忖度なしのワイングッズ徹底レヴュー Vol.1 “ニョキッ、カクン”の効果とは? 「ヴァハ ダブルピボット ソムリエナイフ」

ワインを楽しむのに欠かせないワイン専用グッズ。ひと口にグッズといっても、オープナーやグラスといったマストアイテムから、ワインの品質をキープするための保存ツールまでさまざま。昼はライターとしてワイン記事をちまちま書きつつ、夜は渋谷のバーでワインのサービスを行う筆者がちまたで話題のグッズをお試し、忌憚ない感想をレヴュー。

文・写真/谷 宏美


【目次】

1. ソムリエナイフもいろいろあるが
2. どんな製品なの?
3. 検証してみた
4. 結論


1. ソムリエナイフもいろいろあるが

ソムリエナイフいろいろ

ワインオープナーには、いわゆるバンザイ型のウイング式や、ハンドルを回すとコルクが上がるパワー式、空気の力でコルクを上げるエアー式などさまざまなタイプがある。がこれを読んでいる皆さんの使用率がもっとも高いのは、スクリューとナイフのパーツがコンパクトにたたまれたソムリエナイフだろう。

ワイン飲みにとってソムリエナイフとは、料理人にとって包丁のようなものであり、ハンターにとって猟銃であり、ヒットマンにとって拳銃、つまりそれなしには目的が達することのできない、ワインシーンに必要不可欠な代物である。ルパン3世がワルサーP38を愛用したように、プロのソムリエはお気に入りのソムリエナイフをもっているものだ(本当に優れた職人は道具を選ばない、それもまた真実なのだが、本企画では忘れてくださいそれは)。

筆者は自分の店で日々たくさんのワインを抜栓するし、自宅でも試飲と称してワインを開けまくっているので、必然的にたくさんのソムリエナイフがあっちにもこっちにもごろごろしている。ざっと数えたら30本くらいあったが、実はワルサーP38は決まっていない。自分の名前が刻んである水牛の角のラギオールは恥ずかしながら使いこなせていなくて、使用頻度が高いのはリニュー・デュブルベイのオークバレルだろうか。岩田 渉さんが優勝したアジアオセアニア最優秀ソムリエコンクールin京都のガラディナーの記念品で、オークのハンドルにKyotoと刻印してあるもの。これが使いやすい気がしている。

 

2. どんな製品なの?

ダブルピボット図解 (C)日本クリエイティブ

ヴァハ ダブルピボット ソムリエナイフ/ファルファッリ社

今回とりあげるソムリエナイフは、イタリアのファルファッリ社から2020年に発売されて話題を呼んでいる「ヴァハ ダブルピボット ソムリエナイフ」。

ソムリエナイフのブランドといえば、
・猫でも知ってる(?)シャトー ラギオール(フランス)
・ダブルレバーでコルク抜きを簡単にしたプルテックス(スペイン)
そしてもうひとつがイタリアの刃物産地マニアーゴに拠点を構えるファルファッリ。ガリバーやシンクロといったシリーズで知られるが、注目されているのがこのヴァハ ダブルピボット ソムリエナイフである。

1.スクリュー(コルクに差して抜く部分)
2.ナイフ(キャップシールを切るツール)
3.フック(ボトルの口に引っかける部分)
4.ハンドル(握る部分)

から成り、作りと外観も通常のソムリエナイフと変わらない。フックはシングルアクションのタイプ。

このツールがほかのソムリエナイフにない唯一無二の特徴、それはスクリューの根元の支点(=ピボット)が2段階になっていること。折りたたまれたようになっている軸が2段階で動くことによって通常のソムリエナイフに比べてより簡単にコルクを引き上げることができるという。この2つ支点があることで特許を取得していてスゴイのです、と説明を受けたのだが今ひとつピンとこない。それって何がいいんだろう⁉︎

 

3. 検証してみた

▶︎プロセス 1:キャップシールを切る
ナイフの形状はゆるくカーブしていて、ギザギザが大きめで刃先はなめらか。ボトルネックをもって真横に切り込みをいれるときにスッと入り、なかなかに気持ちのよい切れ味。キャップシールをスパっと切るのが苦手な自分には、これはポイント高いかも。

▶︎プロセス 2 :コルクにスクリューを差す
スクリューの先端をコルクに当て、スクリューを真っすぐに起こしながらぐるぐるぐる。
ここは特に通常の動作と変わりなし。

▶︎プロセス 3 :コルクを抜く
シングルアクションなので2回に分けてスクリューを入れ、フックをかけてハンドルを握り、真上に持ち上げる。

自分は腕力が弱く(脚力は自信あり)、栓がタイトなときは苦戦することがある。ゆえにこの動作のときに「うんしょっ!」と力んでしまうのだが、いつもの調子で鼻息荒くハンドルを持ち上げたら、あら不思議。ニョキッ→カクンという感触のあとにスルッとコルクが抜けてしまい、拍子抜け。

コルクはボトルに垂直に刺さっているので、それを抜くにはまっすぐ垂直に引き上げる必要がある。しかし、通常のソムリエナイフの構造だと、このときフックで片側を固定していることになる。この状態で真上にハンドルを引き上げようとすると、力がフックの方向、つまり斜め方向に働き、真上には上がらない。その力に逆らって無理やり上げるので、力のない自分のような人間にはひと仕事だし、状態によってはコルクが折れるという悲劇が起こる。

ところがだ、ヴァハ ダブルピボットは、スクリューの根元が2段階になっているため、コルクの向かう方向とハンドルを引き上げる方向と、動きによって軸の部分がニョキッと伸びたあとにカクンと折れ曲がり、双方向に同時に対応して瞬時にスルッと抜けてしまうのである。

 

4. 結論

2つある支点=ダブルピボットの威力は使うとわかる。非力な自分はもちろん、スクリューを真っすぐ差すのが苦手な人でもこの機能のおかげで難なく抜栓できるし、無理な力をかけずに済むので、もろいコルクを開ける際にも功を奏すだろう。ディアムやノマコルクといった合成コルクで固いと感じることもあり、これらをいくつか試してみたがいずれも簡単だった。

あまりにあっけなく抜けてしまうので、ゲストの前で抜栓するときは少しもったいぶってスローにやらないとありがたみがないかもしれない。自分にしかわからない、ニョキッ→カクンの感覚を楽しみながらやってみると、ちょうどよいかも。

そしてあまりフォーカスされない点だと思うが、実はナイフ部分が非常に使いやすく、キャップシールが気持ちよく切れるのが自分としては気に入り、これが自分のワルサーになるか?とほくそ笑んでいる。

【製品概要】
ファルファッリ ヴァハ ダブルピボット ソムリエナイフ(オリーブ)
本体サイズ:長さ120mm(閉じた状態)
生産国:イタリア
専用革ケース付き
¥13,200
→詳細はこちら

谷 宏美/Hiromi Tani

ワインライター/エディター。ファッション誌のビューティエディターを経てフリーランスに。ワイン・フード・ビューティのジャンルでコンテンツ制作・執筆を手がけつつ、夜は渋谷のワインバーでサービスを行う二足ワラジワーカー。パートナーは人間ひとりと猫4匹(♂♂♀♂)。4匹のうちの紅一点、9カ月猫のエシレさんを膝にのせて原稿を書くのが無常の喜び。


豊かな人生を、ワインとともに

世界的に高名なワイン評論家スティーヴン・スパリュアはパリで1972年にワインスクールを立ち上げました。そのスタイルを受け継ぎ、1987年、日本初のワインスクールとしてアカデミー・デュ・ヴァンが開校しました。
シーズンごとに開講されるワインの講座数は150以上。初心者からプロフェッショナルまで、ワインや酒、食文化の好奇心を満たす多彩な講座をご用意しています。

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