Italian Wine Scholar 合格者インタビュー「合格までの道のり、そしてイタリア愛でつながる仲間と学ぶ楽しさ」

Italian Wine Scholar(以下IWS)は、イタリアワインの専門知識を深く学べる国際的な資格試験です。Wine Scholar Guild(以下WSG)が提供するこのプログラムは、単なる暗記ではなく、産地の気候・地形・土壌から品種、歴史、文化まで、立体的にイタリアワインを理解できる内容で、Unit1(北部イタリア)とUnit2(中南部イタリア)の二つから構成されています。

今回は、この難関試験に合格した小澤さん、豊田さん、富田さんの3名に集まっていただき、受講から合格までの道のり、効果的な学習法、そして合格後の変化について、率直にお話を伺いました。英語のテキストへの不安、膨大な情報量への対処法、そして仲間と学ぶ楽しさまで、これからIWSに挑戦される方にとって参考になる経験談が満載です。

本記事は、ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」が監修しています。ワインを通じて人生が豊かになるよう、ワインのコラムをお届けしています。メールマガジン登録で最新の有料記事が無料で閲覧できます。


【目次】
Q. はじめに自己紹介をお願いします。
Q. 合格までに、どう時間を使いましたか?
Q. どう学ぶのが、自分に合っていましたか?
Q. 試験対策で効果があったことで、これだけは外せなかった勉強法はありますか?
Q. 公式テキストは何回読みましたか?
Q. Unit1とUnit2で読み方は変わりましたか?
Q. 英語はどう乗り越えましたか?
Q. IWSならではの難しさ(地域・品種・法規)をどう乗り越えましたか?
Q. 試験当日の雰囲気はどのようなかんじでしたか?
Q. 試験問題の難易度や構成についての印象を教えてください。
Q. 他資格(JSA、WSET)との違いについて、試験という観点から感じた点を教えてください。
Q. 試験を振り返って、「やっておいてよかった」と感じる対策はありますか?
Q. クラスメイトや講師との関わりで印象に残ったことはありますか?
Q. イタリアワインを見る目線はどのように変わりましたか?
Q. これからIWSを目指す方へ、学習のコツや心構えを教えてください。


Q. はじめに自己紹介をお願いします。

小澤克美(こざわかつみ)さん

国家公務員。ワインの他、イタリア語学習も長年のライフワーク。イタリアワインを学んでからは、現地のワイナリーを巡り、オーナーとの会話を楽しむことが旅の目的に。ワインを通じて人との繋がりが広く深くなったことで、人生がとても豊かになりました。保有資格はJSA認定ワインエキスパート/ WSG Italian Wine Essentials

 

富田裕子(とみたひろこ)さん

外資系商社にて秘書。料理好きが高じてイタリアに留学、専門学校やホームステイ先のマンマに本場イタリアの味を学ぶ。料理とワインのペアリングの奥深さに気づき、アカデミーデュバンの門を叩く。保有資格はJSA認定ワインエキスパート/ WSG Italian Wine Essentials

 

豊田勇輝(とよだゆうき)さん

医師・産業医。地方出張時にはワインとトラベルグラスをリュックに詰めて、各地の食材とのペアリングを実験している。シリアスが苦手で常にひと笑い追求しがち。保有資格はJSAワインエキスパート・エクセレンス / French Wine Scholar / Spanish Wine Scholar / WSET Level 3 / CMS Certifiedなど。

 

2. 合格までに、どう時間を使いましたか?

小澤さん:Unit1はゴールデンウイーク明けすぐに試験があり、連休中に一気に詰め込みました。今思うと、かなり辛かったです(笑)
その反省からUnit2では、予習と復習を計画的に進めるつもりでしたが、結局2〜3か月前に息切れ。再びエンジンがかかったのは試験2週間前でした。
それでもトータル100時間を目標に、土日は10時間、平日は2〜3時間を確保していました

豊田さん:「Wine Scholar Guild」はFrenchも受験していますが、基本の流れは共通しています。最初の1か月でテキストを一通り読み、まとめ資料を作成。復習を重ね、最後の2週間で仕上げました。

小澤さん:他の試験も並行していましたよね。

豊田さん:はい。なので、常に効率を意識していました。

富田さん:Unit1では勉強のリズムがつかめなかったので、Unit2では毎回予習と要点整理を意識しました。思うように進まない時期もあったのですが、最後の3週間で追い込み、試験直前に有休を2日間取って集中しました。

一同:やはり、集中して勉強する時間を確保することが大事ですよね。Unit1が大変だった分、Unit2はきちんと取り組もうと思った人が多かったです

Q. どう学ぶのが、自分に合っていましたか?

富田さん:Unit1はオンライン教材中心、Unit2ではテキストを読み込みながら、地図にDOCやDOCG、品種を書き込み、州ごとに1枚のページになるべく多くの情報を書き込み、通勤中などいつでも復習できるようにしました。

豊田さん:テキスト → 自分用まとめ → オンラインモジュール → フラッシュカード → 授業、という流れです。予習の段階でほぼ覚えてから授業に臨んでいました。

小澤さん&富田さん:優等生~(笑)。

小澤さん:私はまず全体像をつかむため、公式テキストの前に別のイタリアワインの書籍を読みました。
その後、公式スライドを見ながら、テキストを読む・まとめる・フラッシュカードを作る、という流れで進めました。Unit1で予習なしの授業が大変だった反省から、自分のノートを見ながら受講していました。

富田さん:私も、公式テキストが頭に入りにくくなったときは別のイタリアワインの書籍を読み、異なる視点から理解を深め、また公式テキストに戻る、その繰り返しでした。気分転換にもなりますしね。

Q. 試験対策で効果があったことで、これだけは外せなかった勉強法はありますか?

一同:「公式モジュール」のフラッシュカードと練習問題です。

富田さん:練習問題をワードに貼り、紙で印刷して隙間時間に復習しました。直前期には、全州のDOCGを州と品種で整理しました。

小澤さん:手を動かすのは大事ですね。DOCGや品種は、蛍光ペンで色分けすると整理しやすいです。結局は、自分でまとめた資料を何度も見ていました。イタリアが好きという気持ちのおかげで、作業自体も苦に感じることはありませんでした。

公式モジュールのトップ画面

参考画面①

参考画面②

Q. 公式テキストは何回読みましたか?

小澤さん:全体を通して読んだのは2回です。

富田さん:私は5回以上読みました。どこに何が書いてあるか思い出せるくらい。

豊田さん:すごいですね。僕は1回でした。

Q. Unit1とUnit2で読み方は変わりましたか?

豊田さん:次第に「WSGが何を求めているか」がわかり、出題を意識して読むようになりました。

富田さん:英語で読み、英語で理解する点は、どちらも同じでした。

小澤さん:Unit1では翻訳アプリに助けられましたが、Unit2では英語に抵抗がなくなり、英文のまま読み進めました。

Q. 英語はどう乗り越えましたか?

富田さん:専門用語は繰り返し出るので、先ほどの小澤さんの言葉に合った通り、自然と慣れました。

豊田さん:歴史の章は固有名詞が出てきたり、背景を知っていないと難しかったりしたので、翻訳アプリを使いました。

小澤さん:そうそう。PDFで配布された資料はAI翻訳を活用して、英語の壁を乗り越えました。

富田さん:AIのおかげで、学びやすくなりましたね。

Q. IWSならではの難しさ(地域・品種・法規)をどう乗り越えましたか?

小澤さん:膨大な量の暗記対策として、最初に自分の記憶の特性を掴むことにしました。試行錯誤の結果、「映像記憶」といって絵として覚えるのと、「エピソード記憶」といってストーリーで覚えるミックスが効果的だとわかったので、どうしても覚えられないところは、ストーリー性のあるゴロやイラストをノートに書いて記憶を定着させました。

豊田さん:「なぜそうなるか」を理解しました。例えばトスカーナでは、気候により各DOCGのサンジョヴェーゼの最低比率が変わります。背景を知ると覚えやすいです。

小澤さん:エミリアロマーニャからマルケ、アブルッツオにかけてのサンジョヴェーゼ、モンテプルチャーノの栽培エリアがグラデーションのような境界線で切り替わっていくことを品種の特性や気候とともに学ぶと、ブレンド比率の違いが生産者目線でとても自然な選択だと理解できました。

富田さん:気候、地形、土壌と品種がリンクしているとわかってから、丸暗記しなくても済むようになりましたよね。

小澤さん:ワインエキスパート試験では、ただ暗記しただけで「理解」があまりないまま、さーっと通りすぎてしまいましたが、IWSでは深堀りできました。

豊田さん:そうですね!今回は一気に立体感が増しましたよね。

Q. 試験当日の雰囲気はどのようなかんじでしたか?

豊田さん:授業と同じ教室、いつもと同じメンバーなので緊張しなかったです。

富田さん:当日は、有休をもらって、直前は近くのカフェで勉強していました。

豊田さん:僕の場合は、直前、近くのカフェでフラッシュカードをめくっていました。息抜きに散歩をしていたらクラスメイトの姿を目撃して、普段見せない真面目な表情が面白かったです。

富田さん:みんな、同じですね。直前は大変でしたけど、試験後のクラスメイトとの飲み会を楽しみにしていました。

Q. 試験問題の難易度や構成についての印象を教えてください。

小澤さん:「どの州と面しているか」などの地理問題が多いな、という印象です。最初は、サービス問題と思っていましたが、学習を進めるうちにワインが気候、歴史、文化と密接に繋がり、特に地理条件から受ける影響がとても大きいことがわかりました。「どの州と面しているか」という問いから、「どういう地形や土壌で、どういう気候なのかわかっているよね」という出題者の意図を感じるようになりました。

豊田さん:WSGでは、逸話や語源が問われることが多いと感じました。これは人の前で、「その土地やワインについて愛を持って語れる」力を身につけさせてくれると思います。

富田さん:そうそうDOCの「Est! Est!! Est!!! di Montefiascone(エスト!エスト!!エスト!!!ディ・モンテフィアスコーネ)」の話はテキストの半ページ分ありましたよね。

Q. 他資格(JSA、WSET)との違いについて、試験という観点から感じた点を教えてください。

豊田さん:マイナー産地も、メジャー産地も同じぐらいの強さでスポットライトを当ててくれて、ムラがないのがWSGの良いところだと思います。ミクロからマクロまで、レイヤーを重ねるように学べるのでロジカルに記憶が定着するのが最大の魅力です。ちなみに、IWSをやっていたおかげで、今年合格したJSAのワインエキスパート・エクセレンスの学科試験のイタリアの問題に関しては周りの誰よりも自信を持って臨むことができました。

富田さん:JSAとWSGでは掘り下げ方の深さが違うんですね。

豊田さん:最近、WSET Diploma受験生の人がWSGに挑戦していて、意外と苦戦している人もいるみたいです。生産規定の趣旨がわからない部分をDiplomaの資格保有者に相談して、一緒に考え込んでしまうような場面も多くありました。

Q. 試験を振り返って、「やっておいてよかった」と感じる対策はありますか?

富田さん:クラスメイト4人でLINEグループを作って、毎日クイズを出し合ったんです。それがすごく楽しかったです。自分自身でも問題を作ることで記憶に定着しましたし、何よりお互い励まし合いながらできたのがよかったと思います。

小澤さん:そうそう、問題の出し合うことで、毎日英語に触れられました。わからないときはテキストをチェックして…、気が付いたらテキストを開く機会が増えていました。

豊田さん:問題の出し合いをすると、周りの人の理解度がわかるのがいいですよね。

富田さん:そう、仲間の理解を見て焦ることも。その焦りも重要 (笑) 

Q. クラスメイトや講師との関わりで印象に残ったことはありますか?

富田さん:Unit1とUnit2で1年間がかりと長かったですが、授業後に飲みに行ったり、クラスメイトがホームパーティを開いてくれたりと、楽しい時間が多かったです。

豊田さん:みんなイタリア好きなので、「イタリアに行ってきたよ」というリアルな話が聞けるのが楽しかったですね。

富田さん:ニッチなイタリアの話を、気兼ねなくできる環境でしたよね。

小澤さん:ホームパーティでルケを飲んだとき、「本当にバラの香りがする」と一気に盛り上がったのが印象的でした。他のクラス会では、なかなかない光景だと思います。

豊田さん:秘蔵のイタリアワインを持ってくる人もいましたよね。

富田さん:みんなに「イタリア好き」という共通言語があって、ほっとできるメンバーでしたね。

小澤さん:豊田さんが試験後のクラスの打ち上げを、SNSに「親戚で集まって宴会しているみたい」と投稿してくれたのは、私も納得でした。自然と、それくらいの距離感になりましたね。

Q. イタリアワインを見る目線はどのように変わりましたか?

小澤さん:友人との食事会でワインを選ばせてもらえる機会が増えてきました。

富田さん:料理が好きなので、飲みたいワインに料理を合わせるようになました。イタリアワインは地域の料理とワインを合わせるのがやっぱり一番おいしいですよね。

豊田さん:イタリアに関しては苦手意識があったので、「あまり人と話したくない。苦手だ。」と思っていました。でも最近は、ソムリエやワイン業界の人とイタリアに関してもフラットにコミュケーションできるようになったのがよかったです。

Q. これからIWSを目指す方へ、学習のコツや心構えを教えてください。

富田さん:英語に少し不安があっても、イタリアが好きなら、ぜひ一歩踏み出してほしいです。

小澤さん:IWSは知識だけでなく、文化や国民性まで学べる資格です。学び終える頃には、イタリアワインの選び方がきっと変わっていると思います。

豊田さん:WSGの資格を一つ取って勉強の型を身につけると、フランスやスペインなど、他国のカリキュラムにも応用できます。少しでも興味があれば、思い切って飛び込んでみてほしいですね。

富田さん:そう聞くと……次はフレンチを受けてみようかな、という気持ちになりますね。


今回の座談会を通じて見えてきたのは、IWSが単なる試験ではなく、イタリア愛を深め、仲間と共に成長できる貴重な学びの場だということです。

そして何より印象的だったのは、3人とも「イタリアワインが好き」という共通の情熱を持ち、学びそのものを楽しんでいたことです。英語への不安や膨大な情報量に圧倒されることもあるかもしれませんが、「イタリア愛があれば、必ず乗り越えられる」そんな勇気をもらえる座談会となりました。

IWSは、ワインの知識だけでなく、イタリアの文化、歴史、そして人とのつながりまで深めてくれる資格です。これから挑戦される方は、ぜひこの合格体験談を参考に、自分なりの学びのスタイルを見つけてください。そして何より、この素晴らしいイタリアへの学びの旅を楽しんでみてください。

Buona fortuna! (がんばって!)

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