ソムリエ近藤佑哉さんが指南★家庭料理のペアリング2-way

家で食事する日が格段に増えている昨今。毎日のことだからとなんとなく支度して、なんとなくいつものワインを開けていませんか? ちょっとした合わせ方のポイントを知っておけば、日々の食卓ももっと豊かになるはず。「銀座レカン」ソムリエの近藤佑哉さんに、定番の家庭料理のペアリング2パターンを教えていただきました。

文/谷 宏美


【目次】

1. グランメゾンのソムリエが指南する家庭料理のペアリングとは?

2. メニュー その1「かつおのたたき」
 –ペアリング A. 薬味とポン酢のスタンダードスタイル
 –ペアリング B. トマトやフライドガーリックで洋風アレンジ

3. メニュー その2「豚肉のソテー」
 –ペアリング A. おなじみのしょうが焼き
 –ペアリング B. プロヴァンス風ポークソテー

4. メニュー その3「魚介のパエリア」
 –ペアリング A. ストレートに産地を合わせる
 –ペアリング B. 飲み手を選ばない合わせ方

5.まとめ


1. グランメゾンのソムリエが指南する家庭料理のペアリングとは?

レストランでも家庭料理でも、ペアリングの基礎は同じです。フレンチのグランメゾンに勤めながら、コンクール出場を通して世界各地のさまざまなワインと料理のペアリングを識る近藤佑哉さんに、
その1 かつおのたたき
その2 豚肉のソテー
その3 魚介のパエリア
に合わせたいワインを検証していただきました。

おなじ料理でも、スタイルや味つけによって合わせるワインは変わってきますし、ワインそのものの好みもあるでしょう。そこで近藤ソムリエに、ワインと料理の合わせ方のポイントを教えていただいた上で、1つのメニューに2パターンのペアリングを提案していただきました。フードフレンドリーであること、価格も含めて入手しやすいデイリーワインであることも加味して、近藤さんがセレクトしたペアリングをご紹介。

 

2. メニュー その1「かつおのたたき」

表面をあぶって薬味とともにいただくかつおのたたきは、季節を感じさせるひと品。初夏に出回るかつおは身が引き締まって赤身の部分が多いのが特徴です。高タンパクで低カロリーなうえ、意識的に摂りたい栄養素であるオメガ3脂肪酸が豊富なのでたっぷり食べたい魚。安価で入手しやすい素材であるため、この時期の食卓に並ぶことも多いのではないでしょうか。

▶︎「かつおのたたき」のペアリングのポイント
表面を燻すことによる感じられる香ばしい香りに加え、この時期のかつおならではの豊かな鉄分と旨み。これらをどう合わせるかがポイントになります。

◇ペアリング A: 薬味とポン酢のスタンダードスタイル

  • 薬味としょう油の定番スタイル
    (ねぎ、にんにくやしょうが、ポン酢または甘口しょう油)

×

  • きれいな酸のあるスパイシーで軽やかな赤ワイン

しょうがとポン酢で爽やかに楽しむなら、かつおの鉄分をおいしく感じさせる心地よい酸味となめらかなタンニンがあり、薬味の風味とも重なる、スパイシーでミディアムボディの黒ブドウ品種のワインがぴったりです。

▽近藤ソムリエのおすすめワイン
風のルージュ 2019 / ココ・ファーム・ワイナリー ¥2,800
香り高く熟したツヴァイゲルト100%で造られ、まさに風を感じるように爽やかなワイン。まずジンジャーやナツメグなどのスパイスの香りと料理との相性がすばらしく、上品な酸味とシルキーなタンニンが、かつおの鉄分とマッチしてより豊かな風味が広がります。
ワイン詳細 https://cocowineshop.com/SHOP/AAB-3510.html

◇ペアリング B:トマトやフライドガーリックで洋風アレンジ

  • オリーブオイル、カットトマト、ガーリックチップス、レモンで南イタリア風アレンジ

×

  • シラーのロゼワイン

強めに塩をふってオリーブオイルを回しかけ、ダイス状にカットしたトマトや揚げにんにくをトッピング。好みでレモンを絞って。こんなアレンジには、シラーのロゼがあると楽しくなります。シラーが持ち合わせるオリーブの香りや鉄っぽいニュアンスとかつおの相性は◎。さらにトマトの酸味やほのかな甘味ともバランスします。

▽近藤ソムリエのおすすめワイン
パラ・マリア・ロゼ2018 / ストルプマン・ヴィンヤード ¥3,179
シラー主体のこちらのロゼは、日照量豊富なカリフォルニア・サンタ・バーバラならではの凝縮感と豊かな果実味、さらに上品な酸味との味わいのバランスを見事に表現しています。爽やかに飲み進めることができるので、これからの季節にはもってこいの組み合わせです。
ワイン詳細 https://www.iconicwinejapan.com/wines/product_detail.cfm?pdtID=11565

 

3. メニュー その2「豚肉のソテー」

栄養価も高く、価格も安定している豚肉はデイリーの食卓の強い味方。薄切りで売られていることも多いので、焼くだけでメインのお料理になります。おなじみのしょうが焼きはもちろん、スパイスやハーブで味つけすれば味わいは無限に広がります。

▶︎「豚肉のソテー」ペアリングのポイント
歯ごたえのある食感ですが味わい自体は淡白なため、ソースや味つけによって合わせるワインが変わってきます。

◇ペアリング A. おなじみのしょうが焼き

  • おなじみのしょうが焼き

×

  • タンニンの強すぎないオレンジワイン

豚肉そのものは白ワインで合わせることもできますが、スッキリしたハーブの香りとスキンコンタクト由来のスパイスの香りのあるオレンジワインなら、しょうがを絞ったしょう油に漬け込んでやや焦げ目をつけた香ばしいしょうが焼きのスタイルにはぴったりです。

▽近藤ソムリエのおすすめワイン
オレンジワイン / クラメレ・レカシュ ¥1,500
イギリスで爆発的にヒットしたルーマニア産のオレンジワイン。ソーヴィニヨン・ブランを主体に、ピノ・グリやゲヴェルツトラミネール、ルーマニアの固有品種フェテアスカ・アルバなど年によって4〜5種類のさまざまな白ブドウをブレンドし、アンフォラも使用しています。柑橘系のピールのニュアンスに心地よいタンニン。渋みが強すぎずすっきりと楽しめるので家族で囲む食卓にもおすすめでき、コスパも抜群のアイテムです。
ワイン詳細 https://doshisha-liquor.jp/wine-list/

◇ペアリング B. プロヴァンス風ポークソテー

  • プロヴァンス風ポークソテー
    (プロヴァンスハーブ&ガーリック風味)

×

  • アロマティック品種のフルボディな白ワイン

塩とにんにくで下味をつけ、ローズマリーやバジル、タイム、セージ、マジョラムなどをミックスしたプロヴァンスハーブをあしらって南仏風に。こんな豚肉のソテーには、小樽熟成させたヴィオニエのようにアロマティックな白ワインを合わせてみましょう。芳しいハーブとヴィオニエの豊かな香りが重なり、脂身のある豚肉にも負けないリッチなテクスチャーに酔いしれるはずです。

▽近藤ソムリエのおすすめワイン
レ・コントゥール・ド・ボンサン・ヴィオニエ 2018 / フランソワ・ヴィラール ¥4,000
コート・デュ・ローヌで近年注目を集めている生産者で、クラシックな要素は残しつつ料理に寄り添うキャラクターのワインが評判です。トロピカルフルーツや花の蜜、スパイスの香りなどの豊富なアロマが爆発、伝統的なローヌのヴィオニエらしく重厚で柔らかな酸味が口中で広がり、この料理にパーフェクトにマッチします。
ワイン詳細 https://www.nakato.jp/wine/data/lists/DOMAINE_FRANCOIS_VILLARD.pdf

 

4. メニュー その3「魚介のパエリア」

魚介や野菜、肉などを入れて炊き上げるスペイン発祥の家庭料理。パエリア鍋を購入する人も増えていますし、専用の鍋でなくフライパンで調理することもできます。具材がたっぷり入ってエンターテイメント感もたっぷり、鍋ひとつで仕上げることができる簡便さも人気のメニューです。

▶︎「魚介のパエリア」ペアリングのポイント
ここでは魚介をメインの具材に考えてみましょう。シーフード、ハーブ、レモン、サフランライスで構成され、さまざまな香りと味わいの要素がある米料理。魚介の旨みやサフランの風味と、米をかむうちに出てくる甘みの捉え方が重要です。

◇ペアリング A. ストレートに産地を合わせる

  • パエリア

×

  • スペインのアルバリーニョ

料理と同じスペインの原産の白ブドウ、アルバリーリョ。大西洋沿岸の産地リアス・バイシャスが知られており、東部バレンシア発祥のパエリアとは地域は違いますが、海風を思わせるミネラルのニュアンスが重なります。

▽近藤ソムリエのおすすめワイン
ゴマリスX(エキス)・アルバリーニョ2018 / コト・デ・ゴマリス ¥2,800
リアス・バイシャスのリベイロDOでこの地では珍しいビオディナミ栽培を行っている生産者で、テロワールの個性をピュアで凝縮した香りと味わいで表現しています。柑橘をベースにした豊かな香りとミネラルのニュアンス、味わいのフレッシュで活き活きとした酸と果実味、後味の心地よい塩味が、シーフードやサフランの風味、米の旨みを引き立て、同時に口の中を爽やかに整えてくれるワイン。食べ疲れや飲み疲れすることなく、スイスイ楽しめる組み合わせです。
ワイン詳細 https://www.mottox.co.jp/search/detail.php?id=610225

◇ペアリング B. 飲み手を選ばない合わせ方

  • パエリア

×

  • ほんのり甘みのあるロゼのスパークリング・ワイン

よく冷えたスパークリングワインの心地よい泡と優しい口当たりが食欲をそそり、食べ応えのあるパエリアを最後まで楽しむことができます。心地よい甘みが米の甘みと優しく溶け合うのもポイント。

▽近藤ソムリエのおすすめワイン
ピンク・ソフト・ロゼNV / イエローグレン ¥1,550
オーストラリアでは珍しいスパークリングワインを専門とする造り手、イエロー・グレン。こちらはシャルドネとピノ・ノワールを使ったシャルマ方式のロゼ・スパークリングです。シャルマらしいピュアでフレッシュなフルーツのトーンを感じられ、心地よい甘味とフレッシュな酸味、ほんのりした甘みが、魚介の風味やサフランライスの甘みと穏やかに溶け合います。ファッショナブルなエチケットはテーブルを華やかに彩り、誰と一緒でも楽しい時間となるでしょう。
ワイン詳細 http://www.village-cellars.co.jp/search/detail.php?wineid=3880

 

5. まとめ

メインとなる素材の特徴と、ソースや調味料などの味つけによって、その料理がどのような味わいになることをまず理解するのがペアリングの基本。家庭料理とカジュアルなワインで、ステイホームを楽しんでください。

近藤 佑哉/Yuya Kondo

銀座レカン シェフソムリエ。大学卒業後、銀座レカンに入社。その後ホテル ニュー・オータニ レストラン トゥールダルジャン東京などで研鑽を積む。2019年、銀座レカンにソムリエとして戻り、2020年4月より現職。
2019年ポメリーソムリエコンクール2019 優勝、 2019年第3回ボルドー&ボルドー・シュペリウール ソムリエコンクール 優勝 、2020年第9回全日本最優秀ソムリエコンクール 第3位など、コンクール入賞歴多数。

 


豊かな人生を、ワインとともに

世界的に高名なワイン評論家スティーヴン・スパリュアはパリで1972年にワインスクールを立ち上げました。そのスタイルを受け継ぎ、1987年、日本初のワインスクールとしてアカデミー・デュ・ヴァンが開校しました。
シーズンごとに開講されるワインの講座数は150以上。初心者からプロフェッショナルまで、ワインや酒、食文化の好奇心を満たす多彩な講座をご用意しています。

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