第四回は、テイスティングをする際の流れについて、その②です。
前回のその①で、大まかな流れやグラスの持ち方、外観の見方に触れましたので、今回は香りについて確認していきましょう。
文/富田 葉子
【目次】
①香りの取り方
②嗅覚について
③香りの訓練について
④まとめ
① 香りの取り方

グラスを鼻に近づけましょう。このとき遠慮して鼻とグラスが遠い方がたまにいらっしゃるので、鼻先がグラスに入るくらい、ぐっと近づけてください。近づけすぎて鼻にワインが入るととても痛いので気をつけてくださいね。
第二回でご紹介しましたように、国際規格のISOテイスティンググラスやある程度以上のワイン専用グラスは、クリスタルガラスででてきいるため香り成分が揮発しやすく、チューリップ型でその揮発した香り成分がグラスの中にたまるため、香りが取りやすくなっています。ですので、きっと鼻にグラスを近づけると、素敵なワインの香りが立ち上ってくるはずです。
もし香りが取りにくい場合は、「スワリング」といってグラスの脚を持って回し、ワインに渦巻きの回転を加えることで、香りを立たせることも有効です。スワリングの方向は、右手で持つなら反時計回り、左手で持つなら時計回りと、もしもこぼれた時に人様ではなく自分にかかるよう「内回し」にすることが推奨されているようです。ただこれは、個人的にはどちらでもいいのではないかと思っています。おかげさまで何年もStep1を担当させていただいていておりますが、勢いよく回しすぎて人様にかけてしまうという方は、少なくとも私はあまり見かけたことがないからです(慣れてないうちは溢れると怖いから皆様ゆっくり回しますもんね)。そういえば、グラスを上手に回すコツをStep1第11回の授業でリーデルの庄司さんが仰っていて、なるほどと思ったことがあります。グラスの脚を持つだけでなく、手のひらで台座も同時に支えるようにすると安定するそうです。たしかに、そうしてみると不器用な私でも安定して回せるようになりました。世の中にはスワリングに慣れて癖になっていて、本当に上手にお茶でもビールでもお味噌汁でも何でも会話の合間にくるくる回しているようなワイン通の方も見かけるので「すごいなぁ」と思うのですが、実は私は昔から回すのがあまり得意でなく、普段ほとんどスワリングをしません。そのままで十分に香るのであれば、回さなくても大丈夫です。香りの成分が揮発すると言うことは、飛んでいってしまうと言うことでもあるので、飛んでいってしまった香りは戻ってきませんから慎重に行ないましょう。ちなみに、あま香りの成分を飛ばさずにグラスの中で香りを立たせる方法として、10年ほど前に楠田先生からこんな方法を教わったことがあります。ワインが溢れない程度にグラスを斜めに傾けて、片方の手でグラスの脚を持ち、片方の手で台座をゆっくりと回すのです。こうすれば静かにワインがグラスの内壁に行き渡りますよね。あまり香りを飛ばしたくない、繊細なワインや古酒などでは特におすすめです。普通にスワリングをするより、逆にプロっぽく見えるかもしれません。笑