを問う内容へと変化した印象があります。外観・香り・味わいの比重は昨年より下がったとはいえ、56%を占めているため依然として重要ですが、そこで得た印象を論理的に組み立てる力が同時に求められた点が、今年の大きな特徴でした。

特に熟成年の推定では、色調や酸、タンニン、ブドウの成熟度など複数の要素を総合して判断する必要があります。今年からは、産地の推定を外した場合に収穫年の得点が認められない形式に変わったため、熟成年を単独の要素として当てるのではなく、産地との整合性を含めて考える姿勢が一層求められました。

また、品種や産地の推定でも、香りの特徴だけに頼るのではなく、アルコールのボリューム感、テクスチャー、味わいの組み立てなど、ワイン全体の構造を踏まえて結論を導く総合的な評価が重要でした。

この流れは今後も続くと考えられ、外観・香り・味わいの評価と分析的な推論の両方が必要とされる試験が、今後より一層定着していくと予想されます。

5. 来年も重要度が高まりそうなポイント

今年の傾向から、来年の試験で特に意識したいポイントは次の3つです。

ひとつ目は、典型的な香り・味わいの整理です。品種の特徴だけでなく、産地ごとのスタイル、熟成による変化を理解し、言語化できる力が求められます。

2つ目は、外観の違いを読み取る力です。ガーネットとダークチェリーの言葉を理解しているか、そしてその違いを見分けられるかが大きな差になります。

3つ目は、グラスの違いに対する理解です。普段から異なるグラスで飲むとどうなるのか体験しておくと試験で役立ちます。

6. 2026年に向けて:今からできる準備

2026年の試験に向けて、今から取り組んでおきたいポイントをまとめます。

まず、テキストブック的スタイルのワインを試飲しておくことです。一次試験で産地の知識を丸暗記した人もここで、産地の特徴をしっかり整理すると良いでしょう。そうすることで、なぜその香り、味わいになるのかを背景とともに理解することができるようになります。

次に、「比較試飲」の経験を増やすことです。同じ品種の産地の飲み比べ、間違えやすい品種の飲み比べを実践することで、違いがビビットになります。

最後に、ただたくさん飲めばいいというわけでなく、ロジカルにテイスティングを記述する習慣をつけることです。香りや味わいを言葉にし、その背景に理由づけを添えることを続けるだけでも、来年の試験に必要な分析力が着実に身についていきます。

7. アカデミー・デュ・ヴァンでの学びが力になる理由

今年の試験傾向が示すように、外観・香り・味わいの観察と分析力の両方をバランスよく鍛えることが、今後の試験対策の鍵となります。アカデミー・デュ・ヴァンでは、産地ごとの典型的なスタイルを比較しながら学び、講師から直接「なぜこのワインがこう感じられるのか」という説明を聞くことで、判断の根拠づくりが自然と身につきます。

ひとりで学ぶと気づけないポイントを共有できること、仲間とともにテイスティング経験を積めることも大きなメリットです。冬から春にかけての準備が来年の合否を分けるといっても過言ではありません。学びを深める環境を整えながら、次のステップに備えていきましょう。

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