アカデミー・デュ・ヴァン大阪校 特別ワインセミナー『シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン』
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今回は、ボルドー、マルゴー2級シャトー『シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン』ジェネラル・マネージャーのジェローム・エランヴァル氏をお招きしました。ワイナリーの歴史やワインの話をうかがい、「シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン」の3つのヴィンテージをテイスティングしました。

文:佐川深雪
Miyuki Sagawa

 
ジェローム・エランヴァル氏
『シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン』
ジェネラル・マネージャージェローム・エランヴァル氏(37歳)

27歳の時、同シャトーのテクニカル・マネージャーに就任。当時、クリュ・クラッセの中で最年少マネージャーとして注目を集める。4年前より現職に就き、セラーや畑の管理から広報・PR活動までマルチにこなす。今年5月で入社10年になる。
『シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン』にとって、日本は輸出量が一番多い国で、日本のワイン愛好家は、成熟しています。ブランド名ではなく、ワインそのものを理解して飲んでくれていることを感じています。
まずは『シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン』について知って頂くため、シャトーの歴史についてお話しましょう。

「シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン」の歴史
~さまざまな変遷を経て、ブランド再生へ~

マルゴーには1級から5級まで21のシャトーがありますが、2級格付けの、『シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン』の葡萄畑は、マルゴー村の入口付近から一帯に広がります。

メドックの中でも有数の歴史の長さを誇るシャトーのひとつで、14世紀初頭、デュルフォール・ド・デュラ家が設立しました。
1775年には、ワイン愛好家としても知られる、第3代アメリカ大統領のトーマス・ジェファーソンがボルドーを訪れ、ラフィット、オー・ブリオンやマルゴーに続く品質だと評価したという記述が残されています。
設立当初のシャトー名は、所有者・デュルフォール・ド・デュラ家にちなんで、『シャトー・デュルフォール』でした。
1824年にヴィヴァン家が所有して、現在の名前になりました。
1855年、ボルドー銘酒のプレステージ評価によって、第2級グラン・クリュに格付けされました。
1937年、ルリュトン家が主要株主を務める『シャトー・マルゴー』が所有することになり、それ以来、シャトー・マルゴーに集約されていた時期が暫く続きました。
そのため2級に格付けされながらも、「シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン」の名前では、一般市場に出回っていませんでした。
それが、1992年、ゴンザッグ・リュルトン氏がオーナーに就任してから、ブランド再生に向けてさまざまな改革が行われ、「シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン」の名前で市場に出るようになりました。

「シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン」のワイン造り
~最新管理システムを導入し、品質を向上~

現在のように「シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン」をリリースしたのは、1995年からです。
素晴らしいワインは、素晴らしい畑からと言われるとおり、まず葡萄畑を知ることがワイン造りの重要なポイントです。
約50ヘクタールの畑では、カベルネ・ソーヴィニヨンを約75%、残りでメルロー、カベルネ・フランを栽培しています。

土壌の研究をして区画整備に取り組むまでは、葡萄品種ごとのブロックごとに収穫してタンクで醸造していました。収穫時期に葡萄を見てみると、同じ品種でも樹齢によって成熟度合いが異なり、地質が変化していることに気付きました。場所によって日照条件や地質が異なるため、葡萄が完熟するピークのタイミングが異なります。完熟したタイミングで葡萄を収穫するように区画整備を行いました。畑の再編成を行った結果、葡萄の成熟度合がピークのときに集中して収穫し、その収穫ごとに、収穫量に合わせたタンクで醸造することにしました。より一層、テロワールを生かしたワイン造りができるようになりました。
また、完熟した葡萄を収穫するタイミングが重要で、短時間で集中して摘まなくてはならない時もあります。そのため、収穫シーズンにはピッカー200人がスタンバイしていて、天候を考慮しながら、完熟した葡萄だけを手早く摘みます。ピッカー200人というのは、界隈の畑で最も大がかりな収穫体制です。
畑の管理体制を整えるとともに、セラーも刷新しました。新しい区画ごとに醸造できるよう、収穫する量に合わせて多様なサイズの醸造タンク(木製、セメント)を用意しました。ブロックごとに個性がバラエティに富んでいます。完熟度合に応じて細かく分類して管理すると、各ブロックの個性がよく把握できます。各ブロックごとの、葡萄の熟成状況、タンクの状態などの詳細データが資料となり、テロワールの個性を見い出しやすくなりました。
タンクをブレンドする最終段階で最も気を遣うことは、マルゴースタイルのワインをいかに造るかです。マルゴーのワインは、エレガントで余韻の長さが特徴です。毎年、葡萄の出来も異なりますから、固定比率でブレンドするのではなく、各品種の出来映え、ワインと樽の相性など、ざまざまな要素に細心の注意を払わなくてはなりません。木樽一つをとっても、毎年、樽材を入念に研究して、どれを使用するかを決定します。
セラーは、コンピュータでコントロールしています。セラーの室温は、夏は18度くらい、冬は10度くらいで、外気を循環させ、なるべくナチュラルな状態に近いバランスをとっています。コンセプトとしましては、昔ながらのやり方と変わらないということです。

「シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン」のワインは、土壌とワインの関係、樽とワインの関係、ひいてはワインと自然との関係など、ありとあらゆる相性、バランスを見ながら造られています。

テイスティング
では、そろそろ、「シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン」をテイスティングしていただきましょう。今回は、2001年、2004年、2006年の3つを用意しました。
ヴィンテージが若いワインはタンニンが強いので、ヴィンテージの若い方を後から試飲していただくのがいいでしょう。まずは、2001年から試してみて下さい。
【試飲ワイン(テイスティング順)】
1番目/シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン2001
2番目/シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン2004
3番目/シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン2006

醸造年 2001 2004 2006
収穫量 45hl/ha 57hl/ha 37hl/ha
カベルネ・ソーヴィニヨン 67% 60% 70%
メルロー 24% 35% 30%
カベルネ・フラン 9% 5% 0%
熟成期間 18ヵ月 18ヵ月 18ヵ月
新樽比率 40% 45% 43%


ヴィンテージ別データ(比較表)から、「シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン」のワインにはルールがない(葡萄比率が固定ではない)ことがお分かりいただけるでしょう。毎年、葡萄の出来に応じて、調整をしています。
「シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン」は、典型的なマルゴースタイルのワインです。マルゴースタイルといえば、タンニンがやわらかく、余韻の長さが特徴ですから、今、流行りのパワフルな風味のニューワールドタイプとは対極的です。
「シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン」の2001年は、すばらしいヴィンテージです。年数を経ている分、やや開いてきている感があり、やわらかさを感じます。飲みやすいタイプに仕上がっています。
2004年も、とてもいい出来です。テロワールの個性を最も発揮していて、この3本の中で、私自身も好きなワインです。当たり年だと言われた2003年と2005年の間のため、マーケット的にはあまり注目されませんでしたが、その分、非常にコストパフォーマンスに長けています。
2006年においては、去年8月にボトリングしたところですが、先ほどの2001年のように6年寝かせたら、もっとバランスがよくなって、2001年を超越するワインになる可能性を秘めています。
質議応答
一通りテイスティングが終えた頃、「皆さんは、どのヴィンテージが好みでしたか?」と、フレンドリーに語りかけるジェローム氏。受講生から、質問がいくつか飛び出しました。

「葡萄の収穫比率が違う理由は?」
毎年、葡萄の出来が同じではありません。例えば、気候によって収穫量が減ったり、葡萄の出来がよくなかったりすると、その時々の状況に応じて収穫するため、バランスが変わります。前年が温暖な気候ですと、翌年は収穫量が増えることが見込まれることが予想できます。

「収穫時に雨が降ったら葡萄はどうなる?」
ピッカー200人で一気に収穫する体制ができていますから、一時的な雨で葡萄の味が落ちるということはないと思います。長期的な雨季の場合には、葡萄の熟成具合を見ながら雨季に入る直前に収穫します。長雨によって味が落ちるというよりも、実が大粒になり過ぎると風味に繊細さが損なわれるので、実の付き方が重要です。雨による問題点があるとすれば、害虫が付くことです。

「地球の温暖化による影響は?」
実際のところ、あまり影響は感じていません。近年にも、最低気温を記録するような冷夏や、とてつもない猛暑だったりすることがありましたが、それは何十年か前、そのもっと前にもあったことで、気候にサイクルがあると思います。その自然の流れの中で、テロワールを表現するワインを造っています。

「このワインと相性のいい料理は?」
エレガントなワインですから、幅広い料理に合うでしょう。バラエティに富んだマリアージュがあると思います。この料理といって決めてしまわずに、ぜひいろんなマリアージュを試してみて下さい。

セミナー終了後は……
ジェローム・エランヴァル氏に記念撮影やサインを求める受講生の姿も。束の間のひとときも和やかな雰囲気でした。


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