連載コラム

連載コラム:伊東道生の『<頭>で飲むワイン 』 Vol.60 2016.06.24

ボルドーあれこれ

 先月のメルマガで、ボルドー2015の再評価を報告しました。はかない希望も夢と消え、トップシャトーは軒並み大幅値上げです。しかもそろって60%の値上げ、ちょっと信じられないくらいの上昇です。儲かって、笑いがとまらないでしょう。そろそろ消費者も反旗を揚げてもいいかと思います・・。
 さてRVFのネットでは、ボルドー市と姉妹都市にあたる福岡(知りませんでした)にボルドー・ワイン委員会公認のワインバー「オ・ボルドー・フクオカ」が中州にできたというニュース。なかなか福岡に行く機会がないのですが、行ってみたいものです。上海には2012年、2013年、2015年のそれぞれにオープンした3つのお店が既にあり、2014年のニューヨークに続いて5番目の店のようです。あのジョエル・ロビュションの息子、ルイ・ロビュション・安部氏は博多出身の母をもち、自身が福岡生まれのこともあって、関係者ともども、テープ・カットの式典に臨んだようです。公認とはいえ、この情報はボルドー・ワイン委員会の公式HPには載っていません。
 そのボルドーでは10回目のワイン祭りが6月23日から26日にかけて開催されます。ガロンヌ川添いに二キロにわたって、ワイン街道が設けられます。8つのテイスティング・パビリオン、3つのミレジム・パビリオンがあり、80のボルドーとアキテーヌの銘柄ワインの試飲ができるということです。デギュスタシオンのパスは21ユーロ。高いのか安いのか。まあ、安いのでしょうね。こちらの方は、映像も交え、ワイン祭りの派手な公式ページがあります。http://www.bordeaux-fete-le-vin.com/
 ボルドーにとって、中国市場は一番の顧客ですが、あいもかわらず偽物が横行しています。中国政府もそれなりに取り締まりに乗り出していますが、中国への輸出は50万ヘクトリットル、学としては年刊3億ユーロになり、前年比なんと34%伸びです。たしかにそれだけあれば、偽物も出回るでしょう。しかし、中国の億万長者である(ソフトバンクの取締役もやっているらしい)ジャック・マー氏にとっては、偽物など無縁です。2月にボルドーのアントル・ドゥー・メール地区のシャトー・ド・スールを購入したのに続いて、二つのシャトーを購入。一つは、プルミエール・ブライ・コート・ド・ボルドーのシャトー・ペルンヌ。17世紀にまで遡るこのシャトーは、64ヘクタール、主にメルローが植えられ、年間白赤あわせて50万本を生産。今ひとつは、シャトー・ゲリー。こちらはコート・ド・ブールにありで、約20ヘクタール。メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、マルベックが植えられ、年間赤ワインを8万4000本生産。このシャトーはコート・ド・ブールでは最も古く、18世紀に遡ります。

 このシャトーは、ともにベルナール・マグレ氏が所有していたものです。マグレ氏はパプ・クレマンやオー・メドックのラ・トゥール・カルネなど4つの格付けシャトーを所有、世界で40カ所余りボルドーでも12ものシャトーを所有していますが、格付けシャトーに専心するために、売り出したと説明しています。
 ここ近年、政府もまじえて、エノツーリズムが盛んですが、ボルドーも同様です。2014年10月に最初のルートが設定され、現在、メドック、グラーヴ・ソーテルヌ、アントル・ドゥー・メール、ブライエ、ブール、サンテミリオン・ポムロール・フロンサック、そしてボルドー市街という6つのルートがあります。こちらは先に挙げたボルドー・ワイン委員会の管轄で、ワインとガストロノミー、ワインと河川、ワインと自然、家族で葡萄畑、ワインと世界遺産、ワイン祭りという、これまた6つのコンセプトが設定されています。年間430万人が訪れますが、今夏、あなたもいかがですか。こちらは丁寧なHPがあります。マー氏は購入したシャトーを改造して豪華なものにするらしいので、エノツーリズムも念頭にあるのでしょう。
http://www.bordeauxwinetrip.fr/Decouvrir-le-Vignoble/Experiences-autour-du-vin/Le-Vignoble-en-Famille
 どういうわけか、RVFではマルゴーのエノツーリズムだけが特別にページを割いていて、車でいく二つのルートとシャトーの位置などを詳しく載せています。
http://www.larvf.com/,oenotourisme-a-margaux-reine-de-beaute-du-medoc,4484653.asp
 このページのヴィデオには、偶然にもワイン業界の200人の一人として、ベルナール・マグレ氏が登場します。
 世界遺産のボルドーのHPも忘れてはいけません。こちらは日本語版もあります。トップには、最近できた「シテ•デュ•ヴァン」という文化施設が掲載されています。できる前から、その独特な建築スタイルで評判になっていたものです。この施設も日本語ガイドが整っているようです。http://www.bordeaux-tourism.jp/
 何かボルドーの宣伝のようなメルマガになってしまいましたが、参考になれば。