ロバート・M・パーカー・ジュニア(Robert M. Parker Jr.)~ 帝王と呼ばれた唯一無二のワイン評論家【後編】
ワイン業界には、イエス・キリストをネタにした古いジョークがある。「ジーザスは最初の奇跡で、水をワインに変えた。それから2000年、我々は2度目の奇跡を待ちわび続けている。すなわち、ワインを利益に変えてくれるのを」。こんな…
ワイン業界には、イエス・キリストをネタにした古いジョークがある。「ジーザスは最初の奇跡で、水をワインに変えた。それから2000年、我々は2度目の奇跡を待ちわび続けている。すなわち、ワインを利益に変えてくれるのを」。こんな…
神の舌をもつワイン評論家、ロバート・パーカー。ワイン好きならば、老若男女を問わず一度はその名を耳にしているだろう。「ワインの帝王」と呼ばれたこの男の権勢が絶頂にあった2005年、この男についての決定的評伝を世に出したエリ…
スティーヴン・スパリュア。2021年に79歳で生涯の幕を閉じた、イギリス出身のワイン業界人。この男は、揺るぎない情熱と類い希な先見性で、1976年のある「事件」を通じて、ワイン界を大きく揺さぶった。「パリスの審判」と呼ば…
「若いヴィニュロン達がヘマをしでかさないよう、私は手を貸したように思う。若い連中は、優れたワインを造るために必要な資金と技術の両方を持っている。奴らは、年かさのヴィニュロンと同じようにはしていない。つまり、くだらぬたわご…
アンリ・ジャイエがいかに豪腕の醸造家だったとしても、原料ブドウの成る畑が貧弱ならば、生まれでたワインはそこそこでしかなかっただろう。前回紹介したジャイエの言葉、「ワインの出来はテロワールが50%、造り手の腕が50%」の通…
「ピュアにして、強烈」。アンリ・ジャイエを1980年に「発見」し、アメリカ市場に初めて紹介した輸入業者、マルティーヌ・ソニエがそのワインを端的に表現した言葉である。低温マセレーションなど、特定の技術で語られがちなジャイエ…
蔵の仕込み場では、稲妻のような閃きと、驚異的な慧眼を誇ったアンリ・ジャイエ。対照的にこのヴィニュロン(栽培醸造家)は、ブドウ畑においては徹頭徹尾、「時代遅れの愚か者」であった。1990年代に行なわれたジャッキー・リゴーに…
一本の値段が800万円もする赤ワイン。そんな奇妙な液体が、この世に実在すると信じられるだろうか。ボトルサイズが大きいわけでもなければ、たっぷりと金箔が浮かんでいるわけでもない。たった750mlしかない「飲む黄金」は、4~…