ブルゴーニュのコート・ドールではテロワールをみごとに表現する、まさに芸術品ともいえる感動的なワインが毎年生み出されています。研究科「ブルゴーニュの偉大な生産者たち~コート・ドールの26村~」は、世界中の垂涎の的であるコート・ドールのトップ・ドメーヌの造り出すワインを味わい学ぶ講座です。才能と情熱溢れるヴィニロン達の素晴らしいワインを堪能した、体験講座の様子をお伝えしてみましょう。
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| 講師の奥山久美子先生。先生の明るく優しいキャラクターと、豊富な知識によって講座は非常に和やかな雰囲気に包まれます。サン・ヴァンサンのお祭りや、オスピス・ド・ボーヌのオークションの様子など、現地の楽しいお話も伺うことができました。 |
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この講座は全6回で、ヴォーヌ・ロマネ、ジュヴレ・シャンベルタン、モレ・サンドゥニ、シャンボール・ミズィニ、ピュリニィ・モンラッシェ、ムルソーの6つの村について詳しく学びながら、これらの村を代表するトップ・ドメーヌのワインを比較試飲してゆきます。毎回、憧れの造り手のワインが一同に集められ、その素晴らしい魅力と個性の違いを堪能できる人気の講座です。 今回私は体験したのは、ブルゴーニュで最も輝かしいスターといえる、ヴォーヌ・ロマネ&フラジェ・エシェゾー村。この村を代表する、メオ・カミュゼ、モンジャール・ミニュレ、ロベール・アルヌーなどのトップ・ドメーヌのワインを学び楽しみました。
まず授業の前半では、講師の奥山久美子先生より、ヴォーヌ・ロマネ村とフラジェ・エシェゾー村についての講義が行われました。先生が作成された詳細な資料と地図が配られ、村の歴史や土壌、ロマネ・コンティ、ラ・ターシュ、リシュブールといったグラン・クリュ畑の特質について、興味深いお話が語られました。 「ヴォーヌ・ロマネ村はコート・ド・ニュイの中でも最も輝かしいスター。大輪の花がパッと咲いたようなフローラルな香りや、果実の豊かさが前面に表れ、このうえなく高貴なフィネスをそなえたエレガントなワインが生み出されます。プルミエ・クリュは全部で16。村名ワインの畑に比べ、土は浅めで石灰岩の比率が高く、表土は主にがれなので排水性に優れています。さらに最上級の格付けのグラン・クリュが6つ存在し、その最高峰がかの有名なロマネ・コンティ。そのロマネ・コンティを中心に、ラ・ターシュ、リシュブール、ロマネ・サン・ヴィヴァン、ラ・ロマネ、ラ・グランドリュの5つの畑が取り囲んでいます。また近隣のフラジェ・エシェゾー村にもグラン・エシェゾーとエシェゾーの2つの素晴らしいグラン・クリュがあり、村名とプルミエ・クリュのワインはヴォーヌ・ロマネの名称を名乗ることができます」 |
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| テイスティングの前には、資料と地図を見ながら、各村の歴史や土壌、生産者による醸造法の違いなど、専門的な知識を学びます。熱心にメモを取る受講生の姿も。 |
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さらに先生は地図の載るグラン・クリュ畑を指し示しながら、その味わいや畑の違い、さらに各畑にまつわるエピソードについても、詳しくお話くださいました。なかでも受講生の興味は、ロマネ・コンティの話題に注がれます。 「ロマネ・コンティが世界一高価な理由は、多くの伝説や神話に彩られている点にもあります。もともとロマネの畑のワインはルイ14世のお薬として有名でした。1760年にコンティ王子と呼ばれていたルイ・フランソワ・ド・ブルボンが、ルイ15世の愛人であるポンパドゥール夫人との激しい争奪戦の末に手に入れた畑です。当時ポンパドゥール夫人はワイン好きのルイ15世の気持ちをつなぎとめるためにこのワインがどうしても必要だった…。しかし、同じくルイ15世の腹心であった王家出身のコンティ王子は、王をコントロールして権力をほしいままにしているポンパドゥール婦人を日頃から快く思わず、莫大な財力と情報力により、僅差ながら争奪戦を制しロマネの畑を入手したという伝説があります。 フランス革命後に畑は国に没収され、競売にかけられた時に「ロマネ・コンティ」の名前が付けられました。 1869年に畑は現在の所有者ド・ヴィレーヌ家のものとなり、その後1942年にはネゴシアン・ルロワが50%の投資をしてドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(D.R.C)の法人組織が設立したのです。完熟した葡萄のみを徹底して選別し、発酵は3週間から1カ月という長期間。酸化防止剤を最小限に抑え、瓶詰め時は濾過を行わず、さらに1996年からはビオディナミによる葡萄栽培が行われ、今も長い伝統と世界一の品質を守り続けています」とのお話が繰り広げられました。」
また先生はロマネ・コンティをはじめとする、各グラン・クリュ畑の味わいの違いについても丁寧に説明してくださいました。 「ロマネ・コンティは畑の面積は1.81ヘクタール、年間平均生産量は6000本という希少なワインです。その味わいは豪華絢爛でありながら、この上ないバランスの良さ、優しさ、繊細さを備え、まさに洗練の極みとも言うべき素晴らしさ。ラ・ターシュの畑は6.60ヘクタールで、同じくD.R.Cの単独所有ですが、ロマネ・コンティに比べると力強く、濃密な果実味と野性味が感じられます。リシュブールは8.08ヘクタールの畑に10件の所有者がおり、骨格がしっかりとして筋肉質で長寿なワイン。ロマネ・サン・ヴィヴァンは、9世紀にサン・ヴィヴァン修道院が葡萄を植えたのが始まりという長い歴史をもち、華やかでフローラルな広がりを持つ気品ある味わいです」 他にも講義では、先生が実際に現地に訪れたときの畑の様子や、生産者と交流されたときの逸話も語られ、興味の尽きない楽しい講義となりました。受講生の皆さんも、憧れの生産地の情報を一言一句聞き逃すまいと、熱心に講義に聞き入る様子が印象的でした。 |
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| モンジャール・ミニュレ、メオ・カミュゼ、ロベール・アルヌーなどヴォーヌ・ロマネ村を代表するトップ・ドメーヌの競演。造り手の個性や畑の違いを楽しみました。 |
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| 毎回、各村を代表する秀逸なドメーヌのワインが5~6種類厳選されます。グラスにワインを注いだ瞬間、芳醇な香りが広がります。 |
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さて授業の後半は、楽しみなテイスティングの時間です。この村を代表する5人のトップ・ドメーヌのワインを比較試飲してゆきます。今回試飲したワインは 1、2004 Grands-Echezeaux Domaine Francois Lamarche 2、2004 Vosne-Romanee 1er cru Les Chaumes Domaine Meo Camuzet 3、2005 EchezeauxV.V Domaine Mongeard-Mugnuret 4、2005 Vosne-Romanee 1er cru Les Suchots Domaine Robert Arnoux 5、2005 Vosne-Romanee 1er cru Les Brulees Domaine Michel Gros
テイスティングの直前には、先生から生産者の紹介が詳しく行なわれました。先生は、各生産者の畑や味わい、哲学の違いに加え、醸造法の違いについても具体的に説明してくださいました。たとえば、どのような樽や酵母を使って、どれぐらいの期間で熟成させるのか、除梗の有無や発酵温度など、醸造法においても大きな違いがあり、それがどのような個性をワインにもたらすかを生産者ごとに詳しく伝えてくださいました。こうした講義はテイスティングの際の参考にもなり、これから試飲するワインへの興味がますます湧きあがります。 そして、いよいよ待ちに待ったテイスティング。あらかじめ5種類のワイン名と生産者名は明かされますが、どのグラスにどの生産者のワインが入っているかは知らされず、ブラインドで探ってゆくこととなります。グラスにワインが注がれた瞬間、この上なくエレガントなアロマが溢れ出します。テイスティングが始まると、教室中がシーンと静まり返り、受講生の誰もが、偉大な生産者の素晴らしいワインを堪能しながら、真剣に比較試飲が行なわれてゆきました。 |
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| ヴォーヌ・ロマネのワインの魅力に引き込まれながら、真剣にテイスティングをする受講生の皆さん。 |
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約30分のテイスティングの後は、受講生の皆さんが、生産者とワインの銘柄、さらにその味わいについてのコメントを発表してゆくこととなりました。また、どのワインが好みであるか、どういう点に魅力を感じるかなどの率直な意見も述べられました。教室はにわかに和やかになり、皆さん素晴らしいブルゴーニュワインとの出会いに興奮しながら饒舌に意見を交わし合ってゆきます。 どれも甲乙つけがたい傑出した造り手のワインながら、一番人気が高かったのはフランソワ・ラマルシェのグラン・エシェゾー2004。奥山先生から丁寧な説明が添えられました。「このドメーヌはヴァンダンジュ・ヴェードルと厳しい選果で収量を抑え、シャプタリザシオンも必要に応じて少量にとどめています。決して無理な抽出を行わず、アルコール発酵後のムーのプレスも3回に分けてゆっくり行い、1、2回目のプレス・ワインのみをフリー・ランに混ぜるという丁寧な造り。近年目覚しくその質を高めているドメーヌです」 さらに受講生からは「5つのワインの中で一番バランスがいい。凝縮感がありフィネスが豊かで非常にエレガント」「シルキーなタンニン、豊かでピュアな果実味とともにしなやかで優雅な印象を受ける」などの意見が飛び出しました。 また、モンジャール・ミュニュレのエシェゾー2005も人気が高く、「華やかな香りと豊かな果実味を備えながら、繊細でしなやか」「樹齢の高い古木から生まれるワインは、シルキーなタンニンが良く溶け込み、フラワリー。今からでも十分に楽しめる美味しさ」などの意見が聞かれました。また、ミッシェル・グロのヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュ・レ・ブリューレ2005に関しては「まだ固さが感じられるが、クリーンで明快な果実味、ローストしたコーヒー豆やレザーの香り、濃厚でエキゾチックな佇まいを見せるワイン」との意見が。伝統あるグロ家の長男として、出自と育ちの良さを感じさせながらも決してでしゃばらず、実直にワインを造り続けるミッシェル・グロの人柄が溢れ出るようなワインでした。 さらにロベール・アルヌーのヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュ・レ・スショ2005は「酸がまだ固いがストラクチャーがしっかりしていて、非常にミネラルが豊か。ポテンシャルの高さを感じる気品高いワイン」との意見が語られました。
この講座はブルゴーニュワインの魅力がそうさせるのでしょうか、皆さん言葉が溢れるように、豊かに伸びやかにワインの魅力を表現していきます。また奥山先生の豊富な知識と明朗な人柄によって、教室には笑顔と活気があふれ、とても楽しい講座体験となりました。 最後に奥山先生から次のようなお言葉をいただきました。「ブルゴーニュワインはテロワールを表現する芸術、そして飲むと皆で語り合いたくなるワインです。この講座では、ブルゴーニュの土地と生産者の魅力に触れ、その素晴らしいワインを皆さんが分かち合うことによって、多くの友ができ、さらに人生を豊かで楽しいものにしていただければと思っています」。 |
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