2000年以上にも及ぶ長い歴史を持ちながら、一方では日々変化を続けるイタリア。伝統と革新が入り混じるイタリアワインを理解するには、常に新しい情報に触れていることが大切です。今話題のイタリアワインとそのスタイルは?そして今後どのようなワインが注目されていくの?イタリアワインの新しい魅力に触れる「イタリア」講座を受講した様子を詳しくお伝えしてみましょう。
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| 楽しく温かくイタリアワインの魅力を語る内藤和雄先生。 |
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この講座の大きな特徴は、土着の葡萄品種にスポットをあてながら、イタリア全21州のワイン産地を最新情報とともに学んでいくことです。今回受講するのは「ヴァッレ・ダオスタ州」のワイン講座。トスカーナ州やピエモンテ州と比べ、日本で得られるこの州のワイン情報はとても少ないため、大変貴重な授業体験です。この地を幾度も訪ね歩いたという担当講師・内藤和雄先生も「ヴァッレ・ダオスタ州を集中的に学ぶワイン講座の開講は日本ではじめてかもしれませんね」と笑顔で話し、この州の様子やワイン産地について生き生きと講義をしてくださいました。 まず先生は「ヴァッレ・ダオスタ州は、“アオスタ渓谷”という名前のとおり、アルプス山脈の美しい山々が谷を見下ろす緑深き土地。平地は全面積の5%しかなく95%が丘陵地帯です。名峰モンブランが迫る標高1200mの地帯までブドウ畑が開墾され、山の斜面を這うように段々畑の葡萄畑が広がります」と語り、秀逸なワインを生み出す7つの産地を詳しく講義していきます。 たとえば、シャンバーブは世界的にも有名なモスカートの産地であり、トレッテは近年日本にも輸入されるようになった赤ワインの名産地であること。7つの生産地から生まれる土着の白葡萄品種はプリィ・ブラン、プティ・アルヴィーネ、黒葡萄品種はフミン、プティ・ルージュ、ピクテネールなど。さらに14件しかない生産者のなかでも、レ・クレーテやアンセルメなど、近年素晴らしいワインを生む4件の生産者の様子も詳しく伝えてくださいました。 教壇のボードは、これらの貴重な情報であっという間に埋め尽くされ、受講生の皆さんは熱心にメモを取っていきます。この講座は、イタリアワインの輸入をしている方の受講も多いと聞きましたが、各州の最新ワイン情報をいち早く詳細に知ることができるという意味でも、実に貴重な講座であることがわかります。
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| 個性豊かで鮮やかな果実味を持つ6種類のワインは(左から)「ヴァッレ・ダオスタ・ブラン・デ・モルジェ・エ・デ・ラ・サッレ2006 カーヴ・ド・ヴァン・ブラン・デ・モルジェ」「ヴァッレ・ダオスタ・ピノ・ネーロ2005 ラ・クロッタ・ディ・ヴェネェロン」「ヴァッレ・ダオスタ・プティ・アルヴィーネ2004 レ・クレーテ」「ヴァッレ・ダオスタ・ピノ・グリージョ2006 アンセルメ」「ヴァッレ・ダオスタ・トレッテ2005 レ・クレーテ」「ル・プリゾニエN.V. アンセルメ」。 |
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講義の後半は、先生自らが選び抜いた6種類のワインをテイスティングすることになりました。土着の葡萄品種の生き生きとした個性が表現されながらも、エレガントで完成度の高い素晴らしいワインばかり。こんなに魅力的なワインがこの地に存在していたとは、と新鮮な驚きを感じます。グラスに注がれたワインの色合いも、淡いオレンジや薄いマスカット色など、まるでヴァッレ・ダオスタの豊かな自然が溶け込んだような美しさです。 先生はテイスティングコメントと共に、それぞれのワインが生まれた背景についても感動的なお話を聞かせてくださいました。たとえば、一番最初に試飲した白ワイン「ブラン・デ・モルジェ・エ・デ・ラ・サッレ」はプリィ・ブランという土着の白葡萄品種から造られたワイン。このワイン産地は標高1200m、イタリアで最も高い場所に位置する産地で、なんと、モンブランの残雪の照り返しの光を利用して葡萄が育っていくといいます。 昼間はその光を受けて畑が熱を蓄え、夜にその放射熱の恩恵を受けますが、夜間は急激に気温が下がる過酷な環境のため、プリィ・ブランの葡萄は地面から30cmのところに低く仕立てられているそうです。山の斜面を這うように葡萄畑が広がることから、葡萄の収穫も土の掘り起こしも、急勾配を上り下りしながらの手作業。世界で一番生産者が働く畑であると先生は説明します。
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| 土着品種が生み出す美しい色調のワインに、思わずカメラを向けてしまいました。 |
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他にもマスカットを思わせるような淡い緑の色調のプティ・アルヴィーネ種の白ワイン、凝縮感がありながらエレガントな柔らかさを持つプティ・ルージュ種とフミン種の赤ワインなど、果実味の鮮やかさを表現した素晴らしいワインをテイスティングでき、実に有意義な体験授業となりました。 さらにもう一つ。食好き、旅好きの私にとってうれしかったのは、先生がこれらのワインを地元ではどのような料理と合わせているかを、詳しく伝えてくださったこと。「赤ワインはモチェッタといわれるカモシカの生ハムや、コトレッタといわれるカツレツに。白ワインはアオスタ名物のフォンティーナチーズのフォンデュやスフレに。ヴァッレ・ダオスタはどの州よりもジャガイモが美味しいところ。とろりと溶かしたチーズで合えた、ニョッキともぴったりです」。最後に隣席の受講生が「先生の講義を受けるとその土地を旅してみたくなるんです。味わい豊かなイタリアワインとともに、食文化や風土についても深く学ぶことができる素晴らしい講座です」と私に語る言葉に、思わず大きくうなずいてしまうのでした。
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