記念すべき第一回目を、読んでくださってどうもありがとうございます!
これから全五回の「テイスティング基本のキ」、どうぞよろしくお願い致します。
まずは「基本のキの、さらにキ」です。もう知ってるよと言う方も、再確認や周りのワイン入門の方へお伝えする際の参考によかったらご覧くださると幸いです。
文/富田 葉子
【目次】
①テイスティングとは
②的確な共通言語とは
③テイスティング表現を学ぶメリット
まとめ
ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」が監修しています。ワインを通じて人生が豊かになるよう、ワインのコラムをお届けしています。メールマガジン登録で最新の有料記事が無料で閲覧できます。
①テイスティングとは

「ワインは美味しく楽しく飲めたら、いい。小難しいことを言うのはナンセンス。」
そうです。おっしゃる通りです。
でも、ひとつひとつのワインの魅力を余すことなく感じとって、豊かに表現することができたら、もっと素敵ですよね。
これから皆さまが学習されるであろう、分析的にテイスティングをしてコメントを書くと言うことは、ただ飲んで「好きかどうか」「飲みやすいかどうか」を判断することや、美味しく楽しく飲んで酔っ払って記憶をなくしてしまうことではなく、ワインを試飲して、そのワインの特徴を、外観、香り、味わいのそれぞれの項目において、「的確な共通言語に置き換えていくこと」を基本的には指しています。
②的確な共通言語とは

的確な共通言語とは、たとえば「ウチのおばあちゃんちの、あの部屋の、タンスの2〜3段目のにおい」などの、自分やごく一部の近しい人だけが分かるような表現ではなく、「雨の降る草原で白い服を着た少女がこちらを振り返って微笑んでいる」などの、ポエムのような表現でもありません。
主に伝達や記録のために使われる、世界共通の言葉です。
これはまるで語学のように、「なるほど、こういう時は、こう言うんだ」ということを少しずつ覚えていき、間違いを恐れずに使っていけばだんだん身についていきますので、今テイスティングに自信がないと言う方も、アカデミー・デュ・ヴァンに通ってくださっている限りどんどん伸びていくはずですので、全く心配されないでくださいね。
(※ポエムのような表現も美しいですし、悪いわけではないのですが、おばあちゃんちのにおいと同様に、どんな香りや味か万人に共通の具体的なイメージが湧きづらいという点で今回は適していないと書いています。)
たとえば海外のソムリエさんたちが、今度新しく入ってくるワインについて、どんな香りや味わいのワインであるか、どんな料理と合わせたり、どんな顧客や季節をターゲットに売っていけばいいのか、などを電話やメールで共有し合うことを想像してみてください。
「今度のワイン?うん、美味しかったよ」等では、一体どんなワインなのか、よくわかりませんよね。そんな時に、共通言語をご存じのソムリエさん同士であれば、「紫がかった明るいルビー色」「ラズベリー、スミレ 、紅茶の香り」などと言えば、「ああ、そういうワインね」とすぐに分かる。同じものを飲んでいなくても、言葉で伝わるのですよね。日本においても、特に実際にワインを扱うご職業の方は、これは仕事上できた方が良いことでしょう。
では、一般愛好家の方々がアカデミー・デュ・ヴァンで質の良い教育を受けられて、すらすらとワインの特徴を的確な共通言語に置き換えることができるようになると、一体どんな「いいこと」があるのでしょうか。たくさんありますが、3つに絞ってみました。
ワインスクール
アカデミー・デュ・ヴァン
はじめての方からワインの奥深さを追求される方まで、幅広く講座を開講しています。講師にはワイン業界をリードする現役のプロフェッショナルや、生産地から生産者をお迎えしています。
③テイスティング表現を学ぶメリット

●ワインショップやレストランで失敗が減る
●どう美味しいのかを具体的に共有でき、伝えたい人に想いを伝えられる
●何年前に飲んだワインでも、具体的に思い出すことができる。
●ワインショップやレストランで失敗が減る
好みを正確に伝えることができるので、「思っていたワインと違った」とがっかりされることが、少なくなるでしょう。たとえば「安くて美味しいのお願いします」などと言っても、「美味しい」の定義は十人十色なので、どういうものがその人にとって安くて美味しいのか、ソムリエさんや店員さんも初対面で判断することには限界がありますよね。
例えが合っているかわかりませんが、ちょっとくだけた例で申しますと、男女の出会いにも似ているかもしれません。「誰か可愛い子を紹介してよ」と言っても、「可愛い」の定義は人それぞれなので、その方が好みの子に出会えるかは全然わかりませんよね。しかし、「髪が長くて色白で清楚系の子」「アウトドアを一緒に楽しめるような元気いっぱいな子」などと、もう少し具体的に伝えることができたら、好みの子に出会える確率は格段に上がるのではないでしょうか。
的確な共通言語に置き換えて、具体的に伝えることができると、より人生が豊かになりますよね。
●どう美味しいのかを具体的に共有でき、伝えたい人に想いを伝えられる
たまたま、今飲んでいる美味しいワインの生産者が来ている。
たまたま、大事な人に高価なワインをご馳走になった。
このワインを素晴らしいと思っているということを、伝えたい。でも、美味しいとか飲みやすいとか、月並みな言葉しか言えない。もっと相手の心に伝わる言葉で言えたらいいのにな・・・
そんなご経験、ありませんか?
こういう時にも、的確な共通言語に置き換えて具体的に伝えることができると、お互いに更に充実した時間を過ごすことができるでしょう。
●何年前に飲んだワインでも、具体的に思い出すことができる。
昨日、銀座のフレンチレストランで飲んだ赤ワイン、とても美味しかったな。
先週、青山のイタリアンレストランで飲んだ赤ワインも、すごく美味しかったな。
では、それらの赤ワインはどう違うの?うーん、よくわからない。
これでは、ダメとは言いませんけれども、ちょっぴりもったいないですよね。
どうしても人間は忘れる生き物ですし、現代の技術では、ワインの外観は写真に残すことができるものの、香りや味わいは写真に撮って保存をするということができませんので、時間が経つと「なんとなく美味しかったな」という記憶だけになってしまうのも仕方のないことではあります。
(もしかすると香りや味わいも写真に撮るように手軽に保存することが可能になる時代が、遠くない未来に来るのでしょうか…考えると夢がありますね…!)
そんな時にも、的確な共通言語に置き換えることができると、正確に記録ができるので便利&お得です。10年前に飲んだワインでも、ご自身の書いたテイスティングコメントを見れば、どんな香りや味わいのワインだったかが手に取るようにわかるようになるんですよ。同じワインを飲んでも、何倍も豊かな経験になるのではないでしょうか。
④まとめ

分析的なテイスティングコメントを書く作業は、自分にしかわからない言葉やポエムのような表現ではなく、伝達や記録のためにワインの共通言語に置き換えることで、それができるともっと人生が豊かになりますよ、ということでした。
読んでくださってありがとうございました。
次回はテイスティングの準備ついての、基本のキです♪
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富田葉子
JSA認定ソムリエ / JSA認定ワインエキスパート
WSET® Level 3 Award in Wines
シェリー原産地呼称統制委員会認定 2014年最優秀ベネンシアドール
日本滑舌能力検定協会滑舌能力検定講座・認定講師
JCAAコミュニケーション能力検定1級
日本朗読検定協会認定講師(准プロフェッサー)
レストラン勤務時代にネッド・グッドウィン MWの元で働き、アカデミー・デュ・ヴァンに通い、ワインの魅力の奥深さにとりつかれる。ボルドーワインの騎士、カルヴァドスの騎士、シャトー・パルメの騎士、サーブルドール(シャンパンサーベル)騎士などを叙任し、ワイン社交界でも活躍。とにかく楽しい初歩的な講座から密度の高い専門講座、熱血指導の資格受験対策講座、レストラン勤務時代の経験を生かしたマリアージュ講座など幅広く講座を担当。クラス会も頻繁に開催し、交流を大切にしている。クラスが一体となる明るい雰囲気、溢れる熱意と分かりやすい資料に定評がある。2020年8月、滑舌能力検定1級に合格。声のトレーニングにも努めている。