リケジョが行く! ワインを科学で考えるコラムvol.9生体アミンとハンズオフ

世界中で「ハンズオフ」あるいは「人的介入の低減」が良しとされる傾向にある昨今ですが、世の中デメリットのないことなんて存在しないはず。昨今話題になっていた生体アミンの話も含め、科学的な観点から切り取ってみたいと思います。

文/小原 陽子


【目次】

1.ハンズオフとは
2.ハンズオフの光と影
3.介入の要因まで考えてみよう
4.亜硫酸と生体アミンの問題が浮き彫りになった今、流れはどう変わる?
5.求めるべきは品質、安全であって、理想ではない


1.ハンズオフとは

英語ではHands-offと書きますが、まさに手をかけない、干渉しないという意味ですね。ワインの醸造過程ではさまざまな技術を用い、ワインの味わいや品質を向上させることができます。かつてロバート・パーカー全盛期には新樽200%、すなわち新樽100%で熟成させた後もう一度新樽に移し替えて熟成させることや、逆浸透膜を使って果汁を濃縮し凝縮感を高めることなどが広く行われていたこと、そしてそれが誇らしげに語られていたことなどを思い出してみてください。

しかし、そうしてできあがった「パーカー好み」のワインは世界的にワインのスタイルの画一化をもたらし、いつしか飽きられていきました。その反動とも言えるのがこのハンズオフの流行です。「自然のままにワインを造る」ことに重点を置き、「人的介入」を極力控えることで「本来の味わいを引き出す」というのがその主張ですよね。

 

2.ハンズオフの光と影

豊かな人生を、ワインとともに

(ワインスクール無料体験のご案内)

世界的に高名なワイン評論家スティーヴン・スパリュアはパリで1972年にワインスクールを立ち上げました。そのスタイルを受け継ぎ、1987年、日本初のワインスクールとしてアカデミー・デュ・ヴァンが開校しました。

シーズンごとに開講されるワインの講座数は150以上。初心者からプロフェッショナルまで、ワインや酒、食文化の好奇心を満たす多彩な講座をご用意しています。

ワインスクール
アカデミー・デュ・ヴァン