ワイン映画でワインが飲みたくなるか? Vol.4 『世界一美しいボルドーの秘密』

コロナ自粛は残念ながらまだまだ続きそうである。店だろうが屋外だろうがウチの中だろうが、家族以外の人間とワインを飲んではまかりならんとお上から言われてしまったいま、巣ごもりして映画でも見ながら、一杯やるしかない。

そんなわけで今月の特集では、ワインをテーマにした映画を5本、筆者の独断と偏見で選び、見たらワインが飲みたくなるかを検証してみる。Vol.4では、ボルドー・トップシャトーの価格高騰にメスを入れたキレのよいドキュメンタリー映画、『世界一美しいボルドーの秘密』(2013)を取り上げよう。

※「地球上で最大級の品揃え」を誇るらしい、某大手通販サイトのオンデマンドビデオ視聴サービスで見られるものから映画は選んでいるが(各原稿執筆時点)、視聴可能作品はどんどん変わっていくから、さっさと見てくださいね。


【目次】

1. この邦題、アリ?
2. どんな映画なの?
3. ボルドーの価格と中国市場はその後どうなったか?
4. その他のミドコロ
5. 結論: ワインはどれぐらい飲みたくなるか?


1. この邦題、アリ?

この映画、原題は『Red Obsession』という。オブセッションの語は、「執着、強迫観念、取り憑かれていること」ぐらいの意味だ。レッドはもちろん赤だが、ここには赤ワインという意味と、中国という国の象徴としての赤色(共産主義のシンボル色)が、かけられている。

そう、この映画はボルドー赤ワインに対する中国マネーの強烈なインパクトを描いた、とてもシリアスなドキュメンタリーなのである。

しかし、この映画が日本にきて配給会社さんがつけた邦題は、『世界一美しいボルドーの秘密』。ポスターも日本版は、どこかファンシーな感じに一見思える。

なんにもこの映画について予備知識がない人が、このポスターを見たら、「ラグジュアリーでクラッシーな、ボルドー高級ワインのめくるめくキラキラ・ワールド」が、これでもかと展開される映画だと思うに違いない。

なので、この映画の内容を海外のレヴューで知っていた筆者は、邦題を聞いたときに思わずずっこけた。「おいおい、そんな映画じゃないだろ?!」と。

しかしである。よくよく日本版ポスターを見ると、実は単なるキラキラではないことがうっすらと見えてくる仕掛けになっている。まず、ポスター上部のワインセラー内部。これは、映画に登場するとある人物の豪華セラーの内部なのだが、ワインセラーの中でパイプタバコを吸っているのが写真からわかり、「ん?」という違和感を覚える。

日本版ポスター下部に映っているのは、シャトー・パルメの美しい建物とブドウ畑だが、手前の人物(CEOのトマ・デュルー)が、下を向いているし、なんだか陰気な様子だ。

そこで再びタイトルに目をやると、そこには「秘密」の文字があり、これが意味深に思えてくる。なんだか、青髯の隠し部屋みたいな、「愛好家はぜったい見てはいけないよ」という光景が、トビラの向こうにはあるような気がしてくるのだ。これは映画の内容にばっちり合致している。

というわけでは、実はこの邦題とポスターは、配給会社さんが知恵をしぼられた末の、とっても技アリなものだということがわかったトコロで、映画の内容についてもう少し説明しよう。


豊かな人生を、ワインとともに

世界的に高名なワイン評論家スティーヴン・スパリュアはパリで1972年にワインスクールを立ち上げました。そのスタイルを受け継ぎ、1987年、日本初のワインスクールとしてアカデミー・デュ・ヴァンが開校しました。
シーズンごとに開講されるワインの講座数は150以上。初心者からプロフェッショナルまで、ワインや酒、食文化の好奇心を満たす多彩な講座をご用意しています。

ワインスクール
アカデミー・デュ・ヴァン